『J.A.C.E./ジェイス』 TIFF2011 コンペティション

浅井 学
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最近のニュースをひと際にぎわせている"ギリシャ"のダークサイドを描いたスピード感あふれるエンタテインメント作品。ギリシャ系アルバニア人の男の子"ジェイス"は、里親家族の虐殺を目の当たりにした日から、物乞いから売春、臓器売買まで様々な目的で子供たちを海外に"輸出"するマフィア組織に捕らえられ、これでもかというほど過酷な運命をたどる。個人的には、ユーゴスラビア紛争後も複雑な宗教・民族問題を抱えたバルカン半島を背景に、さらに経済危機で瀕死の状態となった、よりリアルでセンシティブな"ギリシャダークサイド"を期待したが、犯罪組織の描き方が、近未来的なデザインのきらびやかなクラブにある組織本部、ハウスミュージック、コカイン、ゲイダンサーなどベタでどこか90年代な印象だった。わかりやすいといえばそうなのだが、ギリシャ・ノワールならではのスタイルをみたかった。

2011年10月27日
★★

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