ホン・サンス/恋愛についての4つの考察



カサヴェテス以来の素晴らしい口説きの極意を見せてくれる『次の朝は他人』、言い寄る男どもの単純(純粋?)な男性心理を操る女性心理に寄り添う『教授とわたし、そして映画』、二転三転する恋愛の残酷な真実を描く、肩の力が抜けたホン・サンス的傑作『ハハハ』、いずれの作品もエピソードをコント仕立てで平坦にぽんぽん繰り出しておいて、映画半ばくらいでぐわっと仕掛けを可視化させる語りの形式が秀逸な恋愛喜劇の名匠サン・ホンス監督の7作品が、「ホン・サンス/恋愛についての4つの考察」と題して特集上映される。今年のフィルメックス(TOKYO FILMeX 2012 / 第13回東京フィルメックス)のオープニング作品として上映される『3人のアンヌ』に備える上でも、この好機に映画ならではの"人生かくあるべし"が詰まったホン・サンス的小さな傑作群を楽しんでおきたい。
(上原輝樹)
2012.11.9 update
11/10(土)~シネマート新宿、シネマート心斎橋にてロードショー、以下全国順次公開
会場:シネマート新宿シネマート心斎橋 ほか 
料金:一般 1,800円 / 大・高校生 1,500円 / 中学生、小人(3歳以上~小学生)、シニア(60歳以上) 1,000円
特別鑑賞券:1回券 1,500円 / 3回券 3,900円 

公式サイト:http://www.bitters.co.jp/4kousatsu/


ホン・サンス監督の過去作品の上映も決定!特別鑑賞券も使用可能とのこと。
<旧作上映作品> 

『気まぐれな唇』2002年/115分
出演:キム・サンギョン、チュ・サンミ、イェ・ジウォン
※無修正版で今回のみの特別上映

『女は男の未来だ』2004年/88分
出演:ユ・ジテ、キム・テウ、ソン・ヒョナ

『アバンチュールはパリで』2008年/144分
出演:キム・ヨンホ、パク・ウネ、ファン・スジョン、イ・ソンギュン、キ・ジュボン
上映プログラム


『よく知りもしないくせに』
2009年/韓国/カラー/126分
監督・脚本:ホン・サンス
撮影:キム・フンクァン
編集:ハム・ソンウォン
出演:キム・テウ、コ・ヒョンジョン、オム・ジウォン 

映画祭に審査員として赴いた映画監督ギョンナム。そこに現れた旧友サンヨンと映画祭そっちのけで飲み明かし、二日酔いのままホテルで目覚めたギョンナムに届いた「二度と自分の前に現れないでくれ」というメッセージ。数日後、済州島に向かったギョンナムは、先輩の画家とその妻と再開する----その妻はかつての恋人だった。燃え上がる過去の恋の後始末は...。
よみがえる恋の記憶。恋することは罪なのか? ホン・サンス作品には書かせない存在であるキム・テウが、優柔不断な男を軽やかに演じる悲喜劇。
『ハハハ』
2010年/韓国/カラー/116分
監督・脚本:ホン・サンス
撮影:キム・ヒョング
編集:ハム・ソンウォン
出演:キム・サンギョン、ムン・ソリ、ユ・ジュンサン、キム・ガンウ、イェ・ジウォン 

映画監督のムンギョンは、先輩の映画評論家と酒の肴に、ひと夏の出会いについて語り始める----南の港町トンヨンで、ムンギョンは観光ガイド、ソンオクに一目惚れ。しかし彼女には海兵隊出身の恋人が...。行きつけの食堂の美人店員も絡んで、ソンオクをめぐる恋のさやあてが始まる。
港町を舞台に、恋に落ちた女性たちとのひと夏のヴァカンスを綴る。ホン・サンス作品ではお馴染みキム・サンギョンと名女優ムン・ソリ演じる肉感的な女性の掛けあいが新鮮な、近年の代表作。
『教授と私、そして映画』
2010年/韓国/カラー/80分
監督・脚本:ホン・サンス
撮影:パク・ホンヨル
編集:ハム・ソンウォン
出演:イ・ソンギュン、チョン・ユミ、ムン・ソングン 

映画監督ジングは生活のため、ソン教授の口利きで映画学科で教えているが、大学の人間関係が頭痛のタネ。ジングが学生だった頃、同じ学科のオッキに恋をした。でも、オッキにはソン教授との秘密の関係が。オッキはふたりの男との、年の瀬から正月にかけてのデートを映画にして、自らの恋愛を検証し始める...。
オッキという名の女をめぐる恋愛変奏曲。恋愛と映画にまつわるエピソードが繰り返され、煙に巻く。イ・ソンギュンが三角関係に翻弄される男を演じ、笑いと共感を誘う。
『次の朝は他人』
2011年/韓国/モノクロ/79分
脚本:ホン・サンス
撮影:パク・ヨンヨル、ジ・ヨンジョン
編集:ハム・ソンウォン
出演:ユ・ジュンサン、キム・サンジュン、ソン・ソンミ、キム・ボギョン 

先輩に会うためにソウルを訪れた映画監督ソンジュン。先輩に誘われるまま、「小説」という不思議なバーに流れた。その店のオーナーを見たソンジュンは、昔の恋人そっくりの彼女にたちまち魅了される。翌日、再びバーを訪れたソンジュンは買い物に行く彼女と外に出て、キスをした。寒い冬の夜、路上には雪が舞っていた。
惹かれ合いながら、一緒にいることが出来ないふたり。美しいモノクロの映像で描く偶然の出会いと別れ。粉雪舞うキスシーンが秀逸なホン・サンスの新境地。


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