ヴィターリー・カネフスキー特集上映



あのカネフスキーの荒々しい伝説の映画『動くな、死ね、蘇れ!』が、今、後続の二作品とともに三部作として、15年ぶりにスクリーンに蘇る。『動くな、死ね、蘇れ!』というタイトルの意味も、監督の「僕は、自分の子ども時代を蘇らすため現在というときの流れを止めた。そして止めることは死を物語る。さらにそれをフィルムの中に起こすため、僕はもう一度蘇ったんだ。」という言葉を知らなければ、映画を見ただけでは意味がわからない。そんな映画作家の作家性と分ちがたく結びついた荒ぶる魂の三部作を、今スクリーンで一気に体験するチャンスを逃してはいけない!
11月7日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
公式サイト http://www.espace-sarou.co.jp/kanevski/
配給:エスパース・サロウ
協力:ユーロスペース
提供:新日本映画社

ユーロスペース上映スケジュール
11月7日(土)
―20日(金)
12:20
動くな、死ね、蘇れ!

14:40
ひとりで生きる
16:50
ぼくら20世紀の子供たち
18:50
動くな、死ね、蘇れ!
 11月21日(土)
―25日(水)
21:10
動くな、死ね、蘇れ!

11月26日(木)
―29日(日)
21:10
ひとりで生きる

11月30日(月)
―12月1日(火)
21:10
ぼくら20世紀の子供たち
12月2日(水)
―4日(金)
21:10
動くな、死ね、蘇れ!

上映プログラム

『動くな、死ね、蘇れ!』
★1990年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール受賞
★1990年フランダース映画祭グランプリ
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
製作:アレクセイ・プルトフ
撮影:ウラディミール・プリリャコフ、N・ラズトキン
音楽:セルゲイ・パネヴィッチ
出演:パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ、エレーナ・ポポワ
【1989年/ソビエト/モノクロ/105分/35mm/スタンダード】

第二次大戦直後のロシア。収容所地帯と化した小さな炭鉱町に生きる少年ワレルカと 少女ガリーヤは共に12歳。スケートの盗難事件、学校のトイレにばら撒いたイースト菌事件、 機関車の転覆など、ワレルカの引き起こす無垢な、しかし、やってはならない悪戯は、 母親への反発と相まって次第にエスカレートしていく。
そんな彼の前に、守護天使のように現れては、危機を救ってくれるガリーヤ。 二人に芽生えた淡い想いは次第に呼応していくが、やがて運命はとんでもない方向へ 転じていくのだった・・・。自身の少年時代の記憶を映画化した衝撃作!
『ひとりで生きる』
★1992年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
監督・脚本:ヴィターリー・カネフスキー
撮影:ウラディミール・プリリャコフ
音楽:ボリフ・リチコフ 
出演:ディナーラ・ドルカーロワ、パーヴェル・ナザーロフ
【1991年/フランス・ロシア合作/カラー/97分/35mm/スタンダード】

少年期に別れを告げようとしていたが、大人たちの世界はますます悲劇的な様相を呈し、 ワレルカにとって唯一、ガリーヤの妹ワーリャと一緒にいる時だけが心落ち着くのだった。
そんな中、ある事件をきっかけに学校を退学になったワレルカはワーリャの思いをよそに、 ひとりで町を出る。一方、残されたワーリャは、返事の来ないワレルカへの手紙を送り続け・・・。
大人へと成長していく少年少女たちの鮮烈な感情が見事にスクリーン上で開花!
『ぼくら20世紀の子供たち』
★1994年ベルリン国際映画祭フォーラム部門正式出品作品
監督:ヴィターリー・カネフスキー 
脚本:ヴィターリー・カネフスキー、ヴァルヴァラ・クラシルコワ
音楽:クロード・ヴィラン
出演: パーヴェル・ナザーロフ、ディナーラ・ドルカーロワ
【1993年/フランス・ロシア合作/カラー/84分/35mm/スタンダード】

国際的な評価を得たカネフスキーが次にカメラを向けたのは、 都市に巣くうストリートキッズたち。窃盗、強奪、売春、そして殺人・・・ 残忍性をエスカレートさせていく子供たちの裏側に傷つきやすい感受性を見るカネフスキー。 やがてカメラは、思わぬ場所でワレルカの面影を残したパーヴェルの姿を捉える。 そして、かつて少年少女だったパーヴェルとディナーラの再会。映画出演後、 全く異なる人生を歩み成長していった二人の再会は、 21世紀を生きる子供たちへの微かな希望となって、見るものの心に染み入る。
常連キャスト紹介
パーヴェル・ナザーロフ(ワレルカ役)
1976年生まれ。カネフスキーが『動くな、死ね、甦れ!』の主役として抜擢した新人。
カネフスキーはパーヴェルとの出会いをこう語っている。「僕は何校もの学校を訪ね、何千人もの少年に会った。そして突然、小さなシャツをはだけて、たばこを口にくわえ、18人くらいの女を引き連れた13歳の少年に出会った。これは、かつての僕だ、と叫んだ。僕は彼に話しかけたが、彼は来なかった。彼は、僕が彼の年にはそうだったように、終始すねていた。」

ディナーラ・ドルカーロフ(ガリーヤ&ワーリャ役)
1976年1月3日サンクト・ペテルブルク生まれ。14の時、アヤン・シャハマリェヴァ監督の「Eto bylo u morya(それは海辺で起こった)」で映画デビュー。続いてヴィータリー・カネフスキーの『動くな、死ね、蘇れ!』(89)のヒロイン、ガリーヤ役を得て、これが90年カンヌ映画祭のカメラ・ドールを受賞したことにより、その存在を世界に知らしめる。その後、アレクセイ・バラバノフの『フリークスも人間も』(98)などの多くの作品に出演。そして、『やさしい嘘』(04)での好演が認められ、セザール賞の有望若手女優賞にノミネートされた。
カネフスキー曰く、「彼女は非常に教養のある家柄の出で、海外での生活も経験があった。彼女はタルタル人だが、僕はその民俗の気質をよく知っていたので、彼女を傷つけることで演技力を喚起していった。それで彼女の演技は飛躍的なものとなったんだ。」
監督プロフィール
1935年生まれ。本名はヴィターリー・エフゲニエヴィッチ・カネフスキー。
25歳でモスクワの全ロシア映画学校(VGIK)に入学するが、在学中に無実の罪で投獄され8年間の獄中生活を送る。釈放後には無事学校を卒業してレンフィルム撮影所に入り、短編映画の制作や助監督として働く。 53歳の時、アレクセイ・ゲルマンに見出されてやっと撮ることが出来た長編2作目の自伝的作品『動くな、死ね、甦れ!』で1990年の第43回カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞し、世界的に知られるようになる。また、1992年には『ひとりで生きる』で第45回の同映画祭審査員賞を受賞。その後二作品で主演を務めた二人の再会をカメラに収め(『ぼく二十世紀の子供たち』)、世界中の映画ファンの胸にその衝撃をやきつけたが、後に1本のドキュメンタリーを残し忽然と姿を消してしまう。

フィルモグラフィー
1977年『四番目の秘密』 -日本未公開-
1981年『田舎の物語』 -日本未公開-
1989年『動くな、死ね、甦れ!』
カンヌ国際映画祭カメラ・ドール賞 受賞
1991年『ひとりで生きる』
カンヌ国際映画祭審査員賞 受賞
1993年『ぼくら、20世紀の子供たち』
ベルリン国際映画祭ヤングフォーラム部門正式出品作品
2000年『Kto Bolche』 -日本未公開-


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