2011年2月25日

『悪魔を見た』

正確に言うと、万人向けのおすすめ映画では全くない。最愛の婚約者を殺され復讐の鬼と化したイ・ビョンホン演じる主人公が、チェ・ミンシク演じる殺人鬼を追いつめて制裁を加え、また逃がしては捕まえて制裁を加えるという凄惨な復讐劇。試写では途中退場者が何人も出たという問題作。ドSのイ・ビョンホンを見たいという暗い欲望を抱えた向きにはおすすめだが、それだけの映画であればここにわざわざ掲載しない。なぜここまでやるのか?という疑問は最後の最後まで残るが、中途半端な一神教批判が残念だった『冷たい熱帯魚』を遥かに凌駕する映画作りのクオエリティの高さと、"悪魔"と宗教的モチーフを短絡的に結びつけない潔い映画的即物性は驚きに値する。
2011年2月 4日

『毎日かあさん』

原作者西原理恵子を小泉今日子、夫の鴨志田さんを永瀬正敏、という原作の設定に近い元夫婦が演じる。実生活で離婚した二人に同じような境遇を演じさせるなんて"映画"でなければ出来る事ではない。その永瀬が演じる"元戦場カメラマン"鴨志田さんが世界と繋がり"戦争"を日常に持ち込んでくる、そのはた迷惑な"影"の部分が西原さんの人生を嫌が上にも豊かに彩るさまを映画の中心にしっかりと描きながら、原作の精神を活かしユーモアと軽さと明るさで見事に演出した小林聖太郎監督の手腕が見事。二人の子役も素晴らしい、万人にお薦めしたい日本映画。

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