映画美学校、渋谷で再始動!
作り手と観客の開かれた関係を模索する、映画の家「キノハウス」



3/3(木)午後、渋谷で再スタートを切った映画美学校、キノハウスの内覧会に行って来た。顔がすぐに赤くなるのでお酒は固辞してB1F、1F、2Fと施設を拝見。B1Fの試写室は、傾斜が効いていてとても観易い。スクリーンの大きさと音響は「試写室」というよりは完全に「劇場」並み。公開予定映画の予告編集を上映していたので、幾つか観ていたのだが、『悲しみのミルク』の予告編がはじまり泣きそうになったので、急いで試写室を去る。TL上で同じように予告編だけで「泣いた」という方が何人も名乗り出るこのペルー映画、公開が待ち遠しい。 試写室奥には、アクター用のスタジオがあり、レクチャーやワークショップが行なわる、その手前にはMAルームも。 

1Fはカフェ&多目的スペース。たまたま居合わせた、新作中編『NINIFUNI』を仕上げたばかり、ワイン片手の真利子哲也監督と少し歓談、『レイチェル・カーソン 感性の森』が客足絶好調のアップリンクの方とも鉢合わせ、アカデミーは逃したものの公開が待望されているバンクシー『イグジット・スルー・ザ・ギフト・ショップ』関連の情報を頂戴する。3/13(日)北仲スクール主催『ボックスオフィスの彼方に』でダニエル・シュミット『書かれた顔』の上映&トークショーが楽しみな松本正道さんと堀三郎さんにもご挨拶させて頂いた。 堀さんのお話ではこれからはライブや落語会なども開催していくとの事。多角的な取り組みを通して、「キノハウス」を映画作家、俳優、ミュージシャン、制作者、配給、宣伝といった作り手と幅広い観客が交流できる開かれた場を創造していきたいという姿勢が伝わって来る。 

アラン・タネール『ジョナスは2000年に25才になる』とストローブ=ユイレ『労働者たち、農民たち』のポスターが出迎えてくれる2Fオーディトリウム渋谷では様々な特集上映や映画祭が予定されている。ダニエル・シュミット監督特集、ポルトガル映画祭、フレデリック・ワイズマン映画祭など、実に楽しみなラインナップが並ぶ。奥には、アップル・コンピュータやサウンド関連機器が装備されたレクチャー・ルームがあり、菊池成孔+岸野雄一によるライヴ&レクチャー、佐々木敦が主宰するHEADZの音楽プロジェクトも予定されているという。以下に、現在予定されているイベントなどのリリースを掲載。近々では昨年のTIFFグランプリを獲得したイスラエル映画『僕の心の奥の文法』が3/19に特別上映予定。映画祭で見逃した方は是非この機会に!
(上原輝樹)
2011.3.4 update
映画美学校は、渋谷移転にともない、新規講座を開講します。
【アクターズ・コース】
(映画美学校+青年団/こまばアゴラ劇場共同企画)
5月10日開講(初等科・高等科2年コース) ──講座は夜間+週末で行なわれます。
劇団青年団と映画美学校とのコラボレーションによる俳優養成講座です。実力派俳優による演技ワークショップを中心に、第一線で活躍する演劇人と映画人が協力して作成した画期的なカリキュラムで、映画、演劇、テレビなど幅広いメディアで活躍できるインディペンデントな俳優を養成します。
[カリキュラム・ディレクター]
平田オリザ(劇作演出家/青年団・こまばアゴラ劇場主宰)+塩田明彦(『どろろ』監督)
講師:古澤健(『オトシモノ』監督) 深田晃司(青年団/『歓待』監督) 古舘寛治(青年団/サンプル/俳優) 兵藤公美(青年団/俳優)ほか。

【脚本コース】
5月10日開講(初等科・高等科2年コース)──昼間および夜間コースがあります。
映画・テレビで活躍する脚本家とプロデューサーが協力して作成したカリキュラムにより、エンターテインメントなシナリオが執筆できる企画開発力を持った脚本家の養成を目指します。紙の上での指導が中心であった従来型のシナリオ講座とは一線を画し、優れた脚本はプロの映画監督が映画化します。
主任講師:高橋洋(『リング』脚本家) 村井さだゆき(アニメ『スチームボーイ』脚本家)

特定非営利活動法人「映画美学校」
◇映画美学校は、1997年にアテネ・フランセ文化センターとユーロスペースによる共同プロジェクトとして、欧米のアカデミー(芸術英才教育学校)の概念に近い学校を念頭に、撮影所における人材育成が途絶えた時代の映画教育をめざして設立。現在の受講生は約250人、創立以来の修了生数は3,500人余に及ぶ。現在は映画制作(フィクションおよびドキュメンタリー)、音楽制作、映像翻訳、映画上映専門家養成講座を実施、5月から新たに「アクターズ・コース」と「脚本コース」を開講予定。
◇映画美学校は、高橋洋、万田邦敏、青山真治、諏訪敦彦、瀬々敬久、塩田明彦、篠崎誠など現役の講師陣が指導に当っている。
◇映画美学校は、多くの優れた人材を輩出。清水崇が『The Juon/呪怨』で、日本人初の全米週興行成績No.1の快挙、加藤治代が『チーズとうじ虫』でナント三大陸映画祭ドキュメンタリー最高賞、横濱聡子が『ジャーマン+雨』で映画監督協会新人賞、「ヘヴンズ ストーリー」で佐藤有記が毎日映画賞脚本賞を受賞。その他にも『おとしもの』古澤健など5名が劇場公開作品の監督デビューを果たしている。またカンヌ映画祭「シネフォンダシオン」部門でも日本の学校として最多の4回選出されている。
KINOHAUS2階の「オーディトリウム渋谷」(客席数136席)は、多目的ホール(興行場)として映画上映、トークショウ、各種イベントなどによって、様々なジャンルの表現者と観客が交流する新しい文化の発信基地として渋谷を、そして停滞しているサブカルチャーを元気にします!

独自企画/共同企画
■映画プログラム
◇シネマテーク(古典映画から現代映画まで世界の映画を特集上映)
◇映画祭(ユーロスペースやシネマヴェーラ渋谷との連携も可能)
◇一般興行(ロードショー、モーニング、レイトショウ)
◇特別上映会(コンピュータによる日本語字幕投影にも対応可)

■トークプログラム
◇映画美学校公開講座(世界のドキュメンタリー、ノンフィクション講座、海外ゲスト講師特別講義等)
◇講演会・シンポジウム・ティーチ・インなど

■ライヴプログラム
音楽コンサート・演劇公演・落語会など

(ホール・レンタル)
完成披露試写会(1Fカフェ+小舞台付教室でのレセプション・パーティも可)、読者招待試写会、来日記念記者会見、新製品発表会など、特に映像設備の必要な催しにご利用ください。
今後の主なイベント予定
■映画プログラム
◇特別上映会/昨年の東京国際映画祭 東京 サクラ グランプリ受賞作品『僕の心の奥の文法』(3月19日)
◇シネマテーク/大津幸四郎キャメラマン特集(土本典昭監督の水俣シリーズで知られる名キャメラマンの特集)
◇ダニエル・シュミット監督特集(共催:ユーロスペース)
◇現代映画作家発見プロジェクト、世界の映画学校修了作品上映会
◇映画祭=ポルトガル映画祭、フレデリック・ワイズマン映画祭2011(共催:コミュニティシネマセンター)

■トークプログラム
◇定期開催「アクターズ・スタジオ」(仮称)(名優を招いて、主に俳優を志す若者たちに向けたトーク講座)
◇映画美学校公開講座 世界のドキュメンタリー(上映と作品分析)
◇ノンフィクション講座(ドキュメンタリスト、テレビディレクター、ノンフィクション作家による現代メディア論)
◇特別講義「春の映画表現論スペシャルー演技と演出」(映画作家による未来の映画作家のための映画表現論)
◇リレートーク100「21世紀と映画を語る」映画上映とゲストによるトーク(不定期)
◇シンポジウム=国際恐怖映画シンポジウム「イタリア怪奇映画の巨匠マリオ・バーヴァ」

■ライヴプログラム
◇菊池成孔+岸野雄一によるライヴ&レクチャー
◇HEADZ(佐々木敦主宰)音楽プロジェクト


映画美学校、渋谷で再始動!
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