2010年6月21日

『闇の列車、光の旅』


中米のホンジュラスからメキシコを超えてアメリカへの越境を目指す主人公の少女が、メキシカン・マフィアの少年と列車の屋根で出会う命がけの逃避行。実際の移民やマフィアへの取材から得た実話とボーイ・ミーツ・ガールの物語の定型を見事なフィクションに再構築した、本作が初長編監督作品となる日系人キャリー・ジョージ・フクナガは、移民問題に一石を投じるとともに、生命力そのものの少女と過酷な現実を生きるしかない少年の絶望を濃密に描いた。少女の強い目と少年の遠くを見つめる視線、そして中米の鬱蒼と茂る緑がいつまでも印象に残る。

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