クロード・シャブロル特集 映画監督とその亡霊たち



『引き裂かれた女』『甘い罠』『最後の賭け』『悪の華』で観客をシャブ中に陥れたクロード・シャブロル監督特集、その第2幕がいよいよ上がろうとしている。傑作選的な前半のユーロスペース、再び三たび、シャブ中として作品群に埋没し共鳴し合う符号を堪能したい、後半の東京日仏学院、1ヶ月の間、18日間に及ぶ映画ファン殺しの特集上映が行われる。シャブロル映画の"亡霊たち"と共に暗闇にまみれる東京の蒸し暑い夜がやってきた。
2011.6.20 update

【第1期】
会場:ユーロスペース
会期:2011年6月25日(土)~7月1日(金)
前売り券:1,500円 5月26日(木)より一般発売。Pコード:557-819 / 電話予約:0570-02-9999(音声認識予約) @電子チケットぴあ:http://pia.jp/t/
当日券:前売り券に残数のある上映作品に限り、上映当日開館時より劇場窓口にて販売。一般1,700円/大学・専門学校生1,400円/会員・シニア1,200円/高校生800円/中学生以下500円
※各回とも開場は15分前。全席自由、前売券、当日券の順に整理番号順での入場とさせていただきます。

【第2期】
会場:東京日仏学院
会期:2011年7月2日(土)〜7月24日(日)
入場料金:会員は500円、一般は1,000円
※当日の1回目の上映の1時間前より、すべての回のチケットを発売します。開場は20分前。全席自由、整理番号順での入場とさせて頂きます。
※プログラムはやむを得ぬ事情により変更されることがありますが予めご了承下さい。


横浜日仏学院シネクラブ(横浜フランス月間2011)
『悪意の眼』

会場:東京藝術大学 (横浜・馬車道校舎)大視聴覚室
日時:2011年7月9日(土)18時
講師:大寺眞輔 ゲスト:柳下 毅一郎
料金:一般1,200円、会員600円(芸大生無料)
お問い合わせ:横浜日仏学院(045-201-1514)
上映スケジュール

【ユーロスペース】
6月25日(土)
13:30
肉屋
(95分)


15:30
ヴィオレット・ノジエール
(124分)
18:30
刑事ベラミー
(110分)



21:00
女鹿
(88分)

6月26日(日)
13:30
美しきセルジュ
(93分)

15:30
いとこ同志
(110分)


18:30
虎は新鮮な肉を好む
(85分)


21:00
不貞の女
(95分)

6月27日(月)
13:30
不貞の女
(95分)


15:30
石の微笑
(111分)


18:30
虎は新鮮な肉を好む
(85分)


21:00
パリところどころ
(97分)
6月28日(火)
13:30
女鹿
(88分)


15:30
パリところどころ
(97分)

18:30
石の微笑
(111分)



21:00
虎は新鮮な肉を好む
(85分)
6月29日(水)
13:30
パリところどころ
(97分)

15:30
石の微笑
(111分)


18:30
美しきセルジュ
(93分)


21:00
いとこ同志
(110分)

6月30日(木)
13:00
いとこ同志
(110分)


15:30
美しきセルジュ
(93分)

18:30
肉屋
(95分)



21:00
刑事ベラミー
(110分)

7月1日(金)
13:00
ヴィオレット・ノジエール
(124分)
15:30
肉屋
(95分)


18:30
刑事ベラミー
(110分)
上映前に、ジャン=フランソワ・ロジェによる作品紹介あり


【東京日仏学院】
7月2日(土)
11:00
二重の鍵
(100分)


13:30
野獣死すべし
(113分)
上映後、ジャン=フランソワ・ロジェの講演会あり
18:00
夜になる直前
(106分)

7月3日(日)
11:00
血の婚礼
(91分)


13:30
職人、クロード・シャブロル
(53分)

15:30
野獣死すべし
(113分)

18:30
二重の鍵
(100分)

7月5日(火)
11:30
ダンディ
(99分)


14:00
血の婚礼
(91分)


16:30
オフェリア
(102分)

19:00
若鶏のヴィネガー煮込み
(110分)
7月6日(水)
11:30
沈黙の女
ロウフィールド館の惨劇

(111分)
14:30
主婦マリーがしたこと
(110分)

17:00
職人、クロード・シャブロル
(53分)
19:00
気のいい女たち
(95分)

7月10日(日)
11:00
若鶏のヴィネガー煮込み
(110分)

14:00
汚れた手をした無実の人々
(120分)

17:00
オフェリア
(102分)

19:30
ダンディ
(99分)

7月15日(金)
11:00
夜になる直前
(106分)


13:30
汚れた手をした無実の人々
(120分)

16:30
気のいい女たち
(95分)

19:00
破局
(124分)

7月16日(土)
11:00
破局
(124分)
14:00
仮面
(100分)
16:45
ふくろうの叫び
(102分)

19:00
沈黙の女
ロウフィールド館の惨劇

(111分)
7月17日(日)
11:00
嘘の心
(113分)
13:30
たわむれ
(100分)
16:00
ふくろうの叫び
(102分)

18:30
刑事ラヴァルダン
(100分)


7月22日(金)
11:00
たわむれ
(100分)
13:30
嘘の心
(113分)
16:30
刑事ラヴァルダン
(100分)

19:15
仮面
(100分)


7月23日(土)
11:00
愛の地獄
(100分)
13:30
権利の陶酔
(102分)
16:00
主婦マリーがしたこと
(110分)
18:45
ベティ
(103分)


7月24日(日)
11:00
ベティ
(103分)
13:30
愛の地獄
(100分)
16:00
権利の陶酔
(102分)

18:30
悪意の眼
(80分)


 
上映プログラム

© Gaumont
『美しきセルジュ』
1958年/93分/35ミリ/モノクロ/日本語字幕付
出演:ジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ、ベルナデット・ラフォン、クロード・セルヴァル

肺病の療養のため田舎に帰省したフランソワは、酒に溺れているかつての親友セルジュを救おうとすが、セルジュの義妹マリーに誘惑されて...。ゴダール、トリュフォーらに先駆けて発表したヌーヴェル・ヴァーグの原点とも言える長編デビュー作で、シャブロルの生まれ故郷のサルダンで撮られている。当時ジェラール・ブランと結婚していたベルナデット・ラフォンが、マリー役を妖艶な魅力で演じている。
© Gaumont
『いとこ同志』
1959年/110分/35ミリ/モノクロ/日本語字幕付
出演:ジェラール・ブラン、ジャン=クロード・ブリアリ、ジュリエット・メニエル

田舎町からパリへ法学の勉強のため上京したシャルルは、パリで贅沢な生活を送る同い年のいとこポールのアパルトマンで同居することになる。真面目な性格のシャルルは、次第にポールの放埒な生活に影響されていき...。瑞々しいイマジネーションと撮影の名手アンリ・ドカエのスピーディなキャメラワークが融合。主演二人の配役と舞台設定と、物語の結末など、前作「美しきセルジュ」と裏表の構成を成す姉妹編といえるだろう。
© Tamasa Distribution
『二重の鍵』
1959年/100分/35ミリ/カラー/英語字幕付
出演:マドレーヌ・ロバンソン、ベルナデット・ラフォン、ジャン=ポール・ベルモンド、アントネッラ・ルアルディ

南仏の広大な屋敷に住むマルク一家の主人アンリは、向かいの貸家に若い愛人レダを住まわせていた。妻のテレーズがヒステリックになればなるほど、レダへの愛は募るばかり。レダをアンリに紹介した遊び人のラズロは、娘エリザベートの婚約者として家の中で好き勝手に振舞っており、マザコン気味の息子リシャールは父の無情に神経を尖らせていた。そんなある日の午後、一家の女中ジュリーがレダの死体を発見する...。
© Tamasa Distribution
『気のいい女たち』
1960年/95分/16ミリ/モノクロ/英語字幕付
出演:ベルナデット・ラフォン、ステファーヌ・オードラン、クロティルド・ジョアノ、ルシール・サン・シモン

電気店に勤める4人の若きパリジェンヌの、怠惰な昼と刺激に満ちた夜の"二重生活"を、これぞヌーヴェル・ヴァーグという瑞々しいタッチで奔放に綴った作品。ジェーンはいとも簡単に男たちの誘いに乗り、リタは平凡な求婚を受けた。仲間の中で一番地味なジネットが人知れずクラブの歌手をしているのを偶然に発見する娘たち。一方、大恋愛を夢見るジャクリーンは、彼女を死へと導く危険な出会いに巻き込まれていく...。
© Tamasa Distribution
『ダンディ』
1960年/99分/35ミリ/モノクロ/無字幕・作品解説配布
出演:ジャン=クロード・ブリアリ、シャルル・ベルモン、ベルナデット・ラフォン

良家の出の青年ローランは、若く、美しいンアブワシーヌと自分の友人をくっつけたり、離れさせたりしている。パリで無為な時間を過ごす若者、というヌーヴェル・ヴァーグ的な人物ともいえるローランは残酷さや遊戯への子供のような悦びにのみ突き動かされていく。
© Tamasa Distribution
『悪意の眼』
1961年/80分/35ミリ/モノクロ/日本語字幕付
出演:ジャック・シャリエ ステファーヌ・オードラン、ヴァルター・レイヤー

若きジャーナリスト、アルバンは、ドイツ人の日常生活についてのルポタージュを書くために、作家のアンドレアス・ハートマンとその妻エレーヌに近づく。アルバンは幸福そうな二人に嫉妬し、エレーヌを誘惑する。エレーヌを尾行するうちに、彼女の秘密をつかんだアルバンは、彼女を我が物とするため脅迫という手段を取るが...。まさにヒッチコックを思わせる「視線」のサスペンス・ドラマ。
© Gaumont
『オフェリア』
フランス/1961-62年/102分/35ミリ/モノクロ/無字幕・作品解説配布
出演:アリダ・ヴァリ、クロード・セルヴァル、ジュリエット・メニエル、アンドレ・ジョスラン

精神的に不安定な青年が、父の死の後、母と伯父の再婚に深いショックを受け、想像の世界に引き篭もっている。フランスの田舎町でシャブロル的「ハムレット」が演じられ、そこでは家族それぞれが深刻な秘密を隠している。
© Roissy Films
『虎は新鮮な肉を好む』
1964年/85分/35ミリ/モノクロ/日本語字幕付
出演:ロジェ・アナン、ダニエラ・ビアンキ、マリオ・ダヴィド、ロジェ・デュマ、マリア・モーバン

超音速ジェット戦闘機ミラージュ4型の売買条項を含む通商協定がフランス=トルコ間で結ばれることとなった矢先、交渉にあたっていたフランス人顧問がトルコ商相バスキンと間違えられ暗殺された。トルコ代表団を迎えるオルリー空港では、"虎"の異名をもつ秘密諜報組織員ラピエールとその仲間が警戒にあたっていた。果たして本当のスパイは誰なのか?
© Les Films du Losange
『パリところどころ』
フランス/1965年/97分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
監督:ジャン=ダニエル・ポレ、ジャン・ルーシュ、バーバラ・ウィルキンド、エリック・ロメール、ジャン=リュック・ゴダール、クロード・シャブロル
出演:クロード・メルキ、ナディーヌ・バロー、ジョアンナ・シムカス、ステファーヌ・オードラン、ジル・シュッソー

ヌーヴェル・ヴァーグを代表する監督6人が、パリの街を題材にそこに暮らす人々の姿を描くオムニバス映画(全6話)。製作は、当時24歳の若手プロデューサーで、現在は監督として活躍するバーベット・シュローダー。シャブロルは、第6話「ラ・ミュエット」の監督・脚本・出演を努めた。撮影はジャン・ラビエが担当。パリの高級住宅地16区に住むブルジョワ一家の悲劇を描く。
© Artedis
『女鹿』
1968年/88分/DVD/カラー/日本語字幕付
出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャクリーヌ・ササール、ステファーヌ・オードラン

父の莫大な遺産で気ままな一人暮しをしているフレデリックは、晩秋のパリの街角で貧しい画家志望の娘ホワイを拾う。貧乏暮らしにうんざりしていたホワイは、フレデリックの好意に甘え、全く気性の違う女二人の同居生活が始まる。シャブロルの絶頂期を告げる端緒となった作品で、女ふたりの同性愛的な愛憎関係が濃厚にほのめかされた摩訶不思議で官能的な作品。
© Artedis
『不貞の女』
1968年/95分/DVD/カラー/日本語字幕付
出演:ステファーヌ・オードラン、ミシェル・ブーケ、モーリス・ロネ

ふとした偶然で妻の不倫を知った男は、相手の男を突き止め訪ねる。ゆっくりと破局へ向かっていくある家庭を描いたシャブロルの最高作の一本。数少ない登場人物、切り詰められた台詞と控え目な俳優の演技。ミニマルな姿勢に徹することで達成された高度なサスペンス描写と繊細極まる心理描写は、シャブロルの作品中屈指の精妙さを誇る。
© Artedis
『野獣死すべし』
1969年/113分/35ミリ/カラー/英語字幕付・7月2日の回のみ日本語同時通訳付
原作:ニコラス・ブレイク『野獣死すべし』
出演:ジャン・ヤンヌ、ミシェル・デュショソワ、モーリス・ピアラ

息子のマイケルをひき逃げされた作家のテニエは、復讐を誓い、犯人の"殺人計画"を黒い手帳に記し続けていた。偶然から事故の当日に車を運転していたのが自動車修理工のポール・ドクールだと確信する。テニエは彼の妹ヘレンを愛するようになるも、彼女を利用してドクール邸に泊まりこむことに成功し、完全犯罪を思い立つが...。ジャン・ヤンヌが「野獣」を見事に演じている。多くの批評家からシャブロルの最高傑作の一本と評される。
© Artedis
『肉屋』
1969年/95分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
出演:ステファーヌ・オードラン、ジャン・ヤンヌ、アントニオ・パッサリア

ペリゴール地方の小さな村で小学校の教師を務めるエレーヌは、ある結婚式でインドシナ戦争とアルジェリア戦争からの帰還兵で現在は肉屋として働いているポールと知り合い、次第に親しくなっていった。その後、女性連続殺人事件が起こり、村の穏やかな日常が乱されている中、子供たちとピクニックに出掛けたエレーヌは、惨殺死体を発見する...。人間精神の闇を静かに、鋭く、描き出す、悲痛で奇妙な愛の映画。
© Artedis
『破局』
1970年/124分/16ミリ/カラー/英語字幕付
原作:シャーロット・アームストロング『風船を売る男』
出演:ステファーヌ・オードラン、ジャン=ピエール・カッセル、ジャン=クロード・ドルオー、ミシェル・ブーケ

エレーヌの夫でドラッグ漬けのシャルルは発作的に幼い息子のミシェルに怪我をさせしまう。恐怖を感じたエレーヌは、シャルルと別れることを決意する。一方、シャルルの父は孫のミシェルを手元に引き取りたいあまり、ポールという男を雇い、エレーヌの汚点を見つけ出そうと躍起になる。
© Artedis
『夜になる直前』
1970年/106分/ベータカム/カラー/英語字幕付
出演:ミシェル・ブーケ、ステファーヌ・オードラン、フランソワ・ペリエ、ドミニク・ザルディ

広告代理店の社長シャルルは、親友の建築家フランソワの妻ラウラからSMプレイへと引き込まれ、パリのアパートで密会を重ねていた。ある日ラウラに挑発されたシャルルは彼女を本当に絞殺してしまう...。事件の後、フランソワの元に駆け込んだシャルルは、ともに郊外の高級住宅地ヴェルサイユまで帰り、妻のエレーヌと二人の子どもとの日常を取り戻すべくもがいていた。シャブロル曰く、『不貞の女』と左右対称にしたような作品で、どちらも劣らぬ傑作になっている。
© Artedis
『血の婚礼』
1973年/90分/16ミリ/カラー/無字幕・作品解説配布
出演:ステファーヌ・オードラン、ミシェル・ピコリ、クロード・ピエプリュ、クロティルド・ジョアノ

フランスのある田舎で実際に起こった事件を元にした作品。市会議員を務めるピエールは、下院議員兼市長のポールの妻リュシエンヌと深く愛し合っている。ピエールは、ある晩、重病を患っている妻のクロティルドに睡眠薬を飲ませ、殺してしまう。また、リュシエンヌの夫ポールは、以前から二人の関係を知っており、それをネタにピエールをゆすってきた...ピエールは交通事故に見せかけてポールを殺害するが...。
© Artedis
『たわむれ』
1974年/100分/ベータカム/無字幕・日本語同時通訳付
出演:ポール・ジェゴフ、ダニエル・ジェゴフ、クレマンス・ジェゴフ、ポーラ・ムーア

フィリップは完全なる性的な自由を推奨していて、妻エステールにもその自由を享受するように勧める。しかし妻が実際に他の男と関係を持つと、嫉妬に狂い、妻を虐待し始める。ロメールの『獅子座』、そしてシャブロルの多くの作品の台詞を担当し、ヌーヴェル・ヴァーグの影の重要人物と言われているポール・ジェゴフが脚本、主演を担当し、実の妻も出演している。「おそらくポール・ジェゴフなしでは私の達成は遅れた、彼こそは私を解き放つ自由の体現者だ」(シャブロル)。
© Artedis
『汚れた手をした無実の人々』
1974年/100分/ベータカム/無字幕・日本語同時通訳付
原作:リチャード・ニーリィ『呪われた無実の人々』
出演:ロミー・シュナイダー、ロッド・スタイガー、ジャン・ロシュフォール

ファム・ファタールと刑事たち。仕事を引退し、年の離れた美しい妻ジュリーと暮らすルイ・ワルムセールは、心臓病を患っていて、妻との性的関係を持てず、その欲求不満から酒に溺れていた。一方、ジュリーは、ある作家と関係を持つようになり、ある時、ふたりでルイを殺害することを計画するのだが...。

© Les Éditions RenéChâteau
『ヴィオレット・ノジエール』
1978年/124分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
出演:イザベル・ユペール、ステファン・オードラン、ジャン・カルメ、リサ・ラングロワ

18歳のヴィオレットは、狭いアパートで厳しく彼女を監視する親のもとで暮らすことに息苦しさを感じていた。カルティエ・ラタンで自由に過ごすことを夢見、ある日、ヴィオレットは両親を殺してしまう。30 年代、実際に起きた事件を題材にしたシャブロルの代表作の一本で、ユペールとの最初作品(カンヌ国際映画祭最優秀女優賞)。この事件は当時、シュールレアリスムのアーティストたちの作品の題材になるほどフランス社会に大きな反響を呼んだ。
© Micheline Pelletier
『若鶏のヴィネガー煮込み』
1984年/110分/35ミリ/カラー/英語字幕付
原作:ドミニク・ルーレ『死体がひとつ多すぎる』
出演:ジャン・ポワレ、ミシェル・ブーケ、ステファン・オードラン、ポーリーヌ・ラフォン

ラヴァルダン刑事がある肉屋の死を捜査するためにフランスの田舎の小さな町を訪れる。ラヴァルダンは何人かの名士たちがあらゆる手段を講じて不動産の事業を立ち上げようとしていることを知る。題名の「若鶏のヴィネガー煮込み」はラヴァルダン刑事がシャブロル同様に料理好きなことがからきている。
© MK2
『刑事ラヴァルダン』
1985年/100分/35ミリ/カラー/英語字幕付
出演:ジャン・ポワレ、ジャン=クロード・ブルアリ、ベルナデット・ラフォン

カトリック信者の作家ラウル・モンスは、街の代表者たちに、冒涜的な芝居を禁止するために協力することを約束する。芝居は上演されなかったが、しばらくして海岸でラウルが裸のまま遺体で見つかる。ラヴァルダン刑事がこの事件の捜査を担当することになる。金髪の魅惑的な女性を演じるベルナデット・ラフォンは『めまい』のキム・ノヴァックを想起させる。
© MK2
『仮面』
1986年/100分/デジタル上映/カラー/英語字幕付
出演:フィリップ・ノワレ、ベルナデット・ラフォン、ロバン・ルヌーチ

著名なテレビ司会者でプロデューサーのクリスチャン・ルガニャールは若いジャーナリストのローラン・ウォルフから、彼についての本を書きたいと提案される。クリスチャンはローランに静かに仕事ができるようにと田舎にある別荘に誘う。いくつかの出来事の後、ローランは徐々にクリスチャンや彼の周りの人たちの「仮面」をはがしていくのだが、ついには自分の仮面をも脱ぐことになる......。
© Tamasa Distribution
『ふくろうの叫び』
1987年/102分/35ミリ/カラー/無字幕・日本語同時通訳付
出演:クリストフ・マラヴォワ、マチルダ・メリ、ジャック・プノー、ジャン=ピエール・カルファン

美しい女性ジュリエットにつきまとうひとりの男。それはヴィシーに住むデザイナーのロベールだった。ジュリエットもまた、彼を愛するようになるが、彼女にはパトリックという婚約者がいた。そしてロベールの先妻ヴェロニックもロベールを追い続ける。四人の間の縺れた糸が徐々に悲劇を招いていく。原作は、人間心理を巧みに描くアメリカの女性推理小説家パトリシア・ハイスミス。
© MK2
『主婦マリーがしたこと』
1988年/110分/DVD/カラー/日本語字幕付
出演:イザベル・ユペール、フランソワ・クリュゼ、マリー・トランティニャン、ニルス・タヴェルニエ

ナチ占領下の北フランス、主婦マリーはのもとに傷痍軍人として夫が復員するが、彼女の愛情は冷えきっていた。そんな折、マリーはふとしたきっかけで、にわか堕胎医となり、その収入で生活が徐々に豊かになる。しかし夫の密告により、マリーは逮捕され、ギロチンにかけられてしまう。シャブロルは、心理描写や時代背景を説明することより、限られた舞台セットの中で日常のディテールと登場人物たちのアクションを巧みに演出することで、彼らの "真実"に見事に達している。ユペールはヴェネチア国際映画祭にて主演女優賞受賞。
© MK2
『ベティ』
1992年/103分/35ミリ/カラー/英語字幕付
原作:ジョルジュ・シムノン『ベティー』
出演:マリー・トランティニャン、ステファン・オードラン、ジャン=フランソワ・ガロー

「穴」という名のレストランに身を寄せ、アルコールに溺れる若い女性ベティは、その店のオーナーマリオの愛人であるローラと知り合う。ローラはベティに手を差し伸べ、自分の屋敷に迎える。ベティはローラに自分の過去を話し始める...。ジョルジュ・シムノンのあまり知られていなかった同名小説をスクリーンに見事に蘇らせている。マリー・トランティニャンの怪優ぶりが素晴らしい。
© Jérémie Nassif
『愛の地獄』
1994年/100分/35ミリ/カラー/英語字幕付
オリジナル脚本:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー
出演:エマニュエル・ベアール、フランソワ・クリュゼ、マルク・ラヴォワーヌ、ナタリー・カルドーヌ

"地獄"、それはポールの"地獄"である。彼は美しい妻と満足の行く仕事に恵まれていながらも、妻が浮気をしているという妄想に取り付かれ、嫉妬のために徐々に狂気の中へと身を投じていく。ポーのようで、そこでは無意識の投影が行なわれ、"映画"が作り始められる。
© Jérémie Nassif
『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』
1995年/111分/DVD/カラー/日本語字幕付
原作:ルース・レンデル『ロウフィールド館の惨劇』
出演:イザベル・ユペール/サンドリーヌ・ボネール/ジャクリーヌ・ビセット/ジャン=ピエール・カッセル

カトリーヌは、工場主の夫ジョルジュ、ジョルジュの先妻の娘メリンダ、そして 高校生の息子ジルと快適な館に住み、自らもギャラリーのオーナーを務める理想的な現代女性。ある冬の朝、彼女は新しい家政婦ソフィーを迎えるが......。ユペールとボネールはその素晴らしい演技で、揃って95年ヴェネチア国際映画祭の主演女優賞に輝く。
© Jérémie Nassif
『嘘の心』
1998年/113分/35ミリ/カラー/英語字幕付
出演:サンドリーヌ・ボネール、ジャック・ガブラン、ヴァレリア=ブルーニ・テデスキ、ビュル・オジエ

ブルターニュの小さな漁村に、画家のルネと看護婦のヴィヴィアンヌは静かに暮らしていた。ある日、この町で10歳の少女が死体で発見される。少女はルネの絵画教室の生徒だったことから周囲から疑惑の目を向けられるルネ。夫のことで苦悩して いたヴィヴィアンヌは彼女に近づく人気作家のデモに次第に心を許していく。殺人犯かもしれない夫。不貞を働いているかもしれない妻。そして第二の犯罪が起こる。
© Moune Jamet
『石の微笑』
2004年/111分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
出演:ブノワ・マジメル、ローラ・スメット、オレール・クレモン

母と2人の妹と暮らす青年フィリップは、妹の結婚式で美しい女性センタと出会う。やがて二人は激しく燃え上がり、フィリップはすっかりセンタの虜になる。ある時、フィリップはセンタから愛の証明として4つの条件を突きつけられる...。『沈黙の女』に引き続き、イギリスの女流推理小説家ルース・レンデル原作の映画化で、熟成したフィルム・ノワールに仕上がっている。
© DR
『権力の陶酔』
2006年/110分/35ミリ/カラー/英語字幕付
出演:イザベル・ユペール、フランソワ・ベルレアン、ロバン・ルヌッチ、マリリン・カント

予審判事のジャンヌ・シャルマン=キルマンは、複雑な横領事件を解決する任務に就き、ある産業グループのトップに嫌疑をかける。ジャンヌは調査を進めるうちに、自分の権力が大きくなっていくことに気がつく。はたして人間はどこまで権力の陶酔に抗することができるのだろうか?「シャブロルは、演技において私に限りない自由を与えてくれました。まるで想像の世界が広がっていくためのみに、私と撮りたいと彼が望んでいたかのようでした。」(イザベル・ユペール、「カイエ・デュ・シネマ660号」
© TF1 International
『刑事ベラミー』
2009年/110分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
出演:ジェラール・ドパルデュー、クロヴィス・コルニアック、ジャック・ガンブラン

警視のポール・ベラミーと妻のフランソワーズのもとに、素行の悪い腹違いの弟ジャックが訪れる。そんな折、ベラミーはノエル・ジャンティという男から連絡を受ける。ジャンティは、ある男を殺してしまったかもしれないと恐れているが、それが誰なのかは決して話さない。ベラミーは彼に興味を持ちひとりで捜査に乗り出すが......。親密で秘密めいたこの傑作によってシャブロルのフィルモグラフィーは閉じることになる。
© MK2
『職人、クロード・シャブロル』
2003年/53分/デジタル上映/カラー/英語字幕付
監督:パトリック・ル・ガル
出演:クロード・シャブロル、ナタリー・バイ、イザベル・ユペール、フランソワ・クリュゼ、ジャン・ドゥーシェ

『悪の華』の撮影中、シャブロルはいつものようにパイプを口にくわえながら、穏やかな表情で、俳優やスタッフに簡潔に指示を与えている。お馴染みの俳優たちや、スタッフ、批評家の証言、そして本人の言葉も交えて、処女作『美しきセルジュ』から始まるシャブロル映画の秘密、魅力に迫る貴重なドキュメンタリー。


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