2011年2月25日
『悪魔を見た』
正確に言うと、万人向けのおすすめ映画では全くない。最愛の婚約者を殺され復讐の鬼と化したイ・ビョンホン演じる主人公が、チェ・ミンシク演じる殺人鬼を追いつめて制裁を加え、また逃がしては捕まえて制裁を加えるという凄惨な復讐劇。試写では途中退場者が何人も出たという問題作。ドSのイ・ビョンホンを見たいという暗い欲望を抱えた向きにはおすすめだが、それだけの映画であればここにわざわざ掲載しない。なぜここまでやるのか?という疑問は最後の最後まで残るが、中途半端な一神教批判が残念だった『冷たい熱帯魚』を遥かに凌駕する映画作りのクオエリティの高さと、"悪魔"と宗教的モチーフを短絡的に結びつけない潔い映画的即物性は驚きに値する。