『ガザを飛ぶブタ』 TIFF2011 コンペティション

上原輝樹
20111018_02.jpg
イスラエル、パレスチナ、いずれの当事者でもない、遠く離れた地、南米のウルグアイに住むシルヴァン・エスティバル監督がイスラエル占領下におけるガザを舞台に、不条理な生活環境を強いられ、生活に困窮しつつも、逞しく生き抜く庶民の姿を、ユーモラスに描く寓話。漁業海域を厳しく制限され、ゴミや小魚しか水揚げがない主人公の漁師の網に、ある日、ブタが絡まっていた。ブタは、イスラム教では不浄な存在とされ、忌み嫌われる生き物だが、「ユダヤ人は、ブタを養殖して利益をあげているぞ、彼らは何でも上手くやってのける」と知人から入知恵さた主人公の漁師は、四苦八苦して、このブタで稼いで生活を立て直そうとする。町中では、イスラムの教えを説く予言者が権威を発揮する中、不浄な生き物ブタの存在を巡って、漁師の宗教観と生活のためのシノギが対立し、矛盾と葛藤を引き起こす七転び八起きの喜劇が展開する。

2011年10月17日(内覧試写)
★★★

Recent Entries

Category

Monthly Archives

印刷