2012年6月15日

『ハングリー・ラビット』ロジャー・ドナルドソン


『バンク・ジョブ』(08)が好評だったロジャー・ドナルドソン監督の新作はニコラス・ケイジ主演のサスペンス・アクション。幸せな日々を送っていた高校教師(ニコラス・ケイジ)と音楽家の妻(ジャニュアリー・ジョーンズ)の日常は、妻が暴漢に襲われる事件が起きて一変する。司法の裁きに変わって、被害者の為に復讐を遂げるという謎の組織が暗躍し、映画は、本当の正義とは?人間性とは?といった大きなテーマをサスペンス仕立ての物語の中で問いかけてくる、、、といった大風呂敷を広げたストーリーの行方に途中で不安感を覚えるものの、最後には上手くまとめて観客を納得させてくれるだろう。

ただし主演の高校教師がニコラス・ケイジである時点で、ケイジならではの魅力が弾けるコミカルなシーンも用意されてはいるものの、例えば、フレッド・カヴァイエの『この愛のために撃て』(10)のように一般人(ジル・ルルーシュ)が事件に巻き込まれていくプロセスで生じるようなリアリティは期待するべくもなく、物語がシリアスな展開になるに従って"普通の男"という設定に違和感を感じざるを得ないのだが、ニューオーリンズのロケーションと秀逸なアクションシーンが映画を救っている。共演のガイ・ピアースがとても良い!
(上原輝樹)



6月16日(土)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー


監督:ロジャー・ドナルドソン
撮影:デヴィッド・タッターサル
出演:ニコラス・ケイジ、ガイ・ピアース、ジャニュアリー・ジョーンズ、ハロルド・ペリノー

© 2011 HRJ DISTRIBUTION, LLC

2011年/アメリカ/106分/カラー
配給:ショウゲート

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