祝!ロバート・アルドリッチ『カリフォルニア・ドールズ』『合衆国最後の日』同時公開



2012年12月2日(日)をもって、7年間の幕を閉じてしまうことになったシアターN渋谷で、アクション映画の巨匠ロバート・アルドリッチ監督の遺作『カリフォルニア・ドールズ』(81)が、なんと30年振りにニュープリントでスクリーンに甦る。同時公開される『合衆国最後の日』(77)は、"核の抑止力"という壮大な妄想のからくりを暴き、"核の時代"における政治指導者の矜持を問うと同時に、それを許容している私たち一人一人に覚醒を促す"物語"が、35年という時間を超えて勝利してしまった素晴らしい政治サスペンス。"核"と"政治"の関係がより一層明白になった昨今、この映画の切実さは残念ながら増している。本当は、こんな荒唐無稽な話はありえねー!と笑えるような世の中になっていれば良かったのだが。併せて刊行される「ロバート・アルドリッチ読本 Vol.1(仮)」(遠山純生編、製作・販売boid)と「ロバート・アルドリッチ大全」(アラン・シルヴァー&ジェイムズ・ウルシー著/宮本高晴訳、国書刊行会)にも期待が膨らむ。
(上原輝樹)
2012.11.1 update
『カリフォルニア・ドールズ』ニュープリント版
『合衆国最後の日』

11/3(土)〜シアターN渋谷にてロードショー
※『合衆国最後の日』の上映時間は連日11:15〜 

以下の劇場にて、絶賛ロードーショー中!
12/8(土)~ 吉祥寺バウスシアター
12/8(土)~ シネマ ジャック&ベティ

公式サイト:
『カリフォルニア・ドールズ』http://www.californiadolls2012.com/
『合衆国最後の日』http://www.gasshukoku-movie.com/
『カリフォルニア・ドールズ』ニュープリント版

製作:ウィリアム・アルドリッチ
監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:メル・フローマン
撮影:ジョゼフ・F・バイロック
編集:リチャード・レイン、アーヴィング・C. ローゼンブラム
プロダクション・デザイン:カール・アンダーソン
美術:ビーラ・ニール
"ドールズ"の入場衣装:ボブ・マッキー
音楽:フランク・デヴォル 
出演:ピーター・フォーク、ヴィッキ・フレデリック、ローレン・ランドン、バート・ヤング、レニー・モンタナ、ジョン・ハンコック、トレイシー・リード、ウルサリン・ブライアント、フェイス・ミントン、 リチャード・ジャッケル 

1981年/原題:All the Marbles/アメリカ映画/112分/カラー/ヴィスタサイズ(1.85:1)
配給:boid 


映画はアクロンの試合会場で、"ドールズ"が別のチームと対戦する場面から始まる。この試合で勝利を収めた"ドールズ"の二人──黒髪のアイリス(ヴィッキ・フレデリック)と金髪のモリー(ローレン・ランドン)──は、マネージャー兼トレーナーのハリー・シアーズ(ピーター・フォーク)と共に次の街へ移動する。ハリーはオペラ好きでケチな中年男。アイリスはかつてハリーの恋人だったこともあるが、今ではお互いに対する愛情を抱きながらも二人の関係は仕事の上だけものだ。無邪気で陽性のモリーは、時に弱音を吐いてレスリングの世界から足を洗うことを口にしたりもするが、ふんぎりがつかない。ハリーの粗野で独善的で配慮のないマネージメントに"ドールズ"の二人は反発を覚えながらも、三人はいつか成功することを夢見て力を合わせ、過酷な巡業興行を続けていく。三人組の東部から西部への旅は、ネヴァダ州リノのカジノホテル「MGMグランド」にたどり着く。やがて、試合開始が目前に迫る......。
『合衆国最後の日』

製作総指揮:ヘルムート・イエデレ
製作:マーヴ・アデルソン
監督:ロバート・アルドリッチ
原作:ウォルター・ウェイジャー
脚本:ロナルド・M. コーエン、エドワード・ヒューブシュ
撮影:ロバート・ハウザー
編集:マイケル・ルチアーノ、ウィリアム・マーティン、モーリー・ワイントローブ
プロダクション・デザイン:ロルフ・ツェートバウアー
美術:ヴェルナー・アッハマン
衣装:トーマス・S. ドーソン
音楽:ジェリー・ゴールドスミス 
出演:バート・ランカスター、チャールズ・ダーニング、リチャード・ウィドマーク、ポール・ウィンフィールド、バート・ヤング、ウィリアム・スミス、リチャード・ジャッケル、ジェラルド・S. オラフリン 

1977年/原題:Twilight's Last Gleaming/アメリカ=西ドイツ合作映画/146分/カラー/ヴィスタサイズ(1.85:1) 
配給:boid

モンタナ州立刑務所を脱獄した元合衆国空軍准将ローレンス・デル(バート・ランカスター)と三人の仲間がトラックを奇襲する。奪った軍服で兵士になりすましたデル一味は、トラックに乗り込み出発する。デルはヴェトナムで、ヴェトコンに捕らわれ五年間戦争捕虜として過ごしていた。解放された後、デルはヴェトナムにおける合衆国軍部の方針をめぐるある政治的秘密を暴露すると主張した。その秘密とはすなわち、ヴェトナム戦争は合衆国が共産主義に対して徹底抗戦し、そのためには自国兵を犠牲にすることも辞さない意志を示すべく、<合衆国国防総省>によって意図的に開始され、長引かされた戦争である、というものだ。しかしデルはこの件を公表する前に陥れられ、でっちあげによる殺人罪で収監された。脱獄を果たした今、彼は隠された真実を国民に開示するべく脱獄仲間を引き連れ、自らの軍事機密の知識を駆使して地下にあるサイロ(タイタン・ミサイル格納庫兼発射台)を占拠したデルは、早速合衆国大統領デイヴィッド・スティーヴンス(チャールズ・ダーニング)を電話口に呼び出して、自らの要求を伝える。その内容は、①1000万ドル、②エアフォース・ワン(大統領専用機)による国外移送、③国外脱出の際、大統領自身が人質として同行すること、そして最重要事項として④「NSC(国家安全保障会議)文書9759」(戦争における軍部の操作をめぐるデルの主張を裏づけ、前合衆国大統領が計画の共謀者であったことを暗に示す文書)の国民への開示、である。この要求が受け入れられなければ、すでにロシアに向けられている九機のICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射する──つまり、第三次世界大戦を勃発させる──とデルは合衆国政府を脅迫する。果たして合衆国大統領の出した答えは・・・。
ロバート・アルドリッチ フィルモグラフィー
※は日本未公開作
*は日本での劇場未公開(ソフト発売、あるいはテレビ放映あり)

1953
『ザ・ビッグ・リーガー』 The Big Leaguer ※
1954
『人質に取られた世界』 World for Ransom ※
『アパッチ』 Apache
『ヴェラクルス』 Vera Cruz
1955
『キッスで殺せ』 Kiss Me Deadly
『悪徳』 The Big Knife *
1956
『枯葉』 Autumn Leaves *
『攻撃』 Attack
1957
『ガーメント・ジャングル』 Gament Jungle *
1959
『地獄へ秒読み』 Ten Seconds to Hell *
『怒りの丘』 The Angry Hills
1961
『ガン・ファイター』 The Last Sunset
1962
『ソドムとゴモラ』 Sodom and Gomorrah
『何がジェーンに起ったか?』 What Ever Happened to Baby Jane?
1963
『テキサスの四人』 4 for Texas
1964
『ふるえて眠れ』 Hush...Hush, Sweet Charlotte
1965
『飛べ!フェニックス』 The Flight of the Phoenix
1967
『特攻大作戦』 The Dirty Dozen
1968
『女の香り』 The Legend of Lylah Clare
『甘い抱擁』 The Killing of Sister George ※
1970
『燃える戦場』 Too Late the Hero
『傷だらけの挽歌』 The Grissom Gang
1972
『ワイルド・アパッチ』 Ulzana's Raid
1973
『北国の帝王』 Emperor of the North Pole
1974
『ロンゲスト・ヤード』 The Longest Yard
1975
『ハッスル』 Hustle
1977
『合衆国最後の日』 Twilight's Last Gleaming
『クワイヤボーイズ』 The Choirboys
1979
『フリスコ・キッド』 The Frisco Kid *
1981
『カリフォルニア・ドールズ』 ...All the Marbles


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