フランス女性監督特集



以前、『ユキとニナ』の公開時に諏訪敦彦監督にお話を伺った時に(http://www.nhk.or.jp/kodomo-blog/interview/33627.html)、フランスでは女性解放運動をやったその結果としてウーマン・リブを獲得したという歴史がある、ということを監督は仰っていた。今回、東京日仏学院で行われる「フランス女性監督特集」では、ミア・ハンセン=ラヴ監督の長編三作品を始め、女優としての活躍が既に知られているヴァレリア・ブルーニ=テデスキ、イジルド・ル・ベスコ、ジュリー・デルピー、ヴァレリー・ドンゼッリらの瑞々しい秀作の数々、女優並みに美しいレベッカ・ズロトヴスキ監督のデビュー作など、いずれも、カンヌやロカルノといった国際映画祭で高い評価を受けた作品がズラリと並ぶ。きっと、(以下にドミニク・パイーニが挙げている)これだけの才能がフランスから輩出されるまでには、そこに至るまでの闘いの歴史があったに違いない。そんなことも頭の片隅に置きながら、今回の特集上映を楽しみたい。
(上原輝樹)
2012.3.1 update
クレール・ドゥニ、パスカル・フェラン、ロランス・フェレイラ=バルボザ、レティシア・マッソン、パトリシア・マズュイ、ノエミ・ルヴォヴスキ、マリナ・ドゥ・ヴァン、エマニュエル・ベルコ、ソフィー・フィリエール、マイウェン、アゼル・ロペール、ロラ・ドワイヨン、イジルド・ル・ベスコ、ヴァレリア・ブリュニ=テデスキ、ヴァレリー・ドンゼッリ、ジュリー・デルピー、ソフィー・ルトゥルネル、カテル・キレヴェレ、レベッカ・ズロトヴスキ、ヴァレリー・マサディアン...。ここ何年かの間に出現した女流監督の名前を挙げようと思えばきりがないほどだ。 

ミア・ハンセン=ラヴはその中でも類いまれな才能を持つ映画作家のひとりだ。「カイエ・デュ・シネマ」で批評を書き、オリヴィエ・アサイヤスの2本の作品に出演したハンセン=ラヴは、短編処女作によって直ちに、監督としの才能を開花し、注目を集めるようになる。今回日本初上映となる最新作の『グッバイ・マイ・ファーストラヴ』は、若い女性が大人の道へと進んでいく道程を描く、眩いほどに美しい作品である。
ドミニク・パイーニ



2012年3月4日(日)〜3月18日(日)
主催・会場・お問い合せ:東京日仏学院
料金(当日券のみ):一般 1,000円 会員 500円
初回の1時間前から、当日全ての回のチケットを発売致します。

企画協力:ドミニク・パイーニ(映画批評家、元シネマテーク・フランセーズ館長)
ゲスト:ミア・ハンセン=ラヴ(映画監督)、ダヴィッド・ティオン(プロデューサー)、井口奈己(映画監督)、大野敦子(プロデューサー)
上映スケジュール
3月4日(日)
11:00
ラクダと針の穴
(110分)
13:30
あの夏の子供たち
(110分) 

16:30
17人の娘たち
(87分)


19:00
チャーリー
(95分)




3月8日(木)
10:40
ナナ
(68分)
12:40
チャーリー
(95分)

15:10
すべてが許される
(105分)


18:00
グッバイ・マイ・ファーストラヴ
(110分)
※上映後、ミア・ハンセン=ラヴとドミニク・パイーニによるトークショーあり
3月9日(金)
10:30
聖少女アンナ
(82分)
12:50
グッバイ・マイ・ファーストラヴ
(110分)
15:20
すべてが許される
(105分)


18:10
あの夏の子供たち
(110分)
※上映後、ミア・ハンセン=ラヴと井口奈己、大野敦子によるトークショーあり 

3月10日(土)
11:30
ラクダと針の穴
(110分)
14:30
パリ、恋人たちの2日間
(96分)

17:10
スカイラブ
(113分)
※上映後、ドミニク・パイーニによるレクチャーあり
3月11日(日)
11:00
トムボーイ
(82分)
13:30
彼女は愛を我慢できない
(88分)
15:40
パリ、恋人たちの二日間
(96分)
18:00
スカイラブ
(113分)
3月16日(金)
10:30
美しき棘
(80分)
18:00
17人の娘たち
(87分)
20:30
トムボーイ
(82分)
3月17日(土)
11:00
フィーリング
(94分)
13:30
ナナ
(68分)
15:30
美しき棘
(80分)
3月18日(日)
11:00
17人の娘たち
(87分)
13:30
聖少女アンナ
(82分)
16:00
フィーリング
(94分)
18:30
スカイラブ
(113分)
*プログラムは予告無く変更されることがあります。
*開場:各回上映20分前
上映プログラム

ミア・ハンセン=ラヴ監督作品
1981年、パリ生まれ。オリヴィエ・アサイヤス監督の『8月の終わり、9月の初め』(98)、『感傷的な運命』(00)への出演をきっかけに、国立高等演劇学校で演技を学ぶ。その後「カイエ・デュ・シネマ」にて批評活動を行いながら、短編映画を監督。長編処女作『すべてが許される』(07)はカンヌ国際映画 祭監督週間にて上映され、ルイ・デリュック賞を受賞。 二作目『あの夏の子供たち』にて、カンヌ映画祭《ある視点》部門の審査員特別賞受賞。自伝的三部作の最後を飾る最新作『グッバイ・マイ・ファーストラヴ』は、少女から大人になる過程が、瑞々しさと成熟さをもって描かれた眩いばかりに美しい作品で、ロカルノ映画祭で特別賞を受賞している。

『すべてが許される』
2006年/フランス=オーストリア/105分/35ミリ/カラー/英語字幕付
監督・脚本:ミア・ハンセン=ラヴ
出演:ポール・ブラン、マリ=クリスティーヌ・フリードリッヒ、ヴィクトワール・ルソー、コンスタンス・ルソー 

ウィーンで妻のアネットと幼い娘のパメラと暮らすヴィクトールは、仕事も辞め、昼も夜もふらふらと自堕落な生活を送っていた。愛情深い妻のアネットは、パリに戻りさえすればヴィクトールはまともになると信じていたが、状況は変わらず、ヴィクトールは愛人のジャンキーの家に転がり込んでしまう。ついに、アネットはヴィクトールと別れ、彼の前から姿を消す。それから11年後。17歳になったパメラは、パリで母と暮らしている。ある日、ヴィクトールが同じ街で暮らしていることを知り、父に会いに行こうと決意する...。

「この作品が呼び起こす惜しみない称賛を表すには、いくら言葉を尽くしても足りないだろう。優雅で、清らかで、奥深く...、その演出の正確さは、的確かつ繊細で、光線のように眩く、私たちを驚愕させる。」
(ジャック・マンデルボー「ル・モンド」紙)

「魔法のような清澄で心揺さぶる処女作。次回作が待ち遠しい。」
(ジャン=マルク・ラランヌ「レザンロキュプティーブル」) 

フィルム提供:アンスティチュ・フランセ
『あの夏の子供たち』
2009年/フランス=ドイツ/110分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
監督・脚本:ミア・ハンセン=ラヴ
出演:キアラ・カゼッリ、ルイ=ドー・ド・ランクザン、アリス・ド・ランクザン、エリック・エルモスニーノ 

パリの街を携帯電話片手に歩く、映画プロデューサーのグレゴワール・カンヴェル。映画製作会社ムーン・フィルムを経営する、映画愛とユーモアに満ちた彼は、家に帰れば、家族を愛する魅力的な夫であり、父であった。しかし、不況の波の中、自らひとり命を絶ってしまう。残されたのは、多額の借金と未完成の映画だけ。悲しみと絶望の中、葛藤する母娘に訪れた新たな出発とは...。

「揺るがしがたい現実の重苦しさだけでなく、どこか清々しい思いすら彼女の映画に見いだしてしまうのは、一回限りの喪失でさえもが、それを包む大きな流れの一環であるかのような気がしてしまうからだ。季節が繰り返すように、淡々と時間は流れていく。あるいは歌い継がれてきた古い歌が、もう一度歌われることで新たな生命を持つように。」
(結城秀勇、「nobody」) 

フィルム提供:クレスト・インターナショナル
『グッバイ・マイ・ファーストラヴ』
2010年/フランス/110分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
監督・脚本:ミア・ハンセン=ラヴ
出演:ローラ・クレトン、セバスティアン・ウルゼンドフスキー、マーニュ・ハーバード・ブレック、ヴァレリー・ボヌトン 

15歳のカミーユと19歳のスリヴァンは、互いに情熱的に愛し合っていた。しかし、夏が終わると、スリヴァンはカミーユのもとから去り、数ヵ月後には、手紙も途絶えてしまう...。悲しみに打ちひしがれたカミーユは、次の春を迎える頃、自殺未遂を起こす。
4年後、建築学に打ち込むようになったカミーユは著名な建築家、ロレンツと恋に落ちる。恋人同士となり、強い絆で結ばれたロレンツとカミーユ。しかし、カミーユの前には、かつて愛したスリヴァンが現れて...。
自伝的三部作の最後を飾る本作は、少女から大人になる過程が、瑞々しさと成熟さをもって描かれた眩いばかりに美しい作品。

「恋する若者たち。今日、若い映画作家の中で、これほどまでに孤独を理解して撮っている作家は男性でも女性でもいないだろう。そしてこれほど見事に孤独を人々で満たせる作家もいないだろう。孤独な人物たちがそれぞれの道を交錯させていく。彼らは愛し合い、苦しみ、息を詰まらせ、息をし、それぞれが一人の場所で自分を救い出す。その結果、ミア・ハンセン=ラヴの映画は、心理描写にもシナリオで囲い込まれることなど決してなく、神秘を失うことなく進んでいく。」
(フィリップ・アズーリ、「リベラシオン」紙) 

フィルム提供:フィルム・ディストリビューション
フランス女性監督特集



『ラクダと針の穴』
2003年/フランス=イタリア/110分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
監督・脚本・出演:ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ
出演:キアラ・マストロヤンニ、ジャン=ユーグ・アングラード、エマニュエル・デュヴォス、ドゥニ・ポダリデス、イヴァン・アタル 

現実の人間関係に疲れ、空想の世界に慰めを求める金持ちの娘フェデリカをめぐる物語。裕福すぎるフェデリカは、上手く大人になることが出来ず、家庭を築きたいという婚約者の期待や、昔の恋人との再会、浮世離れした家族との争い、といった日常に上手く対処することができない。そこに、宣告された父親の死...。近々入ってくる遺産、周囲の人々とのもつれた関係、しつこく付きまとう金持ちであることの罪悪感にあえぐフェデリカは、想像の世界に心の支えを見出そうとするが...。
ヴェネチア国際映画祭女優賞の受賞経験を持つヴァレリア・ブルーニ=テデスキ自身が主演した監督デビュー作。脚本はノエミ・ルヴォフスキーが担当。東京国立近代美術館フィルムセンター所蔵作品。

フィルム提供:ル・プティ・ビューロー、東京国立近代美術館フィルムセンター
『フィーリング』
2002年/フランス/94分/35ミリ/カラー/英語字幕付
監督・脚本・音楽:ノエミ・ルヴォフスキー
出演:ジャン=ピエール・バクリ、ナタリー・バイ、イザベル・カレー、メルヴィル・プポー、アガタ・ボニゼール 

パリ郊外に住む医者のジャックと妻のキャロル。近所にフランソワとエディットの夫婦が住む。フランソワがジャックの仕事の引き継ぎをすることになり、多くの時間を共に過ごす。キャロルとエディットもその間に交流を深める。時をおかずして、ジャックはエディットに恋心を持つようになる。エディットは、まず、自分がジャックの心を動かしたことに心ときめき、そして彼を愛するようになる。しかしエディットは「恋愛をしている自分に恋をしている」ということに気づいていない。そしてふたりが激しい感情の荒波へと進んでいることも...。
『私を忘れて』で、衝撃的な監督デビューを果たしたノエミ・ルヴォフスキーの長編三作目。ルイ・デュリュック賞受賞作品。

「『フィーリング』は不倫を軽薄なものとしてではなく、美しいラヴ・ストーリーとして描いている。」
(マリ=アンヌ・ゲラン、「カイエ・デュ・シネマ」) 

フィルム提供:ARPセレクション
『チャーリー』
2007年/フランス/95分/35ミリ/カラー/英語字幕付
監督・脚本:イジルド・ル・ベスコ
出演:ジュリ=マリ・パルマンティエ、コリア・リシェール 

年老いた養父母の元で暮らす14歳のニコラ。ある日、ブルターニュ地方のベル=イル・アン=メール島の絵葉書に心揺さぶられ、その絵葉書を持って家を出る。ヒッチハイクをしながら、ニコラはナント近郊に辿り着き、そこでチャーリーという名の少女と出会う。彼女はキャンピングカーに住み、生活費のために売春をしている。
セドリック・カーンやブノワ・ジャコの作品などで素晴らしい演技をみせている女優イジルド・ル・ベスコの監督二作目。弟のコリア・リシェールがニコラ役を演じている。

「チャーリーを演じているジュリ=マリ・パルマンティエが素晴らしい。棍棒のようにやせこけた身体で、表情はこわばっていて、かたくなで、つねに不安に駆り立てられていて、その土地のアクセントを使い、まるでカササギのようにしゃべり続け、神経質なほど整理好き。チャーリー/ジュリ=マリは風変わりで、驚くべきエネルギーを持った人物を構成している。」
(レザンロキュプティーブル)

フィルム提供:タマサ・ディストリビューション
『パリ、恋人たちの2日間』
2007年/フランス=ドイツ/96分/35ミリ/カラー/日本語字幕付
監督・脚本・製作・主演・音楽・編集:ジュリー・デルピー
出演:アダム・ゴールドバーグ、ダニエル・ブリュール 

フランス人写真家マリオンとアメリカ人インテリアデザイナーのジャックは、付き合って2年になるNY在住のカップル。ヴェネチアでのヴァカンスからNYに戻る途中、マリオンの故郷パリで2日間を過ごすことになる。英語が全く話せないマリオンの両親や、次々に出くわす彼女の過去のボーイフレンドたち...。異国の地でジャックのストレスは最高潮に。ロマンチックなパリを満喫するはずが、関係はぎくしゃくするばかり。はたしてふたりの愛の行方は...?
『ゴダールの探偵』で一躍注目を浴びて以降、着実にキャリアを積んできた演技派女優、ジュリー・デルピーの初監督作品。『ビフォア・サンセット』の脚本でアカデミー賞脚色賞にノミネートされた彼女の多彩ぶりを堪能できる作品。 

フィルム提供:アルバトロス・フィルム
『彼女は愛を我慢できない』
2009年/フランス/88分/DVD上映/日本語字幕付
脚本・監督・音楽・出演: ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:ジェレミー・エルカイム、ベアトリス・ド・スタル、ロール・マルサック、ルシア・サンチェス 

パリに住む30代の女性アデルは、最愛の恋人マチューに捨てられ絶望のどん底に。失恋から立ち直れないアデルは見かねた隣人女性の計らいで、疎遠にしていた従姉妹のラシェルの元に身を寄せることになる。最初は迷惑がっていたラシェルだが、アデルのためにベビーシッターの仕事を世話し、アドバイスもするように。ラシェルからのアドバイスは「失恋から立ち直るには、とにかく他の男と寝ること」。かくしてアデルの新しい恋への挑戦が始まった。心優しい学生ピエール、ベビーシッター先の父親ジャック、ミステリアスな変態男ポール...しかし、アデルはどの男にもマチューの面影を見てしまう...。
女優としても活躍するヴァレリー・ドンゼッリの初監督作品。次回作『宣戦布告』同様、深刻さと軽妙さが、知性と小粋な工夫によって見事に共存している。ミュージカル的なシーンがここでもうまく活かされている。

DVD発売元:オンリー・ハーツ 価格:¥3,800(税抜) 
フィルム提供:オンリー・ハーツ
『聖少女アンナ』
2010年/フランス/82分/DVD/カラー/日本語字幕付
監督・脚本:カテル・キレヴェレ
出演:クララ・オギャルド、リオ、ミシェル・ガラブリュ、ステファノ・カセッティ、ティエリー・ヌーヴィック、ユアン・ルブーランジェ=グルヴィル 

カトリックの寄宿学校から、夏休みで実家に帰ってきた14歳のアンナ。彼女がいない間に家では全てが変わってしまっていた...。父は家を出て行き、そのショックからさらに信仰深くなった母は、村の若い司祭に救いを求めていた。そして、アンナが大好きな祖父は病気で寝たきりに...。自分では抱えきれない問題を目の前にして、'神様'の存在が信じられなくなるアンナ。自由で陽気な幼馴染のピエールと、お互いに意識していることを感じとった思春期の二人の距離は徐々に縮まっていく...。見えない'神様'への信仰心と、初体験への興味との間で揺れるアンナ。大人への階段を上ることに躊躇するアンナが、出した答えとは...。
2010年カンヌ映画祭監督週間に出品され、その年のジャン・ヴィゴ賞を受賞したカテル・キレヴェレの長編処女作。

DVD発売元:アット エンタテイメント株式会社 
フィルム提供:アット・エンタテインメント
『美しき棘』
2010年/フランス/80分/35mm/カラー/日本語字幕付
監督・脚本: レベッカ・ズロトヴスキ
出演:レア・セドゥ、アナイス・ドゥムスティエ、アガト・シュレンカー、ジョアン・リベロー 

母を亡くしたばかりの17歳の少女プリューデンス。父は海外勤務で不在、姉は親戚の家に泊まり込んでいる。広いアパルトマンに独り、誰からも干渉されない自由の身は孤独を募らせていく。その喪失感を埋め合わそうとするかのように、偶然出会った不良少女マリリンに導かれ、危険なバイク・レースに興じる若者のグループと知り合う。バイカーのフランクと付き合うようになったプリューデンスはようやく自分の居場所を見出したかに思えたが...。
レベッカ・ズロトヴスキの監督デビュー作。フランス映画のみならず、いまや世界で注目される女優レア・セドゥが周囲と折り合うことができずに漂い続けるヒロインを演じ、強烈な印象を残す。カンヌ映画祭批評家週間上映作品。ルイ・デリュック賞 最優秀新人賞、フランス映画批評家協会賞、最優秀新人監督映画賞受賞。

DVD発売元:オンリー・ハーツ 価格:¥3,800(税抜) 
フィルム提供:オンリー・ハーツ、ユニフランス東京
『スカイラブ』
2010年/フランス/113分/35ミリ/カラー/英語字幕付
監督・脚本・出演:ジュリー・デルピー
出演:ルー・アルバレス、エリック・エルモスニーノ、オール・アティカ、ノエミ・ルヴォフスキー、ベルナデット・ラフォン、エマニュエル・リヴァ、ヴァンサン・ラコスト 

1979年7月、ヴァカンス中のブルターニュ地方。祖母のバースデー・パーティーに親戚のおじさんやおばさん、いとこたちも集まってきた...。
10歳のアルベルティンヌの目線で、大家族の波乱の週末がユーモアたっぷりに描かれたジュリー・デルピーによる長編三作目。70年代のファッションや音楽も注目。

「デルピーは尊大になることも、下品さを恐れることもなく、コードやクリシェや過去の作品を尊重しながら、大衆的で、滑稽で、知的な作品を作り上げた。(...)素晴らしい驚きである。」
(「レザンロキュプティーブル」) 

フィルム提供:フィルム・ディストリビューション
『ナナ』
2011年/フランス/68分/デジタル上映/カラー/英語字幕付
監督:ヴァレリー・マサディアン
出演:ケリナ・ルコント、アラン・サブラス、マリー・デルマス 

4歳のナナは、森の向こうにある石造りの家に住んでいる。ある日の午後遅く、ナナは、誰もいない沈黙に包まれた家へ帰ってくるが...。
幼年時代の夜の冒険。幼い少女の目線で見た世界。ナン・ゴールディンのモデルであり、女優、美術監督として、これまで映画に携わってきたヴァレリー・マサディアンの処女中篇作品。衝撃的な豚の屠殺の長回しシーンで始まり、現実から切り取られた断片で構成されたかのようなドキュメンタリーにも見える本作は、ナナという小さな少女を通して、死と生が隣り合わせにある小さくて大きな場所を発見させてくれる。2011年ロカルノ国際映画祭新人監督賞受賞。 

フィルム提供:ヴァレリー・マサディアン
『トムボーイ』
2011年/フランス/82分/35mm/カラー/日本語字幕付
監督:セリーヌ・シアマ
出演:ゾエ・エラン、マローン・レヴァナ、マチュー・ドゥミ 

『水の中のつぼみ』でデビューし、注目を集めたセリーヌ・シアマが、再び成長期の子供たちの繊細な心理を扱った最新作。家族ともに引っ越してきたロールはミカエルと名乗り、様々な方法で近所の子供たちに自分を男の子だと思い込ませる。日々をともに過ごすうち、同年代の少女リザはロールに好意を抱き始めるが、ロールはリザの自分への好意をどう受け止めるべきなのか葛藤する。
ベルリン映画祭パノラマ部門テディ賞審査員賞受賞す。

「緊張感があり、謎めいている本作は、サスペンス映画のあらゆる手法を用いている。セリーヌ・シアマは、非常に構築されたドラマトゥルギーを、その骨組みを見せずに用いることに大変長けている。(...)脚本家のアーラン・ソーキンが得意となるアメリカ映画の効率的な語り口を、ドワイヨンのようなフランスの作家の映画のボキャブラリーの中に置き換えている作品とも言えるだろう。」
(ジャン=マルク・ラランヌ、「レザンロキュプティーブル」)

フィルム提供:フィルム・ディストリビューション
『17人の娘たち』
2011年/フランス/87分/デジタル上映/カラー/英語字幕付
監督・脚本:ミュリエル&デリフィーヌ・クラン
出演:ルイーズ・グリンベルグ、ジュリエット・ダルシュ、ロクサーヌ・デュラン、エステール・ガレル、ノエミ・ルヴォフスキー、フロランス・トマサン 

大西洋に面した小さな街で、同じ高校に通う17人の女子生徒たちが"一緒に妊娠する"という大人や男たちには到底理解できない決意を実行に移す。
2008年にアメリカ・マサチューセッツ州で起きた実際の事件から着想を得た、ドキュメンタリー出身の姉妹監督、ミュリエル&デリフィーヌ・クランの劇映画一作目。カンヌ映画祭批評家週間出品作品。

「クラン姉妹は17歳の少女=母の身体が秘めている潜在的な力のすべてを見せることに成功している」。
(ニコラ・アザルベール「カイエ・デュ・シネマ」)

フィルム提供:フィルム・ディストリビューション


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なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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