(上原輝樹) |
2013.6.12 update |
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『開いた口』 フランス/1974年/85分/35ミリ/カラー/無字幕・作品解説配布予定 監督:モーリス・ピアラ 出演:ナタリー・バイ、フィリップ・レオタール、ユベール・デシャン オーヴェルニュ地方の小さな町で、癌を患った女性が人生最後の一時を過ごしている。身の周りにいる家族はやがて訪れる彼女の臨終を受け止めながらも、生きていかなければならなくなる。彼女の夫と息子は今まで以上に生きる実感を必要とするかのように、女性を追いかけ続ける一方で、義理の娘は死に逝く母への恨みを反芻する。ついに彼女は息絶え、家族に大きな空白を残していくが、それでも人生は続いていく。 |
『緑色の部屋』 東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品 フランス/1978年/94分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:フランソワ・トリュフォー 出演:ナタリー・バイ、ジャン・ダステ、ジャン=ピエール・デュコス、フランソワ・トリュフ 第一次世界大戦から10年後の1928年、フランス東部の小さな町。家政婦と聾唖の少年ジョルジュと共にひっそりと暮らすジュリアンの家には、若くして亡くなった妻ジュリーの写真や遺品を飾った「緑色の部屋」があった。ある日彼は、妻の形見を買い戻すために出かけた競売で、セシリアという女性と出会う。ジュリアン同様、死者を大切にする心を持っていたセシリアと親しくなったジュリアンは古い礼拝堂を買い取って、死者たちのための祭壇を一緒に管理することにしたのだが...。トリュフォーは自作への3度目の出演となるこの作品で、「いかに死者を愛せるか」というテーマを打ち出した。 その象徴である「死者たちの祭壇」の無数のロウソクの光について、 監督は哲学者バシュラールの言葉 「夢想を呼び起こすこの世にあるかぎりの物象のなかでも、 炎は最大の映像要因のひとつである」を引いている。 |
『勝手に逃げろ/人生』 フランス=オーストリア=西ドイツ=スイス/1979年/88分/デジタル上映/カラー/日本語字幕付 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演:ナタリー・バイ、イザベル・ユペール、ジャック・デュトロン 1967年に商業映画との決別を表明したジャン=リュック・ゴダール監督の商業映画復帰作。スイスを舞台に「-1=勝手に逃げろ」「0=人生」という短い導入部に続いて、テレビ局のディレクター、ポール・ゴダールとその元恋人のドゥニーズ・ランボー、娼婦のイザベル・リヴィエールという3人の男女を主人公にした4つの"楽章"「想像界」「恐れ」「商売」「音楽」が微妙に連関性を持ち、相互に補い合いながら全体を構成している。唐突なスローモーションをはじめとする瑞々しい驚きに満ちた演出が施されている。 |
『真夜中のミラージュ』 フランス/1984年/110分/35ミリ/カラー/無字幕・作品解説配布予定 監督:ベルトラン・ブリエ 出演:ナタリー・バイ、アラン・ドロン、ジャン=フランソワ・ステヴナン 自動車販売会社をパリで経営する主人公ロベール・アブランシュ、彼は妻との悪化した関係を精算すべく全財産をスイスの銀行から引き出した帰りの列車の車中で突然現れたひとりの見知らぬ女性、ドナシエンヌと一度きりの約束で関係を持つことになる。その彼女の魅力に虜になってしまったロベールは彼女を追いかけて途中下車し、彼女の家に居座り続け、周りの人間を巻き込んだ騒動に発展していく。そんなロベールに嫌気が差して家を出て行ったドナシエンヌの行方を追いかけ、雪の降りしきる田舎の村の学校にたどり着いたロベールはそこで教師をしている新たなドナシエンヌに遭遇する。天使のようなドナシエンヌに癒されてすべての悩み事から開放されたかに思えたロベールだったが...。 |
『ゴダールの探偵』 フランス=スイス/1985年/95分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:ジャン=リュック・ゴダール 出演:ナタリー・バイ、ジョニー・アリディ、ローラン・テルジェフ、オレール・ドアザン、ジャン=ピエール・レオー、ジュリー・デルピー 四組のグループの錯綜した関係をゲーム感覚で並走させる、ゴダール流フィルム・ノワール。パリの一流ホテル、コンコルド・サン・ラザールの一室のベランダに取りつけられたビデオ・カメラが街の下の方を映し出す。ここに陣取って恋人のアリエルと共に張り込みを続けているのは、現職の刑事イジドール。彼は、ホテルに雇われた探偵だった叔父ウィリアムの二年前の"しくじり"を挽回しようとしていた。一方、パイロットの 夫ルチアーノと共にチャーター機会社を営むフランソワーズことジェヌヴィエーヴは、マフィアの金4000万フラン横領したボクシング・ジムの経営者 フォックスから、彼に貸した金4000フランを取り返し、夫と別れ、再出発の資金にしようと考えていたのだが...。 |
『2週間ごと』 フランス/1990年/100分/35ミリ/カラー/英語字幕付 監督:ニコル・ガルシア 出演:ナタリー・バイ、ジョアキム・セロー、フェリシー・パソッチ・キャバレイ、ミキ・マノイロヴィッチ 路頭に迷う役者のカミーユは別れた夫と暮らしている子供たちに2週間に一度、週末を共に過ごす。しかし急遽、週末に地方で開催される特別上演に出演しなければならなくなり、子供たちを共に連れていくほかないと考える。しかし、彼女の無責任な計画を知った夫は激怒し、子供たちを連れ戻そうとする。カミーユは子供たちと親密な関係を取り戻す為にも、南へ向けて逃亡する。そんな中、カミーユは数日後スペインで滅多に見られない流星群が通ることを知り、彼女から次第に心が離れていっている天文学好きの息子、ヴァンサンに見に行くことを提案する...。 |
『エステサロン/ヴィーナス・ビューティー』 フランス/1999年/110分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:トニー・マーシャル 出演:ナタリー・バイ、オードレー・トトゥ、マティルド・セニエ、ビュル・オジェ、サミュエル・ル・ビアン 町のエステサロン"ヴィーナス・ビューティ"では、お手入れや美容のアドヴァイスは事欠かない。そこで、顧客の女性たちはつかの間の、あるいは、深く秘められた苦悩を語るのだ。そして中には男性もお客としてやってくる。クリームや妙薬、リラクゼーション、日焼けマシン、化粧品などなど...どういった理由でここに来るにしても、人々はほんの少しの永遠の美への希望と信頼を見出す。この美のサンクチュアリでは、オーナーのナディーヌとエステティシャンのアンジェル、サマンタ、マリーが働いている。アンジェルは、仕事が終わると男性との出会いと束縛のない恋愛を求めて、町へ向かうが、そんなある日、ずっと年の離れたアントワーヌに一目惚れされてしまい...。 |
『ポルノグラフィックな関係』 フランス=スイス=ベルギー=ルクセンブルク/1999年/80分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:フレデリック・フォンテーヌ 出演:ナタリー・バイ、セルジ・ロペス、ジャック・ヴィアラ、ポール・パヴェル 男と女は、互いの性的ファンタジーを分かち合おうと決めた...。女は、パートナー募集の広告にこたえてやって来た男とホテルで一夜を共にして以来、毎週木曜に同じ部屋で二人は身体を重ねる。セックスだけの関係なので、プライベートなことは聞かないことが暗黙の了解だったが、関係を続けていくうちに二人は互いに惹かれあっていくのだった...。 "私が『ポルノグラフィックな関係』で演じた役は「Elle(=彼女)」という名前です。それ以上のことを私は知りませんでした...。家族構成や、職業、社会的地位、名前もわかりませんでした。でも、ダイアローグとそれぞれの場面のもつ力のおかげで、私は私が演じてきた女性の中でも、彼女が最も気に入っていて、最もよく知っている女性だと感じています。本当のところ、私に与えられた最も美しい役なのです。" ナタリー・バイ |
『マチューの受難』 東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品 フランス/2000年/105分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ 出演:ナタリー・バイ、ブノワ・マジメル、フレッド・ユリス ノルマンディーのとある都市の労働者一家。父のフランシスとふたりの息子のマチューとエリックは同じ工場で働いていた。フランシスは、仕事場でタバコを吸ったという理由のために解雇されてしまう。その不当な扱いを経営側に抗議するため、マチューは工場の仲間の労働者、特に兄を動かそうとするが、無駄に終わってしまう。その後まもなくしてフランシスは急死し、マチューは自殺だと確信する。父を死へ追いやった雇い主に復讐するため、その妻を誘惑するが...。 |
『バルニーのちょっとした心配事』 フランス/2000年/85分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:ブリュノ・シッシュ 出演:ファブリス・ルキーニ、ナタリー・バイ、マリー・ジラン、ヒューゴ・スピアー バルニーはカレーに家を持つ、ごく普通のビジネスマン。仕事場のあるロンドンまで毎日ドーバー海峡を往復している。彼は妻のリュシーを熱愛しているが、マルゴとマークというふたりの愛人がいる。誕生日が近づいてきたある日、バルニーは「ロマンティックな週末を過ごすためのオリエント急行ヴェニス行きチケット」を妻と愛人たちの三人から受け取る...。果たしてバルニーは無事に誕生日を迎えることができるのだろうか...? |
『明日は上手くいく』 フランス/2000年/89分/35ミリ/カラー/英語字幕付 監督:ジャンヌ・ラブリュンヌ 出演:ナタリー・バイ、ジャン=ピエール・ダルッサン、ジャンヌ・バリバール、イザベル・カレー 家具を覆うためのシートを買う、という些細で取るに足らない出来事から、人々の間に仲違いや疑問、また絆が生まれる。新しいアパルトマンに引っ越し、家具をどうしたらいいかわからないエリザベスに、友人のマリーは倉庫にしまうよう助言する。それらの家具を覆うためのシートを買いに行った店で、ソフィーと知り合い、彼女に家具を譲り渡すことにするエリザベス。一方、ソフィーの夫グザヴィエは、精神科医でありながら、オステオパシー療法の医師でもあり、この二つの仕事の間で多くの問題を抱えることになる。彼は、妻のソフィーとエリザベスの間に突然生まれた友情に押しつぶされそうな感覚を覚え、疑いを持つようになるが...。 |
『悪の華』 フランス/2003年/141分/デジタル上映/カラー/日本語字幕付 監督:クロード・シャブロル 出演:ナタリー・バイ、ブノワ・マジメル、シュザンヌ・フロン、メラニー・ドゥーテ、ベルナール・ル・コク 罪悪感は、ある種の病のように、世代から世代へと伝染するのだろうか?償われていない罪は罪人にとって、またその子孫や家族にどのような影響をもたらすのだろうか? 第二次世界大戦後、対ドイツ協力問題を決済しようとする重苦しい雰囲気の中、ある犯罪に関わったひとりの女性に無罪を宣告された...。時は現在、製薬会社を営むブルジョワ家庭の妻が市長選挙に出馬し、政治キャンペーンに奔走している中、一家に匿名の中傷ビラが届けられる...。 "他の作品同様、悪意があり、また演出の支配者であるクロード・シャブロルは、フランスの大ブルジョワジーのアイロニックな肖像を描いた。『悪の華』という大団円を欠いた物語では、罪悪感が四方へ拡散し、善と悪の境界は最後まで不明瞭なままなのだ。" ジャン=バティスト・モラン 「レ・ザンロキュプティーブル」 |
『若き警官』 フランス/2004年/110分/35ミリ/カラー/英語字幕付 監督:グザヴィエ・ボーヴォワ 出演:ナタリー・バイ、ジャリル・ルペール、ロシュディー・ゼム キャロリーヌ・ヴォデューは、警察学校を卒業し、司法警察の第二捜査班に入るため、パリにやってきたアントワーヌを、自分の捜査班に引き入れた。キャロリーヌは、アルコール中毒症を克服し、仕事に復帰したばかりだった。アントワーヌはこの捜査班の仲間たちの傍らで見習いを始め、ヴォデューはすぐに熱意溢れるアントワーヌに愛着を抱くようになる。彼女の死んだ息子が生きていたらアントワーヌと同じ歳だったのだ...。グザヴィエ・ボーヴォワの監督長編4作目となる本作では、前作『マチューの受難』に引き続き出演のナタリー・バイが、息子を失い、自身も問題を抱えながら、警察という厳しい世界で働く女性警官をすばらしい演技で演じている。 |
『神のオフィス』 フランス=ベルギー/2008年/120分/35ミリ/カラー/英語字幕付 監督:クレール・シモン 出演:アンヌ・アルヴァロ、ナタリー・バイ、ミシェル・ブージュナー、ラシダ・ブラクニ、イザベル・カレー、ベアトリス・ダル 少女たちが悩むのは、母親や彼との関係。そして避妊の方法...。一方、妊娠や出産を控えた女性たちもまたそれぞれの事情から、アンヌ、ドゥニーズ、ヤスミン、ミレナたちの元を訪れる。彼女たちカウンセラーは、女性たちがどのようにしたら性の自由が可能なのかを自問する場面に立ち会う。女たちは、ここ「神のオフィス」に人目を忍んでやってきては、笑い、泣き、踊り、タバコを吸いながら、普通の、あるいは衝撃的な彼女たちの話を語るのだった。 "(職業俳優ではない俳優と共演するとき)プロの俳優のほうが、より難しさを感じると思います。なぜなら、職業俳優でない俳優たちは、プロの俳優がしてしまうかもしれないごまかしをすることなく、正当性や真実を伝えるからです。(...)大切なのは、「演じること」ではなく、そこに「いること」なのです。(...)クレールは発話している人よりも、聞いている人のことを多く撮影していましたが、彼女は正しいと思います。なぜなら、発話している人は、しばしば何かを聞かせるだけですが、聞いている人というのは、常に何かを語っているからです。" ナタリー・バイ |
『一緒に暮らすなんて無理』 フランス/2009年/96分/35ミリ/カラー/英語字幕付 監督:レア・ファゼール 出演:ナタリー・バイ、ピエール・アルディティ、アイサ・マイガ、エリック・カントナ 日々仕事と子育てに追われている若いカップルの元に、夫の裏切りとその愛人の妊娠を知った祖母がやってくる。ショック状態にある母の破天荒な振る舞いのせいで、息子カップルの精神は崩壊状態に...。一方、新たな息子の誕生と幸福に酔いしれた父が、ますます混乱を巻き起こし...。 "ナタリーは、音楽的な女優で、楽譜を作成するように役に取り掛かります。彼女はメロディーを探していて、いったん、彼女が良いハーモニーを見つけたら、そこに意味が生まれ、感情と面白みが現れ、そして身体が続くのです。(...)彼女の演技もまた、音楽的で、彼女は、自身の周りで起こっていることを聞くために沈黙を必要としているようかのようでした。"レア・ファゼール |
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