OUTSIDE IN TOKYO
HYUNRI & M. YAMAMOTO INTERVIEW

玄里(ヒョンリ)『水の声を聞く』インタヴュー with 山本政志

9. 俺さ、フランス語、聞くだけで気持ち悪くなるんだよ
 (山本政志)

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OIT:諏訪監督の映画に出てくださいよ。
玄里:出たいです。
OIT:凄くいいですよね。
玄里:私、渡辺真起子さんと共演してから彼女がとても好きで、渡辺さんが諏訪さんの作品に出ているので一通り全部観ました。
OIT:『M/OTHER』(99)
玄里:『M/OTHER』も観たし『2/DUO』(97)とか。
OIT:『ユキとニナ』は?
山本政志:『ユキとニナ』は面白そうだね、DVD貰ってるわ。諏訪の見ると頭悪くなるんじゃないかと思って。まだ、観てねぇや。俺さ、フランス語、聞くだけで気持ち悪くなるんだよ。
OIT:え?
山本政志:いやいやフランス、イギリス苦手なんだよ。イギリスなんか、3回行って全部喧嘩してるんだよ。街で。
玄里:日本の飲み屋でもみんなと喧嘩してるじゃないですか(笑)。
山本政志:諏訪とは俺がニューヨーク行って帰って来た時にばったり渋谷で会ったのかな、フランス行くんですよって、馬鹿だなお前はとか言って。
OIT:酷いなあ。
山本政志:フランス行ったら映画撮れそうだって言って。
OIT:手厚いですよ、映画作家に対して。
山本政志:うん、でも正解だったよ、それからフランスで撮れたからね。
OIT:じゃあ、ゴダールも嫌いなんですか?
山本政志:ゴダールそんなに好きじゃないね、ヌーベルヴァーグ自体が坊ちゃん過ぎちゃって。一本、一本は好きなの多いよ、トリュフォーの作品とかも好きだし、ゴダールでも初期の頃好きだし、『ウィークエンド』(67)は好きだし。フランス映画そのものが線が細すぎちゃって。例えば当時のイタリア映画とか、人間の匂いがぷんぷんしてくるような感じじゃん、骨太で知性に力が有る。フランスは、図書館通って作ってるような、実際の人間に触れ合ってないような、ああいう作り方が大っ嫌いなの。やっぱりフランス行って思うのは、イギリスもそうなんだけど、クラスが分かれ過ぎちゃってる。イギリスからパンクが出たのは当然だよね。
OIT:日本もそうなりつつありますよね。
山本政志:まあでも向こうに比べればまだね、全然まだまだ。日本みたいに全然金ないけど大学行ってるみたいなのあんまりいないじゃん、凄い区分けがはっきりしてるもん、大分変わってきたけどね、一時のフランス映画の駄目さ加減もちょっとはよくなってきたとは思うよ。
OIT:移民が増えましたしね。
山本政志:そうそう、さっきの『真夜中のピアニスト』(05)、彼(ジャック・オディアール)の作品は凄くいい。『預言者』(09)とか。

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