2011年9月29日

『カンパニー・メン』


「ER 緊急救命室」「ザ・ホワイトハウス」を手掛けるTVドラマの名手ジョン・ウェルズの長編映画デヴュー作『カンパニー・メン』は、MBAを持っているホワイトカラーでさえ失業の危機に追いやられる、リーマンショック以降のアメリカの厳しい現実を描いたシリアスな作品ながらも、トミー・リー・ジョーンズ、ベン・アフレック、クリス・クーパー、ケヴィン・コスナーといったハリウッド・スターが揃ったアンサンブル・キャストの豪華さ故、観ていて安心感があり、娯楽作品として立派に成立してしまっているところに、アメリカ映画の懐の深さを感じさせられる。所々に、舞台となった港町ボストンの景観を捉えた見事なショットが紛れ込んでいるのは、名撮影監督ロジャー・ディーキンスの仕事、監督の演出プランによるものだと思うが、絶妙な案配でほどほどに格調を高めるサジ加減がお見事。
2011年9月22日

『アンダーグラウンド』


ナチス・ドイツ占領下のセルビア、弾圧を逃れ広大な地下空間(アンダーグラウンド)で人知れず50年間暮らした人々が地上へ出ると、もはや祖国はなくなっていた!サラエヴォ生まれの風雲児エミール・クストリッツアの1995年カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品、寓話的群像劇『アンダーグラウンド』が、デジタルリマスターされ15年振りにスクリーンに蘇る。併せて、クストリッツァ傑作選『黒猫・白猫』、『マラドーナ』の上映もあり。

9月24日(土)〜10月21日(金)@シアターN渋谷
2011年9月12日

Image.Fukushima vol.2

「福島」について考え続けること、あるいは、イメージし続けることは、私たち日本に住む者すべての責務であると思う。その契機を、フォード、タルコフスキー、キアロスタミ、亀井文夫、森崎東といった映画作家たちの優れた作品が与えてくれようとしているこの機会を逃す手はない。

9月17日(土)〜23日(金・祝)@ユーロスペース
2011年9月12日

KINO TRIBE 独立映画宣言!

「福島」についてイメージすることは、「インディペンデント」であることや「自由」であろうとすることを考えることと矛盾しない。「Image.Fukushima vol.2」と同期間、同じ渋谷のキノハウスに、日本のインディペンデント映画最強の顔ぶれが集う特集上映が行われることはなかなか痛快なことだ。

9月17日(土)〜23日(金・祝)@オーディトリウム渋谷
2011年9月 2日

『ライフ』

あのBBC製作のネイチャードキュメンタリー、というだけあって、滅多にお目にかかれない動物たちの驚きに満ちた営みを大スクリーンで体験できる喜びを提供してくれることは間違いない。ただ、それらの野生動物の行動を"人間"の目線で解釈し、"家族"、"愛"といったわかりやすいヒューマニズムに落とし込む番組作りにいささか首を捻ってしまった。しかし、そのヒューマンな方向付けを脳科学者の養老孟司などは高く評価しているとのこと。子どもと一緒に見れるファミリー映画として、おすすめできる。

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