OUTSIDE IN TOKYO
SAKO TADAHIKO INTERVIEW

佐古忠彦『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』インタヴュー

3. 今回は、日記の中の亀次郎の言葉で流れを作って、
 そこに歴史をはめ込んでいくというスタイルで作りました

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OIT:2作目となる今作を作るにあたって、改めて、亀次郎さんの残した大量の日記を始めとして、もの凄いアーカイブがあると思うんですけど、それと格闘されたわけですね。
佐古忠彦:そうですね。

OIT:日記はご自分ですべて読まれたのですか?
佐古忠彦:そうです。“日記”は沖縄で内村千尋さんという亀次郎さんの次女の方からご提供頂いて、ずっとそれを読み続けてきた時間というのがありました。今回続編を作るにあたり、もう一回日記を読み直すことで、今度は違った角度から見ると一作目の時には見えなかった家族との時間とか、そういうものが見えてきたんです。一作目は、歴史の大きな流れの中で亀次郎がその都度どんなことを言っていたのかっていう探し方をしていたんですけど、今回はゼロからもう一回読み直すことで日記の中の亀次郎の言葉で流れを作って、そこに歴史をはめ込んでいく、そういうスタイルにしたんです。だからまずは日記を読み込んで、どの言葉を抽出していくかにだいぶ時間がかかりました。千尋さんには、家族の写真から何から、本当に色々な資料をいっぱい持って来てもらって、奥さまのフミさんの全く整理されてない日記なんかも掘り起こして持って来てもらいました。全部照らし合わせながら読むのですが、まずはそれをやらないと前へ進めない。それは図書館での資料探しも同じなんですけど、この日はカメラ回さないでちゃんとこれをずっとやる日っていうのを決めて、まずはひたすら資料にあたりました。

OIT:230冊以上あるとも言われていますが、直筆の日記って、結構読めなかったりすると思いますが、読めるようになるものでしょうか?
佐古忠彦:だんだん法則が分かってくるというか(笑)。もちろん全部解読出来たわけではないですけどね、この字どうしても分かんないなっていうのもありますけど。とにかくそこに全て書いてあるんですね、色々なことが。

OIT:文献ではなくて、例えば、亀次郎さんを描いた映画はありませんでしたか?
佐古忠彦:1998年、ご存命だった時に亀次郎さんのドキュメンタリーではなくて、事実に基づいた再現ドラマみたいな形で、津嘉山正種さんが亀次郎さんを演じている、『カメジロー〜沖縄の青春〜』っていう映画がありました、それは市長時代を中心に描いている映画ですけど、そこから何かをお借りするようなことはなかったですね、お芝居ですから。ただ資料映像としては亀次郎さんが人民党の選挙に出る時とか、後援会が作ったビデオが結構ありますよね、そういうものは、いくつか千尋さんを通してお借りしました。

OIT:亀次郎さんは、やってきたこと、語られたこともそうですけど、人間的な魅力も凄い方ですね。佐藤栄作と亀次郎の国会論戦の映像がありましたが、今の国会ではああいう場面っていうのは全く見れなくなりました。
佐古忠彦:50年近く前にああいうぶつかり合う場面があったのかと、ある種、新鮮ですらありますよね。今では、官僚から渡されたメモを読み上げる人もいますが、あの映像では、総理は一瞬たりとも目を落とさず相手を見ながら、ちゃんと正面から答えざるをえない状況になってますもんね。

OIT:のらりくらりはしていますが、人間的なやり取りが交わされているように見えます。
佐古忠彦:相手を認めた上で論じ合ってるっていうのは感じます。



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