OUTSIDE IN TOKYO
HYUNRI & M. YAMAMOTO INTERVIEW

玄里(ヒョンリ)『水の声を聞く』インタヴュー with 山本政志

5. 日本では、映像芝居と舞台芝居がごっちゃになってる
 (山本政志)

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OIT:玄里さんは、最近は映画が多いようですが、最初はタレント的な活動が多かったのですか?
玄里:そうですね、「王様のブランチ」の映画紹介コーナーをやったり、「フリーター、家を買う」等のドラマ、テレビの仕事が多かったですね。この作品の前位から映画の仕事をし始めたという感じです。
山本政志:彼女は凄く一杯映画見てる。見てる幅も広いのよ。
OIT:おお〜、監督が言うくらいだから、相当ご覧になってるんでしょうね。それは映画が好きだからですか?
玄里:映画が好きだし、それと、韓国の演技学校に大学の4年間行ってたんですね。そこで授業で見ることもありましたし、沢山見て当たり前という感じでした。
山本政志:韓国にしてもそうだし、中国なんかでもそうなんだけど、映画演技に対する要請っていうのは、日本より相当上だよね。映画的演技というものに対する追求の仕方がハンパない。日本だと、映像芝居と舞台芝居がごっちゃになってる感じがあるでしょ。奥原(浩志)が言ってたけど、中国にはいい俳優が一杯いるって。
OIT:中国ロケで『黒四角』を撮った監督。
山本政志:何しろ数が凄いから、層が厚い。そこからぐっと絞り込んで行って、しかも、教え方が映画の芝居っていうことだから。
OIT:監督は最初の頃から、日本の中でも多国籍だったり、他言語だったり、そういうミクスチャーの感覚を持って、映画を撮って来たと思うのですが、今回も韓国とハングルが出て来て、そういう意識というのはずっとお持ちですね。
山本政志:それはずっとあるね。『ロビンソン〜』の頃からそうだね。映画祭に行くようになって、そうするとバカな奴らが集まってくるじゃん(笑)。独特の“種類”ってあるじゃん。その“種類”は、どこの国へ行っても、その“種類”同士で仲良くなるから。だから人種とかっていうのは関係ないよね。だけど、日本だと“在日”っていうでしょ?でも“在日”っていう言葉がなんかピンとこないんだよね。なんか、“在日〜”っていうとイメージが固まっちゃうでしょう。ニューヨークで1ブロック歩いてすれ違う人の生まれた国、どんだけ違うかって。在なんとかって、いちいち付けてらんねぇやって。
OIT:それっておかしいですよね。
山本政志:うん、おかしいおかしい。なんかね、未だにこの国は未開なのかな、言葉がダサいと思うんだよね。価値観が狭い。凄く田舎もん臭いでしょ。
OIT:ところで、玄里さんは、沢山映画をご覧になっている中で、どういう映画が好きですか?
玄里:変わってきましたね、以前は結構シリアスなのが好きだったんですけど、今年頭に公開された『ジャッジ!』っていう映画に出演して、人が笑ってくれるっていうのは凄くいいなって思いました。最近観たコメディでは『アメリカン・ハッスル』が面白かったです。ウォン・カーウァイ監督の『花様年華』は最初に見た時からずっと好きな映画ですね。
OIT:ああ、良いいですね。
玄里:『ダラス・バイヤーズクラブ』のジャレッド・レトも素晴らしかったし、『チョコレートドーナツ』も良かった、ハリウッド映画だとその辺が面白かったですね。
OIT:『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は見ましたか?
玄里:見てないです。
山本政志:あれは素晴らしいよ。
OIT:素晴らしいですよね、狂ってますよね。
山本政志:スコセッシ凄いなと思っちゃったもん。今までひどい映画撮ってても俺大好きだったから、スコセッシは。今回ぶちぬけちゃったね、また。
OIT:ひどい映画(笑)?
山本政志:いやちょっとひどかったじゃないですか、ハリウッド的なものばっかりになってたけど、今回は違う。面白いよ、で、役者が凄い。
OIT:ディカプリオ。
山本政志:ディカプリオと、いつも相手役探してくるのが上手いんだけど、今回も一人質の悪いのが、あれが素晴らしいね。
OIT:ジョー・ペシ的存在のジョナ・ヒル(笑)。
山本政志:そうそう。めちゃくちゃ上手いよ芝居。
OIT:ああいうキャラクターが映画にいるといいですよね。
山本政志:いいよね、ああいう質の悪いの大好きだね。本当に好き、あの映画。
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