フランス映画祭2014



まさしく"団長"と呼ぶに相応しい風格のトニー・ガトリフ(『ジェロニモ ― 愛と灼熱のリズム』)、『すべて彼女のために』(08)、『この愛のために撃て』(10)のフレッド・カヴァイエ(『友よ、さらばと言おう』)、『パパの木』(10)のジュリー・ベルトゥチェリ(『バベルの学校』)ら、日本でも既に公開作品のある監督たちの新作に加えて、注目の新鋭カテル・キレヴェレ(『スザンヌ』)とセバスチャン・ベベデール(『2つの秋、3つの冬』)の新作が見逃せない今年のフランス映画祭2014。10月開催予定の「没後30年 フランソワ・トリュフォー映画祭」に先駆けて上映される『暗くなるまでこの恋を』は、確かに、トリュフォー作品の中でも有名な"愛すべき失敗作"であるには違いないが、CGで作られた大量の動物たちの登場も何の映画的感興を与えてくれはしない『ノア 約束の船』などを見るより、余程豊かな映画の時間を味あわせてくれるだろう。珠玉の作品が厳選されている、アンスティチュ・フランセ東京開催「特集上映:女優たちの映画史」と併せて、女優たちが齎してくれる映画の豊かな時間に触れて夏を乗り切る英気を養いたい。
(上原輝樹)
2014.6.19 update
女優たちのフランス映画史 2014.6.24 update
6月27日(金)~30日(月)
会場:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇
料金:【当日券】一般1,700円/学生1,200円
【前売券】チケットぴあにて発売中 詳細はこちら 

お問い合わせ:ハローダイヤル 050-5541-8600 (8:00~22:00) 

公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2014/
上映スケジュール

<有楽町朝日ホール>
6月27日(金)
17:40
<オープニング作品>
フィニッシャーズ(仮)
(90分)
※セレモニー(約40分)後、作品上映開始
トークショー:
ニルス・タヴェルニエ監督、
ファビアン・エロー













6月28日(土)
10:30
バベルの学校
(89分)
トークショー:
ジュリー・ベルトゥチェリ監督、
ブリジット・セルヴォー二
14:00
イヴ・サンローラン
(106分) 

トークショー:
ジャリル・レスペール監督


17:30
素顔のルル
(87分) 



6月29日(日)
10:30
間奏曲はパリで
(99分)
トークショー:
マルク・フィトゥシ監督



14:00
ジェロニモ
-愛と灼熱のリズム

(104分)
トークショー:
トニー・ガトリフ監督
17:30
俳優探偵ジャン
(105分)
トークショー:
ジャン=ポール・サロメ監督


6月30日(月)
10:30
暗くなるまでこの恋を
(123分)




14:00
スザンヌ
(94分)



17:20
Fly Me to the Moon(英題)
(104分)
トークショー:
ダニー・ブーン

<TOHOシネマズ 日劇>レイトショー
6月27日(金)
21:00
2つの秋、3つの冬
(90分)
トークショー:
セバスチャン・べべデール監督
6月28日(土)
21:00
友よ、さらばと言おう
(90分)

トークショー:
フレッド・カヴァイエ監督


  

※開場は各回30分前。
※上映後に来日アーティストによるトークショーを予定している回があります。
なお、スケジュールやトークショー、サイドイベントは事情により予告なく変更となる場合があります。予めご了承ください。
※18歳未満の方は終映が23時を過ぎる上映回には、保護者同伴でもご入場いただけません。
作品ラインナップ

©2014 NORD-OUEST FILMS - PATHÉ PRODUCTION - RHÔNE-ALPES CINÉMA
『フィニッシャーズ(仮)』(De toutes nos forces)
監督:ニルス・タヴェルニエ
出演:ジャック・ガンブラン、アレクサンドラ・ラミー、ファビアン・エロー
2014/フランス/90分/ビスタ/5.1ch
配給:ギャガ 

車いす生活を送る17歳の少年、ジュリアン。失業中の父親ポールは、息子を愛してはいるが、正面から向き合うことができないでいた。そんな父の態度に不満を募らせる反抗期のジュリアンは、ある日、とんでもないことを思いつく―。それは、かつて父親が完走を果たせなかったトライアスロンの最高峰"アイアンマンレース"に一緒に出場するという計画だった!スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195km-強靭なアスリートですら完走困難と言われるこのレースへの挑戦はあまりにも無謀すぎると一度は断るポールだったが、ジュリアンの熱意が次第に彼の心を動かしていく。レース出場へ向け準備をはじめるふたりだったが、その前には様々な困難が待ち受けていた。母の反対、協会の拒絶、過酷なトレーニング、思わぬケガ―だが、壁を乗り越えるたび、ふたりは最強のバディへと成長していき、次第にその目的は、"出場"から、"完走"へと変わっていった。そして遂に、運命の日が訪れる。レース完走の制限時間は17時間。果たしてふたりはゴールできるのか―? 世界一過酷なアイアンマンレースを舞台に、親子の絆再生を瑞々しく描く、奇跡と感動の物語!
©DR
『2つの秋、3つの冬』(2 automnes, 3 hivers)
監督: セバスチャン・ベベデール
出演: ヴァンサン・マケーニュ、モード・ウィラー、バスティアン・ブイヨン、オドレイ・バスティアン
2013/フランス/90分/スタンダード/5.1ch 

33歳になっても定職につけない元画学生のアルマンは、ジョギングをしている最中に知り合ったアメリに心惹かれる。その後、夜道で二人の男たちに連れ去られようとしているアメリを偶然見かけたアルマンは、果敢にもアメリを救うために男たちに立ち向かい、腹を刺されてしまう。だが、この事件がきっかけとなり、アルマンとアメリは急接近する......。 昨年のフランス映画祭で主演作品『遭難者』、『女っ気なし』が上映され、現在のフランス映画界で最も注目される俳優の一人と言われるヴァンサン・マケーニュの魅力が全編に発揮された作品。映画はアルマンとアメリ、そしてアルマンの親友であるバンジャマンたちを加えた複数の男女たちの関係を断片的なエピソードの連鎖で描く。スタンダードサイズの画面の中、時折登場人物たちが真正面を向いて観客に語りかけるように独白するその特異なスタイルは、観客にとって登場人物たちがより一層親密に感じられる効果を上げている。アラン・タネールの『サラマンドル』、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』、あるいは様々なムンクの絵画など、劇中に様々な映画、美術、音楽が引用されている点も興味深い。 

<受賞歴>
2013年 トリノ国際映画祭 審査員特別賞
2013年 Cinessonne(エソンヌ県ヨーロッパ映画祭)観客賞
©Film du Losange
『ジェロニモ ― 愛と灼熱のリズム』(Geronimo)
監督:トニー・ガトリフ
出演:セリーヌ・サレット、ラシッド・ユセフ、ダヴィッド・ミュルジア
2014/フランス/104分/シネマスコープ/5.1ch 

30歳の女性ジェロニモは、南フランスの町で、問題のある少年少女の指導をしている。ある日、家族から結婚を強制されそうになったトルコ系の16歳の少女ニルは、ジプシーの恋人ラッキーの元へと逃れる。ふたりの駆け落ちは、それぞれの家族を対立させ、地区を巻き込んだ争いに発展する。ニルはダンサーの兄からの攻撃を恐れて姿を隠す。ジェロニモは、この地域の少年少女の指導に携わっている立場から、何とか事態を収拾させ不毛な争いを止めようと力を尽くすが...。
『ガッジョ・ディーロ』、『愛より強い旅』のガトリフ監督の最新作にして、今年のカンヌ国際映画祭の特別招待作品。 

<受賞歴>
2014年 カンヌ国際映画祭 特別招待作品
©Diaphana Films
『俳優探偵ジャン』(Je fais le mort)
監督:ジャン=ポール・サロメ
出演:フランソワ・ダミアン、ジェラルディン・ナカシュ、リュシアン・ジャン=バティスト
2013/フランス、ベルギー/105分/ビスタ/5.1ch 

かつては将来有望な新進俳優と目されたものの、何かと演技論を吹っかける性格が災いし、40歳になった今では大した仕事も来なくなってしまったジャン。妻子と別れ、金にも困っているジャンは職業相談所から奇妙な仕事を勧められる。それは殺人事件の現場検証で死体を演じるというものだった。アルプスのスキー・リゾートの町ムジェーブに赴いたジャンは、早速この新しい仕事を始める。事件を担当するのは女性捜査官のノエミ。だが、ノエミの状況分析に疑念を抱いたジャンは、真犯人は他にいるのではないかと思い始める......。昨年11月のローマ国際映画祭でワールド・プレミアを飾り、12月のクリスマス休暇にフランスで劇場公開された探偵映画の快作。監督は『ルーヴルの怪人』、『ルパン』などの娯楽大作で知られ、現在ではユニフランス・フィルムズの代表も務めるジャン=ポール・サロメ。『タンゴ・リブレ/君を想う』などに主演したベルギー出身のコメディアン、フランソワ・ダミアンがジャン役を演じている。アルプスの美しい風景の中に展開される真犯人探しのサスペンスのみならず、映画作家でもある才女ジェラルディン・ナカシュ演じるノエミとジャンとの間に展開される恋の行方からも目が離せない。
©Isabelle Razavet - Arturo Mio
『素顔のルル』(Lulu, femme nue)
監督:ソルヴェイグ・アンスパック
出演:カリン・ヴィアール、ブリ・ラネール、クロード・ジャンサック
2013/フランス/87分/シネマスコープ/5.1ch 

日本でも『陽のあたる場所から』(03)が劇場公開されているアイスランド出身の女性監督ソルヴェイグ・アンスパックがエティエンヌ・ダヴォドーのバンド・デシネ(ヨーロッパの漫画)を映画化した作品。主人公は40代の主婦ルル。就職面接に失敗したルルは、終電を乗り過ごし、大西洋岸の小さな町サン・ジル・クロワ・ド・ヴィで一夜を過ごす羽目になる。翌日、再び電車を乗り過ごしたルルは、夫と3人の子供たちが待つ家に帰ることを放棄し、この町にしばらくとどまることを決意する。自由に生きる初老の男シャルルと恋に落ち、同居を始めるルル。ルルの妹が心配してやって来るが、幸せそうに暮らすルルに対して家に戻るよう言い出せない。長女までもが町にやって来たのを知ったルルはシャルルのもとを離れ、偶然知り合った老女マルトの家に転がり込む。二人の間にはある種の友情が芽生え、ルルの新たな冒険が始まる......。アンスパックの監督デビュー作『Haut les cœurs !』(99)でも主演したカリン・ヴィアールが自由を求めて予想もつかない行動に出るヒロインを演じる。シャルルの二人の弟たちに代表されるように、社会からはみ出したような奇妙な登場人物たちが次々と登場するのも面白い。 

<受賞歴>
2013年サルラ映画祭(フランス) 女優賞
©Thomas Brémond © copyright Gaumont - LGM Cinéma
『友よ、さらばと言おう』(Mea Culpa)
監督:フレッド・カヴァイエ
出演:ヴァンサン・ランドン、ジル・ルルーシュ
2014/フランス/90分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
配給:ブロードメディア・スタジオ 

シモンとフランクは南フランスのトゥーロン警察に所属する優秀な刑事。彼らは良きパートナーであり良き友だったが、勤務中にシモンが人身事故を起こしたことから、二人の人生は一変する。シモンは服役し妻とも離婚、全てを失った。出所後、刑事を辞め警備会社で働くシモンだったが、いまは離れて暮らす最愛の息子が、偶然殺人現場を目撃したことからマフィアに命を狙われていることを知り、自らが息子を守りぬくことを決意。信頼するフランクの協力を仰ぎ壮大なマフィア組織に立ち向かっていくのだった...。
『すべて彼女のために』『この愛のために撃て』で、フランスが誇るいぶし銀のフィルム・ノワールに現代的なアクションを持ち込んでみせたフレッド・カヴァイエ監督、待望の最新作!愛する者を救うためにすべてを投げ打つ男――という得意のモチーフを継承しつつ、男同士の友情を前面に押し出した切なくも熱いドラマが展開。さらにフランスの超特急列車TGVが激走する中でのマフィアとの攻防戦がクライマックスを飾るなど、スケール感が大幅にアップ!渾身のサスペンス・アクションが誕生した!
©2012 SPLENDIDO QUAD CINEMA / TF1 FILMS PRODUCTION / SCOPE PICTURES / LES PRODUCTIONS DU CH'TIMI / CHAOCRP DISTRIBUTION / YEARDAWN
『Fly Me to the Moon』(英題)
監督:パスカル・ショメイユ
出演:ダイアン・クルーガー、ダニー・ブーン、アリス・ポル、ロベール・プラニョル
2012/フランス/104分/シネマスコープ/5.1ch
配給:ファントム・フィルム 

イザベルは、イケメン歯科医師の彼氏ピエールとパリ郊外で同棲中。出会った頃と変わらず優しいピエールとの安定した生活は周囲も羨むものだった。付き合って10年、二人は自然と結婚を考え始めていた。
しかし、イザベルにはその結婚になかなか踏み込めない理由があった。それは「一度目の結婚は必ず失敗する」というイザベルの家系に代々伝わるまるで呪いのようなジンクスだった。結婚式を数ヵ月後に控えたイザベルは、ピエールと結婚する前までに何とかして、バツイチになる決意をする。そして、そのパートナー探しの旅に出ることにする。意外にもその"カモ"はすぐに見つかった。デンマーク行きの飛行機でとなりの席に座ったジャン=イヴという旅行ガイドの編集者。お調子者で、女性にまったくモテなさそうなこの男こそイザベルが探していた"バツイチ"の相手には完璧だった。ピエールとの結婚のため、パリ、ケニア、そしてロシアへ...。理想の相手とは正反対のジャン=イヴとの最低でそして最高の婚活旅行が始まった。
©DR
『間奏曲はパリで』(La Ritournelle)
監督:マルク・フィトゥシ
出演:イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・ダルッサン、ピオ・マルマイ
2013/フランス/99分/ビスタ/5.1ch 

50代の夫婦、ブリジットとグザヴィエは牛の畜産を営んでいる。仕事は順調だけれど、子どもは家を出て、夫婦2人だけの暮らしに何となく慣れない日々。そんなある時、近所でパリからやって来た若者の誕生パーティーが開かれ、ブリジットは25歳の魅力的なパリジャン、スタンに出会う。何とも言えない欲望と期待を胸に秘め、夫に嘘をついてパリへと出かけるブリジットだが...。監督のマルク・フィトゥシは、前作『コパカバーナ』(10)でもイザベル・ユペールを起用。良く練られたコメディには定評がある。本作は、フランスで2014年6月公開予定の最新作。
©DR
『スザンヌ』(Suzanne)
監督:カテル・キレヴェレ
出演:サラ・フォレスティエ、フランソワ・ダミアン、アデル・エネル
2013/フランス/94分/ビスタ/5.1ch 

デビュー作『聖少女アンナ』(10)が優秀な新人監督に与えられるルイ・デリュック賞を受賞した女性監督カテル・キレヴェレの待望の監督第2作『スザンヌ』は、奔放に生きる女性とその家族との関係を描く作品だ。映画は幼いスザンヌが他の子達と一緒に舞台でダンスする微笑ましい場面から始まる。母親は既に他界し、姉妹はトラック運転手として働く父親に育てられている。時が過ぎ、スザンヌは高校生となっている。ある日、学校に呼び出された父親は、スザンヌが妊娠しており、堕胎するには既に手遅れであることを知らされる。やがてスザンヌは男の子を生むが、好きな男ができると子供を父親のもとに残したまま消息を絶つ......。スザンヌの波乱に満ちた半生は、断片的なエピソードの連続によって語られる。通常ならば描かれるであろう劇的な瞬間はしばしば大胆に省略され、平凡な日常がいかに貴重であるかを実感させてくれる。スザンヌを演じるサラ・フォレスティエが素晴らしいのは言うまでもないが、特筆すべきは父親を演じたフランソワ・ダミアンであろう。主演作品『俳優探偵ジャン』とは全く異なる静謐な演技はこの俳優の懐の深さを証明してくれる。2013年カンヌ映画祭 批評家週間オープニング作品。 

<受賞歴>
2013年 カンヌ国際映画祭 批評家週間オープニング・ナイト作品
2013年 テッサロニキ国際映画祭 審査員特別賞
2014年 セザール賞 助演女優賞(アデル・エネル)
© Pyramide Films
『バベルの学校』(La Cour de Babel)
監督:ジュリー・ベルトゥチェリ
出演:ブリジット・セルヴォー二
2013/フランス/89分/ビスタ/5.1ch
配給:ユナイテッド・ピープル 

アイルランド、セネガル、ブラジル、モロッコ、中国...。11歳から15歳の子どもたちが世界中からフランスのパリにある中学校にやって来た。24名の生徒、24の国籍、そして24のストーリー。家庭的な事情でやってきたもの、辛い母国の生活から逃れてきたもの、亡命を求めてやってきたもの、または単によりよい生活を求めて移民して来たものなど理由は様々。 フランスに来たばかりの彼らが入ったのは適用クラス。このクラスでフランス語を学び、話せるようになるための集中トレーニングを受け、やがては通常のクラスに移るために、他の教科も学んでいく。国籍も宗教もフランスに来た理由も違う子どもたちの中には時に大声で口論し、泣き、自暴自棄になる子も。ブリジット・セルヴォニ先生は、そんな子どもたちを驚くほどの辛抱強さで見守り、なだめ、そして導いていく。
国籍も宗教も家庭のバックグラウンドも違う十代の生徒たちが、異国の地フランスで、言葉もままならないなか葛藤を抱えて新生活を初め、時にぶつかりながらも様々な壁を乗り越えて友情を育んでいく。そんな彼らの姿は私たちに未来への希望を見せてくれる。
© WY productions - SND - Cinéfrance 1888 - Herodiade - Umedia
『イヴ・サンローラン』(Yves Saint Laurent)
監督:ジャリル・レスペール
出演:ピエール・ニネ、ギョーム・ガリエンヌ、シャルロット・ルボン、ローラ・スメット
2014/フランス/106分/シネマスコープ/5.1ch
配給:KADOKAWA 

20世紀から現在に至るまで、揺るぎなき地位を築いたハイブランドの創始者にしてフランスが世界に誇る伝説のファッションデザイナー、イヴ・サンローラン。彼の輝かしいキャリアと人生の、その光と影を描きは、本国フランスで公開するや、初登場NO.1の大ヒットを記録した話題作。公私ともにサンローランのパートナーだったピエール・ベルジェ氏が全面協力し、イヴ・サンローラン財団が所有するアーカイブ衣装貸出しの許可も得て制作された、ブランド初公認の本格伝記映画が遂に日本上陸。 1957年、イヴ・サンローランは弱冠21歳で故クリスチャン・ディオールの後を継ぎデザイナー・デビューをした後、26歳で自らのブランドを設立。'スモーキング'や'サファリ・スーツ'、'モンドリアン・ルック'など20世紀のファッション史に残るコレクションで革命を起こし、今なお人気を誇るブランドの礎を築く。
サンローラン役に抜擢されたのは、国立劇団コメディ・フランセーズ在籍のピエール・ニネ。卓越した演技力でサンローランに酷似した容姿と繊細なキャラクターを見事に再現し、フランスの全国民を圧倒させた。
© 1969 Les films du Carrosse / Les Productions Artistes Associés / Produzione Associate Delphos
『暗くなるまでこの恋を』(LA SIRENE DU MISSISSIPI)
監督:フランソワ・トリュフォー
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、カトリーヌ・ドヌーヴ
1969/フランス、イタリア/123分/シネマスコープ/MONO
配給:マーメイドフィルム 

『幻の女』『暁の死線』など数多くの作品が映像化されているアメリカのノワール系作家ウィリアム・アイリッシュ(別名:コーネル・ウールリッチ)の名作「暗闇へのワルツ」をベースにして製作されたラヴロマンス・ミステリーの傑作。
サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックを敬愛、彼にロング・インタビューを敢行し、1冊の本を出してしまうほど傾倒したフランソワ・トリュフォー監督が華麗な映像美でみせる愛の逃避行。ヌーヴェル・ヴァーグの代表作ともいえるジャン=リュック・ゴダール監督の歴史的傑作『勝手にしやがれ』(60)で主人公の破天荒な生きざまを体現し、一躍フランスを代表する大スターの地位を確立したジャン=ポール・ベルモンドとジャック・ドゥミ監督の世界的大ヒット作『シェルブールの雨傘』(64)で可憐な美しさを披露し、センセーションを巻き起こしたカトリーヌ・ドヌーヴの2大スターが行き場のない恋にさまよう大人の男女を熱演。南の島レユニオンからスイスの雪山までヨーロッパ縦断の壮大なロケを行った恋愛映画の決定版。イヴ・サンローランのゴージャスな衣装を身にまとう若きドヌーヴのミステリアスでクールな存在感も必見!


フランス映画祭2014について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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