OUTSIDE IN TOKYO
SAKO TADAHIKO INTERVIEW

佐古忠彦『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』インタヴュー

5. (亀次郎は)政治的な立ち位置みたいなものを全て超越した存在であるからこそ、
 あれだけの支持を得ていたんだろう

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OIT:一つ目も二つ目も、やはり抵抗の物語である、大きな物語としては恐らく同じことを描いているけれども、既視感というよりはお話を二つ見ることができた、非常に熱いものがあって見る楽しみもあります、という意味では三つ目も作れるような方なんだろうなと思いました。
佐古忠彦:それはそうですね、エピソード的にはそう思います、たくさんありますからね。

OIT:1作目は沖縄で凄くヒットして、日本の他の地域でもかなり反響があったのでしょうか?
佐古忠彦:そうですね、前作は沖縄で先行公開して、二週間後に東京に来たら沖縄の行列を見るようにもう10回連続頭から満席っていう風なことになって、その後東京から地方に広がっていったんですけれども、本当に行く場所、行く場所で行列を見ることになってびっくりしました。沖縄と本土と受け止め方違うでしょっていうような聞かれ方もしたんですけど、実はそんなに変わりなくて、本土の方もこんな人物がいたのかとか、亀次郎に会えて良かったっていうような声が本当に多かったですね。それこそなぜ沖縄が今も声を挙げているのか、その歴史的な背景が分かったって言ってくださる方も結構いました。終わったら最後、時々拍手を頂くんですけど、本土の方でもエンドロールが終わると明るくなる瞬間に拍手を頂くようなことがあって、本当にありがたいなと思いました。沖縄では一年以上ロングランをして頂きました。

OIT:語り継がれてきて神話的なほどに人物像も際立っていて、そういう魅力も大きいんでしょうね、政治家としての側面だけではなくて。
佐古忠彦:そうだと思いますね、ただもちろん亀次郎が主人公ですので、亀次郎、亀次郎となりますけど、何も亀次郎を神格化したい訳ではなくて、その亀次郎さんを通して見る沖縄の人々の姿、気持ちを映し出せたらいいなと思っていて。ですから政治的な話だっていう漠然としたイメージを持たれている感じもあるようなのですが、実はそういう立ち位置みたいなものを全て超越した存在であるからこそ、あれだけの支持を得ていたんだろうし、本土の政治的な価値観だけで見てしまうと間違っちゃう沖縄の在りようがあるというところを、まずは本当に伝えたいというところが、自分の中では通底したテーマですね。

OIT:あと当時を知る方が出て証言されていて、それをちゃんとドキュメントされてますね、皆さん年老いていくわけですから、残された時間も限られています。
佐古忠彦:本当にご高齢の方が多いので、一作目でお話しを伺った方でもう亡くなっている方もいらっしゃるんです。ですから、戦争の証言を得るのも段々と証言者がいなくなるっていうのはあるんですけど、亀次郎の時代も戦争に近い戦後ですので、やはりそういう記録としても記憶としてもきちんと残していく作業っていうのは、本当に私達の務めだろうなと思います。



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