2012年2月14日
『ポエトリー アグネスの詩』
第63回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞した本作は、韓国映画にまつわるイメージを一変してくれるだろう。監督は、『冬の小鳥』でウニー・ルコントの瑞々しい監督デビューをプロデュースした名匠イ・チャンドン。緑豊かな山間地帯、坂道の多い都市部、市井の人々が行き交う奥行きのある画面構成、賞を受賞した脚本だけでなく、脚本のエッセンスである"詩<ポエトリー>"を慎み深く画面に行き渡らせた画も素晴らしい本作は、主人公である初老の女性ミジャが示す、少女を自殺に追い込んだ事件に関わった我が孫に対する行動、その境地に到るまでのミジャの心の遍歴を描く、観る者の魂を揺さぶる傑作である。