(上原輝樹) |
2012.6.20 update |
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上映プログラム |
『ベルタのモチーフ』 1983年/118分/スペイン/35mm ゲリンの長編第1作は、陽光あふれる森、川のせせらぎ、 画面いっぱいに広がる草原、曲がりくねって地平線まで続く一本道、 風にそよぐ麦の穂そして自転車に乗る少女で出来ている。 父の農作業を手伝うベルタは無口な娘。ある日、草原で 不思議な帽子をかぶった男と出会う。それ以来、普段の生活に 波風が立ち始め、やがて町から撮影隊がやってくる...。 思春期の少女の内面を映画の原風景として描いた 衝撃のデビュー作! ロメール作品で名高い女優・歌手のアリエル・ドンバール出演。 |
『影の列車』 1997年/82分/スペイン/35mm 1930年のある朝、忽然と消えてしまったアマチュア映画監督。 その3ヶ月前に彼は自分の家族を撮影していた。 ゲリンは彼の残した古いフィルムを使い新たな映画を作りだす。 家族の住んでいた家を訪ね、無人の邸内で 光と影の戯れにレンズを向ける。 傷んだモノクロフィルムによるシュールな映像と 色鮮やかな色彩で撮られた風景が巧みな編集で ミステリアスな物語を紡ぎだす。 "失われたもの"をめぐる前衛的メロドラマの傑作! |
『シルビアのいる街の写真』 2007年/67分/スペイン/デジタル フランスのクリス・マルケル監督による実験映画の傑作 「ラ・ジュテ」('62)を想起させる無数のモノクロ・スチル。 「シルビアのいる街で」の構想ノートあるいは 作家ゲリンの内面に追ったデッサン集ともいえる本作は、 22年前に知り合った女性の面影を追う男と 映画製作の準備を進める映像作家の想念が みるものに思考の揺らぎをもたらす詩的な一編。 「シルビアのいる街で」はどのように生まれたか? |
『シルビアのいる街で』 2007年/86分/スペイン、フランス/35mm 出演:グザヴィエ・ラフィット、ピラール・ロベス・デ・アジャラ 6年前に愛し合った女性シルビアの面影を求めて 想い出の地をさまよう画家志望の青年。 アルフレッド・ヒッチコックの「めまい」を想起させる 美女の追跡劇と恋物語が、緻密な音響設計と映像で構成され みるものをどことも知れぬ異空間へと誘う。 フランスの古都ストラスブールでオールロケを敢行した本作は、 ゲリン入門編として最適の1本である。 |
『イニスフリー』 1990年/108分/スペイン、フランス、アイルランド/デジタル ジョン・フォードが故郷へオマージュを捧げた 傑作「静かなる男」の舞台、 アイルランドのイニスフリーをめぐるドキュメンタリー。 テクニカラーの華麗な色彩で描かれる ジョン・ウェインとモーリン・オハラの恋物語を直接引用しつつ、 今も撮影当時そのままの姿で残る緑溢れる村々や 自然と共に生きる人々を劇映画の手法を用いながら描いた作品。 ゲリンの映画愛に震える一編。 |
『工事中』 2001年/133分/スペイン/35mm ロマンチストで幻視者の一面をもつゲリンだが、本作では うって変わった社会派ドキュメンタリストの顔をのぞかせている。 数年に渡りバルセロナの歴史地区、エルバラルの 大規模再構築現場を記録した映像は、 都市郊外の変貌をみつめそこに住む人々の日常や 壊れゆく風景を優しく切り取っていったもの。 過去と未来のイメージに現在を重ね合わせた ドキュメンタリー映画の傑作! スペインの権威あるゴヤ賞最優秀ドキュメンタリー賞を獲得した。 |
『ゲスト』 2010年/133分/スペイン/35mm 世界中の映画祭に招待された「シルビアのいる街で」。 映画と共に数多くの国々を訪れたゲリンは、 自ら小型のデジタルカメラを抱え次回作の構想をねりながら 行く先々の人々や都市の光景を撮影。 映画祭の喧騒をあえて撮らず、街で暮らす人たちの懐に飛び込み 彼らの生々しい存在感を写しとった映像は、 ドキュメンタリー映画を数多く手がけたゲリンならでは。 クールなモノクロ画面に都会の孤独と憂愁が滲む。 |
『メカス×ゲリン 往復書簡』 2011年/99分/スペイン/デジタル アメリカにおける前衛映画の旗手ジョナス・メカス。 リトアニア生まれの彼は自身の日常を叙情的に描く "日記映画"の達人である。 「ゲスト」に文字通りゲスト出演したメカスとかつての リュミエールにならってビデオカメラを片手に世界を放浪するゲリン。 魂の交流は見るものの思考を快よく刺激する。 2人の紡ぎだす映像が俳諧の連句を想わせるさまは 実にスリリング! |
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