まさにタイトルが示す通り、テキサス州ダラスにおいてJ・F・ケネディ大統領が暗殺された瞬間から、容疑者リー・ハーヴェイ・オズワルドが埋葬されるまでの緊迫の4日間が、的確な意図を持った重厚な演出によって映画化されている。本作が初監督作品となる、長年ジャーナリストとして活躍してきたピーター・ランデズマンは、製作のトム・ハンクスから手渡されたヴィンセント・ブリオシの原作「Four Days in November」をベースに独自の取材を重ねた上で脚本を仕上げ、米国内で何百冊も書籍が出版されている手垢に塗れた主題に、新たなパースペクティブを齎すことに成功している。
ケネディとオズワルドの死は、"ひとりの人間の死"という視点において真の意味で民主主義的に並置され、20世紀で最も有名な映像のひとつと言って良いだろう、"ザプルーダー・フィルム"を8mmフィルムで撮影した男エイブラハム・サブルーダーの人生が、アメリカ合衆国における、象徴的な移民のドラマとして浮き上がってくる。撮影に使われたスーパー8mmフィルムキャメラは、当時最先端を行くもので、そのフィルムを現像出来るラボがなかなか見つからない、という事実の断片が丁寧に織り込まれているところも素晴らしい。