2010年7月16日

『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』


70年代アメリカの伝説的な映画を上映するZIGGY FILMS 第2弾は、ハル・アシュビー、1971年の傑作『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』。主人公のハロルド青年は、恵まれた環境に生まれ育ちながらも、生きることの意味を見いだせず、死の幻想に取り憑かれ、日々自殺の夢を見て周囲を困惑させる。そんなある日、自由を謳歌して生きる79歳の老婦人モードと出会い、生まれて初めて恋を知り、生きることの喜びや悲しみに触れ、人間らしい感情を経験していく。編集マンとしてキャリアをスタートさせたアシュビーらしい、見事な映画のリズムと名撮影監督ジョン・A・アロンゾの情感溢れる美しい映像美が今なお新鮮な、永遠の青春映画である本作には、幼少期に両親の離婚、父親の自殺を経験、自らも高校時代に結婚と離婚を経験、19歳でハリウッドのユニバーサルスタジオで働き始めたという苦労人ハル・アシュビーの人生のエッセンスが凝縮されている。
2010年7月15日

第32回 PFF ぴあフィルムフェスティバル


1977年以来、日本の自主映画を支え、新たな才能の発掘に貢献してきたPFF。今年は、日米自主映画の巨頭、若松孝二とジョン・カサヴェテスの特集上映が組まれている。オドロオドロしいタイトルで敬遠されがちな若松作品に対する偏見を払拭する絶好の機会だ。そして、役者として活躍しながら、自主制作で撮り上げたカサヴェテスの初監督作品『アメリカの影』、我らがジャンヌ・バリバールが大好きだという女優、レニア・ゴルドーニが50年代末のニューヨークのストリートを疾走し、ミンガスのジャズが炸裂するこの名作を、未見の方は是非この機会に観てほしい。過去のPFFスカラシップ作品の一挙上映や、『川の底からこんにちは』の石井裕也監督と『イエローキッド』の真利子哲也監督による、『独立愚連隊西へ』(岡本喜八)の対談解説等、イベントも充実している。

7月15日(木)〜30(金)@東京国立近代美術館フィルムセンター
2010年7月 5日

『ハングオーバー』


結婚式直前のバチュラーパーティーで、ラスベガスへ行った4人組が、ハメを外しすぎた挙げ句にとんでもない事態を引き起こすナイトメア・コメディの傑作。ファレリー兄弟以降、アメリカのコメディに定着した下ネタ、差別ネタ満載のお下劣スタイルでグイグイ押して来る。ヘザー・グラハムがストリッパー役でパンチの効いた存在感を示しているが、この役を脚本段階であまりにもバカらしいと思って断ってしまったというリンジー・ローハンは今になって後悔しているという。とはいえ、この作品の仕上がりを脚本段階で想像するのはかなり難しそうで、リンジーが断るのも無理もない、と思わせる程に荒唐無稽な一品。あまりに暑い日にはこういう映画で一息つくのも悪くない。

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