OUTSIDE IN TOKYO
HIGUCHI YASUHITO & SUGITA KYOSHI INTERVIEW
【PART1】

杉田協士&boid樋口泰人『ひとつの歌』インタヴュー【PART2】

3. boid new cinemaは情報全公開、
 とりあえずみなさんに情報を全部入れてきてもらって観てほしい(樋口)

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OIT:とても現代的というか、古典的な映画とは明らかに違うスタンス。
樋口:一方で、スタジオ時代の監督なんてそんなもんだったんじゃないかって。見えないものを見ようとしてたわけじゃないけど、全然自分の意思では映画なんて作れなくて、予め語られてるシナリオをどう繋いでいくか、どう構成していくかみたいなところで映画を作ってきていたわけで、言い方を替えると自分の語りたいことを語ろうとしていたわけではなく、予めあるものの中に語るべきものを見つけて、それが語る物語を語っていったと言えばいいか。そういう超古典的な作り方と新しい見方とが、何か上手くミックスされていけば面白いなっていうか。個人映画みたいになっちゃうとしょぼくなるから(笑)。
OIT:予算がないとか。
樋口:まあ予算のこともそうだし、自分っていうことや新しさに拘るとどんどん狭くなっていくんで、そうじゃなくてもっと大きな力が自分にやってきて、そこで自分が壊されるなりなんなりして、何て言うんだろう、コントロールするものではない形でコントロールしてくっていうか。
杉田:あー、本当にそういう感覚かもしれないですね。
樋口:そういう風な見え方、作り方を感じられるような映画を見せていけたらいいなっていう。で、ほらそういう映画って基本的に声高に何かを主張したりはしなかったりするので、ちょっと何かシリーズとかつけて目立たせないとなかなか分かってもらえないかなみたいな(笑)。
OIT:批評っていうことで言うと、boid paperに安井さんの『ひとつの歌』評が書かれてて、凄い面白く読んだんですけど、批評からの言葉がそれを補ったり触発したりするっていう必要もあるわけですね。
樋口:そうですね、見たり聞いたりすることが映画を作るっていう意味で、この映画を見て聞いた人が書いた言葉もこの映画を作るのだということを見せられたら面白いなと思っています。そこでboid paperみたいなのをちゃんと作って、ベースを広げていけたらいいっていう感じなんですよ。だから情報全公開で、とりあえず全部みなさんに情報を入れてきてもらって、で、その中で観る。まっさらな状態で観るのも全然いいんですけど。
OIT:まっさらで観たら絶対もう一回観ないとわからないみたいな、まあ、それはそれでいいんですけど。
樋口:だから色んな情報は入れておいていいんではないかと。
OIT:それは樋口さんが以前Twitterで、映画にネタバレなしとかって仰ってて、映画業界的にはここには触れるなとか、そういうのありますよね?でもそういう姿勢にはアンチだっていう感じなんですね。
樋口:特に俺は、ほら忘れるから(笑)。オチ聞いても全然関係ない。
杉田:ネタバレって本当分かんないですよね、別にどうでもいいみたいな。
樋口:別にオチが見たくて映画見てるわけじゃないし。
OIT:そうなんですよね、Twitterで怒る人とかもいる。
杉田:いますね。この間うっかりTwitterで『プロメテウス』のラスト書いちゃって、やばいと思ったけど、もう色々リツイートされて広がっちゃったからいいやと。
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