『黒澤 その道』 TIFF2011 巨匠へのオマージュ

上原輝樹
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ベルトルッチ、キアロスタミ、スコセッシ、イーストウッドといった世界の名匠たちが、黒澤映画の、映画史に与えたインパクトについて語るドキュメンタリー。15年に渡って黒澤の通訳を務めたカトリーヌ・カドゥによる作品。ラングロワのシネマティークで当時もぎりをやっていたというアンゲロプスは、座席に忍びこんで観た『羅生門』に大いに感銘を受けたのだと語り、ポン・ジュノは、『母なる証明』の殺人現場から町一帯を見下ろすショットは、『悪い奴ほどよく眠る』の街一帯を見下ろす豪邸のロケーションから着想したものだと告白する。現代アジア最大の映画作家ポン・ジュノのスケール感溢れるロケーション撮影を司る遺伝子の一部が、黒澤明の映画で出来ていたことを知ることは、決して無益なことではない。小さい映画が量産される昨今、顧みられるべき内容が多く語られている魅力的な作品。

2011年10月23日
★★★★

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