2012年3月12日

『ヒューゴの不思議な発明』


マーティン・スコッセシ監督、念願の初3D映画は、職人的映画監督の父というべきジョルジュ・メリエスへの豊かなオマージュに満ちた、映画技法を知り尽くしたスコセッシ監督ならではの感動作である。映画への"欲望"という意味では、アミール・ナデリ監督の『CUT』も負けていないが、この対象に対する過剰な"欲望"は、彼らが活動のベースを置いているニューヨークという街の過剰さに起因しているに違いなく、その最も近い起源は、"アメリカン・インディーズ映画の父"ジョン・カサヴェテスに求めることができるだろう。いずれにしても、『ミーン・ストリート』(73)や『タクシー・ドライバー』(76)、『レイジング・ブル』(80)といった荒ぶるフィルモグラフィでのし上がってきたこの監督が、自分の幼い娘が観るような映画を作るようになったという時の流れに感慨を覚える。

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