イタリア映画祭2014



米アカデミー外国語映画賞を受賞したばかりのパオロ・ソレンティーノ『グレート・ビューティー/追憶のローマ』を始めとして、ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した、イタロ・カルヴィーノの著書『見えない都市』にインスパイアされたドキュメンタリー『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』、カンヌ国際映画祭批評家週間でグランプリを受賞した『サルヴォ』、『やがて来たる者へ』が記憶に新しいジョルジョ・ディリッティ監督の新作『いつか行くべき時が来る』、"トニ・セルヴィッロ主演の政治ドラマ"と聞けば見逃すわけにはいかない『自由に乾杯』、『恋愛マニュアル』シリーズが人気を博すヴェロネージ監督の新作『無用のエルネスト』、巨匠エットレ・スコーラよるフェデリコ・フェリーニの肖像『フェデリコという不思議な存在』等々、今年のイタリア映画祭、正直言って全作品見たい!
(上原輝樹)
2014.3.13 update
イタリア映画祭2013 2013.3.8 update

イタリア映画祭2012 2012.3.15 update

イタリア映画祭2010 2010.4.5 update
開催概要
名称:イタリア映画祭2014
期間:
<東京>4月26日(土)~29日(火・祝)、 5月3日(土・祝)〜5日(月・祝)
<大阪>5月10日(土)、11日(日)
開催場所:有楽町朝日ホール(東京都千代田区有楽町2-5-1マリオン11階)、ABCホール(大阪市福島区福島1-1-30)
お問い合わせ:
<東京>ハローダイヤル050- 5542- 8600(~4月25日、4月30日~5月2日)/03- 3214- 6344(会場、会期中のみ)
<大阪>ハローダイヤル050-5542-8600(〜5月11日)
公式サイト:http://www.asahi.com/italia/

当日券 [全席指定]:<1回券>一般 1,700円 学生・60歳以上 1,600円
前売入場料 [全席指定]: <1回券>一般 1,450円 学生・60歳以上 1,350円
発売日:3月21日(金・祝)10:00から
・お近くのチケットぴあ窓口で直接購入
・セブン-イレブン、サークルK・サンクスで直接購入
・電話予約後、店頭で受け取り チケットぴあ/音声認識予約:0570(02)9999
・インターネットで購入 http://t.pia.jp/cinema
Pコード 1回券=552-596

主催:イタリア映画祭実行委員会、イタリア文化会館、朝日新聞社、イスティトゥート・ルーチェ・チネチッタ
後援:イタリア大使館
協賛:シティカードジャパン株式会社、フィアット クライスラー ジャパン、フェラガモ・ジャパン株式会社、株式会社紀尾井コーポレーション
協力:バリラ ジャパン株式会社、アリタリア-イタリア航空
運営協力:有限会社エミュー
宣伝協力:樂舎
字幕協力:アテネ・フランセ文化センター
 
上映スケジュール

<東京>
4月26日(土)




 
12:00
マフィアは夏にしか殺らない
(90分) 
14:40
無用のエルネスト
(113分) 


18:00
開会式
ミエーレ
(96分)

4月27日(日)
10:20
フェデリコという不思議な存在
(93分)
13:00
ローマ環状線、めぐりゆく人生たち
(93分)
15:40
サルヴォ
(104分) 


18:30
自由に乾杯
(94分)



4月28日(月)
10:20
ようこそ、
大統領!

(100分) 

13:10
存在しない南
(90分)


15:50
南部のささやかな商売
(103分)

18:40
初雪
(105分)


4月29日(火・祝)
10:20
多様な目
(94分)


13:00
いつか行くべき時が来る
(110分)


15:30
トークセッション


18:00
グレート・ビューティー/追憶のローマ
(142分)
5月3日(土・祝)




 
12:00
初雪
(105分)


14:40
ようこそ、
大統領!

(100分)

17:15
サルヴォ
(104分) 


5月4日(日・祝)
10:20
ミエーレ
(96分)


13:00
フェデリコという不思議な存在
(93分)
 
15:20
自由に乾杯
(94分) 


17:40
いつか行くべき時が来る
(110分) 

5月5日(月・祝)
10:20
存在しない南
(90分)


13:00
南部のささやかな商売
(103分) 

15:30
マフィアは夏にしか殺らない
(90分) 
17:45
『無用のエルネスト
(113分) 


※上映作品はイタリア側の都合により、変更の可能性があります。
※上映作品はこの映画祭のために素材を輸入するため、英語字幕などが入っている可能性があります。
※すべて日本語字幕付きの上映です。
※上映は各回入れ替え制、定員750名、開場は上映20分前です。
※トークセッションは入場無料です。
※4月26日(土)18:00~の上映前に開会式(約30分間)があります。
※4月26日(土)~29日(火・祝)は、来日ゲストの舞台挨拶を予定しています。来日ゲストは決まり次第、HP(http://www.asahi.com/italia/)で発表します。

<大阪>
※大阪の上映スケジュールは、決まり次第掲載予定です。
作品ラインナップ
『いつか行くべき時が来る』
原題:Un giorno devi andare
2012 / 110分
監督:ジョルジョ・ディリッティ

前作『やがて来たる者へ』で一躍脚光を浴びたディリッティ監督が、主演にジャスミン・トリンカを迎えたある種のロードムービー。途方もない悲しみを抱えた30歳のアウグスタは、新たに生きる意味を求めてブラジルに向かう。母の友人である修道女のアマゾンでの布教に同行したり、都市のスラム街で生活したりして、現地の人と交流するうちに少しずつ自分を取り戻していく。人間を包み込むかのようなアマゾンの大自然が、雄大であまりに美しい。サンダンス映画祭コンペ部門出品。
『自由に乾杯』
原題:Viva la libertà
2013 / 94分
監督:ロベルト・アンドー

トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキら豪華キャストが集うアイロニカルな政治ドラマ。野党のリーダー、オリヴィエーリは気が滅入っていた。選挙が迫るが支持率は低迷し、このままでは負けるのは確実。ある日突然、オリヴィエーリは失踪してしまう。腹心の部下と妻が知恵を絞った末の解決策は、オリヴィエーリとは双子の兄弟であるジョヴァンニだった。カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭コンペ部門出品。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最優秀脚本賞と最優秀助演男優賞に輝いた。
『ようこそ、大統領!』
原題:Benvenuto Presidente!
2013 / 100分
監督:リッカルド・ミラーニ

政治という題材を巧みに笑いに昇華させた痛快なヒット作。山奥の村で図書館員として働き、釣りを愛する中年のジュゼッペ・ガリバルディは、穏やかな生活を送っていた。その頃、ローマでは新しい大統領の選出が困難を極めていた。各政党が選出を先延ばししようとする戦術を取るが、偶然の一致でジュゼッペが大統領に選ばれてしまう。政治家たちは辞任を望むが、その期待を裏切り、ジュゼッペの快進撃が始まる。主演は、コメディー映画の常連、クラウディオ・ビジオ。
『ミエーレ』
原題:Miele
2013 / 96分
監督:ヴァレリア・ゴリーノ

女優として輝かしいキャリアを誇るヴァレリア・ゴリーノが監督に挑んだ長編第1作。学生を装うイレーネには、裏の顔があった。回復の見込みがなく、尊厳死を望む末期の病人に薬物を提供していた。自殺幇助という非合法ビジネスに携わるが、依頼人は末期患者に限るイレーネ。しかし、自殺願望がある健康な男に薬物を誤って渡してしまい、平穏な生活が揺らぎ出す。カンヌ国際映画祭のある視点部門に選ばれるなど、ゴリーノと主演のジャスミン・トリンカが高い評価を受けた。
『サルヴォ』
原題:Salvo
2013 / 104分
監督:ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ

脚本家として活動してきた2人組による、シチリアのパレルモが舞台のスリリングな長編初監督作。サルヴォは、頑強で情け容赦ない孤独なマフィアのヒットマン。ライバルのマフィアの家に侵入するが、いたのは殺しの標的の妹で盲目のリタだった。サルヴォはじっと待ち、やがて帰宅したターゲットを仕留める。ショックからか恐怖からかリタに異変が生じ、それがサルヴォの人生も予期せぬ方向に導いていくのだった。カンヌ国際映画祭の批評家週間でグランプリを受賞。
『フェデリコという不思議な存在』
原題:Che strano chiamarsi Federico
2013 / 93分
監督:エットレ・スコーラ

『道』や『8½』などの4作品でアカデミー賞に輝き、映像の魔術師と呼ばれたフェデリコ・フェリーニ(1920- 93)。親交があった巨匠スコーラが、没後20年を機にフェリーニの素顔に迫る。風刺雑誌の仕事場での二人の初めての出会い、マストロヤンニとの友情、フェリーニが撮影に使ったチネチッタの第5スタジオ等々。再現シーンを中心に、フェリーニ映画の映像も所々に挿入される構成で、ローマに上京する1939年から亡くなる93年までのエピソードが鮮明に蘇る。ヴェネチア国際映画祭特別招待作品。
『初雪』
原題:La prima neve
2013 / 105分
監督:アンドレア・セグレ

前作『ある海辺の詩人-小さなヴェニスで-』が日本で公開されたセグレ監督の第2作。イタリア北部の山あいにある小村を舞台に、心に深い傷を負った少年と難民の心の交流を寄り添うようにじっくりと描き出す。父を亡くして間もない少年ミケーレは、母とうまく折り合えないでいた。一方、リビアの内戦を逃れてきたトーゴ生まれのダニは、1歳の娘に愛着を持てないでいる。そんな二人が知り合い、少しずつ打ち解けていく。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門出品。
『南部のささやかな商売』
原題:Una piccola impresa meridionale
2013 / 103分
監督:ロッコ・パパレオ

スターのリッカルド・スカマルチョが出演するエンターテイメント作。ばらばらだった人びとが、一つの企てをきっかけにまとまっていく様をユーモアにくるんで描いて、ヒットした。コスタンティーノは50歳の元神父。女性を好きになるが捨てられて、南部の故郷に戻ってきた。聖職の道を外れた息子を母が恥じるので、打ち捨てられた灯台に一人で住むことになる。だが、妻に逃げられて失意の義弟や元売春婦ら、同居人がたまたま増えて、一風変わった共同生活が始まるのだった。
『無用のエルネスト』
原題:L'ultima ruota del carro
2013 / 113分
監督:ジョヴァンニ・ヴェロネージ

『恋愛マニュアル』シリーズが人気を博すヴェロネージ監督によるハートウォーミングな喜劇。とりたてて才能はないが、家族や友達を大切にする正直者のエルネスト。生きていくためには、室内装飾、調理、引っ越し、ドライバー、エキストラの役者とあらゆる仕事をする。どこにでもいそうな男の人生をたどりながら、1960年代以降の実際の出来事も盛り込んでイタリア社会を振り返る。若い頃から老いる手前までのエルネストを見事に演じきるのは、エリオ・ジェルマーノ。ローマ国際映画祭特別招待作品。
『マフィアは夏にしか殺らない』
原題:La mafia uccide solo d'estate
2013 / 90分
監督:ピエルフランチェスコ・ディリベルト

ジョルダーナ監督の『ペッピーノの百歩』で助監督の経験を持つディリベルトの監督デビュー作。1970年代のシチリア、小学生のアルトゥーロは転校生のフローラに一目惚れする。恋を成就させようと奮闘するがなかなか実らず、その思いは大人になっても変わらない。そんなアルトゥーロの人生の節目には、いつもマフィアによる殺人が起こっていた。笑いと風刺をちりばめつつ、ラブストーリーとマフィアにまつわる史実が絶妙に絡み合って展開していくスタイルがユニークで、ヒットした。トリノ映画祭で観客賞を受賞。
『存在しない南』
原題:Il sud è niente
2013 / 90分
監督:ファビオ・モッロ

1980年生まれで新進気鋭のモッロの長編デビュー作。イタリア南部の港町、17歳のグラツィアは、5年前に死んだとされる兄の不在に苦しみ、兄について沈黙する父には反発していた。ある日、海に入ると兄らしき姿が現れる。兄の生存を信じ始めたグラツィアは、真実を探し求める。その頃、魚屋を営む父親は、マフィアから店の売却を迫られていた。リアルな映像に詩的な表現を時おり織り込みながら、親子の愛憎だけでなく社会の問題も描く本作は、トロント国際映画祭などに招待された。
『多様な目』
原題:Altri occhi
2013 / 94分
監督:シルヴィオ・ソルディーニ、ジョルジョ・ガリーニ

『日々と雲行き』など多くの劇映画が本映画祭で上映されてきたソルディーニ監督。一方で、ドキュメンタリーも手掛けてきた。本作に登場するのは、理学療法士、企業家、彫刻家、ミュージシャン、テレフォン・オペレーター、退職者、チェロ弾きの学生。彼らに共通すること、それは目が見えないことだった。ヨットやアーチェリーなどのスポーツをする人もいれば、写真を趣味とする人もいる。彼らの前向きな生き様を見つめることで、驚くべき世界が新たに開けてくる。
特別上映作品
『グレート・ビューティー/追憶のローマ』
原題:La grande bellezza
2013 / 142分
監督:パオロ・ソレンティーノ

『イル・ディーヴォ-魔王と呼ばれた男-』(08)で世界を震撼させたイタリアの新たなる巨匠パオロ・ソレンティーノ。今、世界が最も注目する異才の最新作は本年度のゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、そしてアカデミー賞の外国語映画賞を受賞するなど各国の映画賞を総なめにしている。永遠の都ローマ。華やかなパーティーを渡り歩く作家・ジェップは、初恋の女性の死をきっかけに究極の美を追い求めていく...。今秋、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開。
『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』
原題:Sacro GRA
2013 / 93分
監督:ジャンフランコ・ロージ

ヴェネチア国際映画祭にて、ベルナルド・ベルトルッチや坂本龍一など審査員から満場一致の絶賛を浴び金獅子賞を受賞。ローマを囲む高速道路GRA。その環状線に沿って暮らす愛すべき人々の物語を、叙情的に描いたドキュメンタリー。欲望と混沌、輝かしい未来と取り残された者たちの心模様を鋭く切り取る。イタロ・カルヴィーノの名著『見えない都市』にインスパイアされた野心作。今夏、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。


イタリア映画祭2014について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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