『カウントダウン』フィルメックス2011 コンペティション

上原輝樹
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一人息子を失って以来、冷酷な取立屋として生きてきた主人公(チョン・ジェヨンが好演)は、ある日医師から末期肝臓がんを宣告される。生き延びるには、10日以内に移植手術を受けるしかない、ということでサバイバルへの"カウントダウン"が始まる。
ソダーバーグのオーシャンズ・シリーズを彷彿させるラウンジ系BGMがテンポの良いストーリーテリングに拍車をかけるスタイリッシュなアクション映画、かと思いきや、そうは単純に行かないのが韓国映画の面白くもやっかいなところ。意味不明なエンディングにズッコケさせられた、傑作『下女』のリメイク、『ハウスメイド』の女優チョン・ドヨンがまたもや周囲を欺くトンデモ女"ミス韓国"として暴れ回るところが痛快!というところまではまずまず想定内だったが、亡くなった一人息子と父親である主人公との秘められた過去が、追跡劇のクライマックスに絡めて描かれていくと、物語は次第に父子の人間ドラマの様相を呈していき、この父子の号泣エピソードがすべてを洗い流していく。
確かに、終盤のエピソードは"盛り過ぎ"の感はあるが、初の長編映画監督作品としては、これぐらいやり過ぎてしまう位が頼もしい。本作の半分は"ギャング映画"でありながらも、銃弾が1発も飛び交わない、というところにも、ホ・ジョンホ監督の"人間臭い"喜劇への志向性が垣間見えて興味深かった。

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