2012年1月27日

アピチャッポン・ウィーラセタクン傑作選「アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ」


アピチャッポンの森が爆音"ウォール・オブ・サウンド"の中に蘇る必見必聴の企画上映が吉祥寺バウスシアターで行なわれる。『ブンミおじさんの森』(10)のみならず、『真昼の不思議な物体』(00)、『ブリスフリー・ユアーズ』(02)、『トロピカル・マラディ』(04)という過去の傑作群を35mm/フィルム上映で体験する"ヒア アフター"を彷徨う2週間!
(但し、爆音上映は28日&29日の夜のみ!)

1月28日(土)〜2月10日(金)@吉祥寺バウスシアター
2012年1月24日

『アニマル・キングダム』


マーティン・スコセッシ『グッドフェローズ』の語りのスタイルを踏襲しながらも、20世紀ギャング映画のように暴力はスペクタクルに炸裂せず、時間をかけて人の内面を抑圧する。先日、WOWOWで放映された"トラウマ映画"、ウォルター・E・グローマンの『不意打ち』同様、実に恐ろしきは母親の溺愛なり!この殺伐としたギャング映画に登場する数少ない"善人"、ジョエル・エドガートンとガイ・ピアースの二人が何と素晴らしい好人物に見えることか。
2012年1月 6日

『哀しき獣』


ナ・ホンジン監督(『チェイサー』)の新作『哀しき獣』は、監督の圧倒的な演出力、ハ・ジョンウ、キム・ユンソクといった一級の俳優陣、アクションシーンの技術水準の高さ、朝鮮族自治州と南北国境地帯を舞台に「狂犬」として生きざるをえなかった男の哀しみを絶妙に描き切った脚本、そうした全てが寡黙にして単純ならざる卓越した活劇を創造することに奉仕しており、観終わった後に思わず拍手喝采したくなるような極上のクライム・サスペンスに仕上がっている。自ら抜群の行動力を発揮する殺人請負業の"社長"を演じるキム・ユンソクが出色の存在感で映画を盛り上げる。近年の韓国映画では別格の傑作!
2012年1月 5日

『テトロ』


2010年のラテンビート映画祭で上映され、それっきり音沙汰がなかったフランシス・フォード・コッポラ監督、2009年の傑作『テトロ』が、急遽『テトロ 過去を殺した男』として劇場公開されることになった。当初マット・ディロン主演で構想されたことからも分る通り、『ランブルフィッシュ』を強く想起させる本作だが、主演にビンセント・ギャロを迎え入れたことで、コッポラが執着する兄弟の物語が、よりエキセントリックな緊張感の中で展開するさまを観客は目撃することなるだろう。アメリカでも限定公開に終わった本作は、日本においても、宣伝費も投入されない単館短期間上映となったが、仏カイエ誌が2009年年間ベスト10の6位に選出するなど、批評家やシネフィルの評価は高い。巨匠がブエノスアイレスで撮り上げた詩情溢れる傑作を、是非とも劇場でご覧になることを!

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