『デタッチメント』 TIFF2011 コンペティション

上原輝樹
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長編デビュー作『アメリカン・ヒストリー X』が高い評価を受けたトニー・ケイ監督の最新作。アメリカの公立学校の荒廃した現場を、臨時教師ヘンリーの視点から、デフォルメし、様式化した映像スタイルで描き、生徒の、親の、教師の、社会の抱える問題をエモーショナルで知的に、暴力的でありながらも文学的に炙り出した恐るべき傑作。エイドリアン・ブロディ、クリスティーナ・ヘンドリックス、ルーシー・リュー、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ジェイムズ・カーンといった名も通った名優たちを配役しながらも、作り物感が全くないのは、あえて、ホームビデオ的クオリティのデジタルキャメラで撮影したトニー・ケイ監督の戦略勝ち。新人女優サミ・ゲイルも鮮烈で忘れ難く、本作に相当入れ込んだと思しきエグゼクティブ・プロデューサーと主演を兼ねたエイドリアン・ブロディのメランコリックな佇まいがあまりにも素晴らしい。エンドロールで流れる、あの男のあの曲に、滂沱の涙、、。必見!

2011年10月20日(内覧試写)
★★★★☆

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