2013.3.8 update |
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『家への帰り道で』 原題:Sulla strada di casa 2011年/83分 監督:エミリアーノ・コラピ 短編などで実績を積んできたコラピ監督の長編デビュー作で、次から次へと予想外の方向に物語が巧みに展開していくサスペンスタッチのヒューマンドラマ。ジェノヴァで小さな会社を経営するアルベルトだが、経営は行き詰まっていた。会社を救うために、違法物を運ぶ仕事を引き受けることを決意し、それを受け取りに南部へ旅立とうとする。だがその直前に、謎の男たちが自宅に侵入して家族を人質に取り、違法物を所定の場所に届ける代わりに自宅に持ち帰るよう脅迫する。 |
『天国は満席』 原題:Posti in piedi in paradiso 2012年/119分 監督:カルロ・ヴェルドーネ 『イタリア的、恋愛マニュアル』などで俳優としてもおなじみのヴェルドーネが監督・主演した、中年男3人をめぐるコメディー。レコード店経営のウリッセ、芸能リポーターのフルヴィオ、不動産会社の営業職のドメニコはみな離婚によって経済的に厳しい状況に陥り、住まいにも事欠く始末。たまたま知り合った3人は、一人では家賃を払えないので、アパートで共同生活を始めることに。中年男たちが離ればなれのわが子や新しい恋のために奔走し、時には空回りする姿は笑いを誘い、愛くるしくもある。 |
『素晴らしき存在』 原題:Magnifica presenza 2012年/105分 監督:フェルザン・オズペテク 『あしたのパスタはアルデンテ』のスマッシュヒットが記憶に新しいオズぺテク監督が、エリオ・ジェルマーノを主演に迎えた心温まる喜劇。ピエトロは、パン屋に勤務する28歳。役者になりたくてローマに上京してきた。見つけた住まいは、少々古くて修繕は必要だが広いアパート。家賃も手頃で気分を良くしていたピエトロだったが、住んでいるうちに誰か他の人がいるような気がしてくるのだった。イタリア・ゴールデングローブ賞で最優秀監督賞や最優秀男優賞などを受賞。 |
『フォンターナ広場 イタリアの陰謀』 原題:Romanzo di una strage 2012年/129分 監督:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ 名作『輝ける青春』のジョルダーナ監督が、イタリアを震撼させた大事件に挑む意欲作。1969年12月12日、ミラノのフォンターナ広場にあった農業銀行が爆破され、死者17人、負傷者88人に達する大惨事となった。無政府主義者のグループによる犯行と考えた警察は、容疑者たちを逮捕していく。だが、取り調べの最中に一人の容疑者を悲劇が襲い、事態は一変する。ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞の最優秀助演男優賞と最優秀助演女優賞をはじめ、多くの賞に輝く。 |
『家の主たち』 原題:Padroni di casa 2012年/90分 監督:エドアルド・ガッブリエッリーニ タイル張り職人のコジモとエリアの兄弟は、ローマからアペニン山脈の小さな村にやって来る。有名だった歌手の家のバルコニーのタイルを張り替えるためだ。重病の妻のために歌手は引退したと言うが、二人の仲はそうは見えない。村にも不穏な空気が漂っていて、次第に住民と外部からの兄弟の間で緊張が高まっていく。兄弟役はヴァレリオ・マスタンドレアとエリオ・ジェルマーノで、ベテラン歌手のジャンニ・モランディが歌を披露する。ロカルノ国際映画祭コンペ部門出品。 |
『それは息子だった』 原題:È stato il figlio 2012年/90分 監督:ダニエーレ・チプリ ベロッキオやトッレの作品で撮影監督としても活躍するチプリのブラックテーストな悲喜劇。パレルモ郊外に暮らす6人家族のチラウロ家は、主人が廃船の鉄屑を売ることでなんとか生計を立てていた。ある日、マフィアの抗争中に流れ弾が娘を襲う。悲嘆にくれる家族は娘の死が金銭的に賠償されることを知り、その申請をする。しかし、それが更なる悲劇の始まりだった。父親役のトニ・セルヴィッロの怪演ぶりは圧巻。ヴェネチア国際映画祭で新人俳優賞と撮影賞を受賞。 |
『ふたりの特別な一日』 原題:Un giorno speciale 2012年/89分 監督:フランチェスカ・コメンチーニ 大物になりたい若者たちの楽しくもほろ苦い一日を描く青春映画。芸能界入りを夢見るジーナは、後押しを得るために有力な政治家に会おうとするが、ローマ郊外の自宅から出かけた矢先に会う時間が延期に。時間をつぶそうと、ジーナを迎えに来ていた運転手のマルコと一緒にローマの中心部に繰り出すことにし、特別な一日が始まる。スペイン広場やパンテオンなどローマおなじみの観光スポットを二人がうろつくシーンは臨場感たっぷり。ヴェネチア国際映画祭コンペ部門出品。 |
『日常のはざま』 原題:L'intervallo 2012年/90分 監督:レオナルド・ディ・コスタンツォ ドキュメンタリーの分野で活動し続けてきたディ・コスタンツォ監督が、ナポリの郊外に生きる10代の少年少女の心の移ろいと置かれている現実をじっくりと描き出す初の劇映画。荒れ果てた無人の建物に拘束されるヴェロニカと、理由も知らずに彼女の監視を強いられるサルヴァトーレ。反目する二人だが、同じ時間を共有するうちに二人の関係に変化が生じ始め、拘束の理由も明らかになっていく。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で国際批評家連盟賞などを受賞。 |
『綱渡り』 原題:Gli equilibristi 2012年/100分 監督:イヴァーノ・デ・マッテオ 一つの過ちをきっかけに、順調な人生があっという間に崩壊していく一人の男とその家族を通して、現代社会に生きる人々の不安定さが鮮明に浮かび上がるドラマ。40歳のジュリオは、妻と二人の子どもと幸せな家庭を築いているかのように見えた。だが、職場の同僚と不倫をし、それが妻にばれてしまう。家を出るジュリオだが、仮住まい先はなかなか見つからず、状況は深刻になっていく。家族の前では救いの合図が出せない男の姿が実に切ない。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門出品。 |
『赤鉛筆、青鉛筆』 原題:Il rosso e il blu 2012年/98分 監督:ジュゼッペ・ピッチョーニ マルゲリータ・ブイ、リッカルド・スカマルチョ、ロベルト・ヘルリツカの繊細な演技のアンサンブルが見事な、『もうひとつの世界』のピッチョーニ監督による爽やかな学園もの。生徒に意欲を湧かせようと熱心な国語の臨時教員、教育への情熱を失った美術史の老教師、しっかりものの校長。ローマの高校の3人の先生を軸に、物語は進行していく。先生と生徒の対立があれば、一方で恋愛もあり、重大な事件も起こるし、学校を去らざるをえない者も出るが、それでも学校生活は続いていく。 |
『来る日も来る日も』 原題:Tutti i santi giorni 2012年/102分 監督:パオロ・ヴィルズィ 『見わたすかぎり人生』や『はじめての大切なもの』などヒット作を連発し続けるヴィルズィのハートフルでロマンチックなコメディー。控えめで高学歴なグイドはホテルで夜勤をし、落ち着きがなく気難しいアントニアはレンタカー店で昼間に勤務する、対照的な二人のカップルだが、相性は抜群だ。グイドの夜勤明けに毎日愛を交わす二人は子どもを切望するが、そのことで二人の仲がぎくしゃくしだす。グイド役のルカ・マリネッリは、シューティング・スターに選ばれた注目の若手俳優。 |
『司令官とコウノトリ』 原題:Il comandante e la cicogna 2012年/108分 監督:シルヴィオ・ソルディーニ 男手一つで子育てする水道屋のレオだが、娘はネット上でトラブルに遭い、コウノトリに夢中の息子は学校をさぼりがち。貧苦にあえぐ芸術家のディアーナは家賃を滞納。仕事を辞めたアマンツィオは賃貸収入があるものの新しい生き方を模索中。『アガタと嵐』以来の久々のコメディーになるソルディーニは、懸命に生きる人々が織りなす人間模様を温かく描き、軽やかな群像劇に仕上げた。常連のアルバ・ロルヴァケルやジュゼッペ・バッティストンに加えて、ヴァレリオ・マスタンドレアが出演。 |
『リアリティー』 原題:Reality 2012年/115分 監督:マッテオ・ガッローネ 夢を追い続けるうちに夢に取りつかれ、現実との見分けがつかなくなってしまう男の悲喜劇。ナポリで魚屋を営む人気者のルチャーノは、家族の薦めで素人参加型の人気テレビ番組「ビッグ・ブラザー」の一次オーディションに参加し、合格する。有名になり金持ちになる期待に胸を膨らませ、二次オーディションに臨むのだが・・・。フェリーニの幻想性を想起させる本作は、世界中に衝撃を与えた前作『ゴモラ』に続いてのカンヌ国際映画祭のグランプリ受賞をガッローネにもたらした。 |
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