『TATSUMI』 TIFF2011 アジアの風 アジア中東パノラマ

上原輝樹
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シンガポールの映画作家エリック・クーが、日本の終戦から70年代高度経済成長期までの社会背景をリンクさせながら、"劇画の父"と呼ばれる辰巳ヨシヒロの半生と彼の作品を独特の手法でアニメーション化した力作。手塚マンガへの傾倒を語る迫力ある辰巳ヨシヒロ本人の声で始まるオープニングに続いて始まる、辰巳本人の作品のアニメーション化「地獄」が秀逸。これを観るだけでも、本作を観る価値がある。辰巳の作品は、その他の自伝的といわれる4作品が連結され、辰巳の半生を形作る。辰巳ヨシヒロ自身への素晴らしいオマージュであることは当然のことながら、偉大な先達である手塚治虫へのオマージュとなっているところも感動的。観ているときは、随分個性的で芸達者な(プロの声優さん的ではないという意味で)素人さんぽい声優を見つけたなあ、と感心していたのだが、観終わった後に、俳優の別所哲也氏が6役の声を演じていたことを知り、驚嘆。

2011年10月21日(内覧試写)
★★★

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