祝!オリヴィエ・アサイヤス『カルロス』公開!
2009年6月、私たちは『クリーン』の日本公開を機にオリヴィエ・アサイヤスへのインタヴューを行った。その時アサイヤスは新作の撮影中で、インタヴューの半分はこの"規格外"の新作について語ることに費やされた。ベネズエラ出身のテロリスト"カルロス"(本名イリイッチ・ラミレス・サンチェス)の半生を描いたその新作映画は、7カ国以上の言語を用いる俳優120人を要し、オランダ、イギリス、フランス、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、シリア、イエメン、スーダン等10数カ国に渡る、35mmシネマスコープ(スーパー35mm)を用いた約3ヶ月のロケーション撮影を経て完成した、ポリティカル・アクションの大作である。私たちがインタヴューをした時点では、「90分×3本の三部作になるだろう」と言っていた上映時間は、第1部101分、第2部107分、第3部118分、合計5時間30分へと膨れ上がり、「音楽はあまり使わないと思う」と語っていたサウンドも、出来上がった作品を見てみると、いつものアサイヤス映画らしい、時には音楽が映像を牽引して行く程の、かなり重要な役割を担っている。
そうした映画製作途上で起きた変化は、撮影半ばの時点でアサイヤスが語ってくれた以下の言葉と呼応しているように思える。「 僕が対処しなければいけない大きな問題は、ふつうの映画よりも、より観客の注意を引きつけなければならないことだ。様々なスタイルを駆使したり、適応させたり、常にアプローチを考え直していかなければならない。映画全体を同じテクニックやペースやスタイルで通すわけにいかないんだ。そうなると、とても単調になってしまう可能性がある。常に自問自答しながら、映画を作り直していかなければいけないし、いろんな意味で、新鮮な燃料を注ぎ続けなければならない。それは僕がこれまで対処しなくて済んできた問題で、新しいことだ。それはどんな映画作家にとっても新しい体験になるはずだけど。」こうして出来上がった"規格外"の映画『カルロス』は、2010年カンヌ国際映画祭で特別上映され、米「フィルム・コメント」誌では2010年のベスト・フィルムに選出される高い評価を獲得した。個人的には(そんなに多く映画を見るわけではないと語る)アモス・ギタイが『カルロス』は良かったと言っていたことも強く印象に残っている。その『カルロス』がいよいよ日本で公開を迎える。万難を排して見るべき、疾風怒濤の5時間半である。
『カルロス 1部・2部・3部』
2012年9月1日(土)より、渋谷シアターイメージフォーラム、吉祥寺バウスシアターにて5週間限定ロードーショー!
大阪シネ・ヌーヴォ、名古屋シネマスコーレでも9月1日(土)より公開
| 第1部 ベネズエラの活動家イリッチ・ラミレス・サンチェスが暗号名カルロスを名乗り、数多くの事件を起こしプロのテロリストにのし上がっていく過程を描いた第一部。日本赤軍によるハーグの仏大使館襲撃の後方支援、オルリー空港でのイスラエル機砲撃、パリのトゥーリエ街における警官殺害等、ハリウッドのアクション映画をしのぐ鮮烈な描写の連続がみるものをテロリストの日常へ一気に引きずり込む。革命を夢見る男の栄光はいつまで続くのか。 |
| 第2部 銃と女を愛した孤独なテロリストの人生最高のクライマックスが壮大なスケールで描かれる第二部。西独革命 細胞(RZ)、パレスチナ解放人民戦線(PFLP) の同士たちと共にウィーンのOPEC本部を襲撃、アラブ諸国の代表団を人質に取るカルロス。関係者を飛行機で誘拐しアルジェリア、リビア、チュニジア各国で革命の正義を訴える彼らに全世界のメディアが注目する。一躍ヒーローになったカルロスだが栄光の瞬間が長く続かないことに彼はまだ気づいていなかった。 |
| 第3部 米ソ冷戦の終結で世界秩序の変化が起こり、革命家としての役割を大きく変貌させていくカルロスを描いた第三部。シリアに守られ東ヨーロッパに拠点をもうけた彼らは莫大な大金を動かし武器の密輸を行い、ヨーロッパにおけるテロ黒幕として暗躍していたが、やがてベルリンの壁崩壊と共に支援者を失い最果ての地スーダンへと逃れる。各国の情報機関に終われ、酒と女に溺れていくカルロス。 テロリスト人生の終末が徐々に迫ってきていた。 |
監督:オリヴィエ・アサイヤス 製作:ダニエル・ルコント 脚本:オリヴィエ・アサイヤス、ダン・フランク 原案:ダニエル・ルコント 歴史監修:スティーヴン・スミス 製作総指揮:ラファエル・コーエン 共同製作:イェンス・モイラー 撮影:ヨリック・ル・ソー、ドニ・ルノワール 美術:フランソワ=ルノー・ラバルト 衣裳:ユルゲン・デーリング 編集:リュック・バルニエ、マリオン・モニエ 録音:ニコラ・カンタン、ニコラ・モロー、オリヴィエ・ゴワナール 整音:ダニエル・ソブリノ、オリヴィエ・ゴワナール 出演:エドガー・ラミレス、アレクサンダー・シェアー、ノラ・フォン・ヴァルトシュテッテン、アフマド・カーブル、クリストフ・バッハ、ロドニー・エル=ハダド、ジュリア・フンマー、ラミ・ファラー、タラル・エル=ジョルディ、ファディー・アビー・サムラ、アリョーシャ・シュターデルマン、カタリーナ・シュトラー © CAROLE BETHUEL / JEAN CLAUDE MOIREAU / PATRICK SWIRC / FILM EN STOCK / CANAL+ フランス、ドイツ/2010年/カラー/スコープ/第1部101分、第2部107分、第3部118分 配給:マーメイドフィルム 公式サイト: http://www.carlos-movie.com/ | |
上映スケジュール
渋谷シアターイメージフォーラム(9月1日(土)〜10月5日(金))
| | | | 9月24日(月)〜 28日(金) | 12:30 (終映18:30予定) 第1部・第2部・第3部 *2部と3部の間に休憩15分有り
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各回15分前開場/整理番号順でのご入場/全席自由席/各回入替制
※整理番号は、期間中毎日10:30より当日分を受付・発行いたします。
※開場時間までには必ず劇場までお越し下さい。開場時間を過ぎてお戻りの場合、整理番号が無効になる場合があります。予めご了承下さい。
*9月24日(月)〜28日(金)は入替なし一挙上映!(第2部と第3部の間に15分の休憩有り)
※当日券でご覧になる方は、予め3部作分の料金3,900円をお支払いいただきます。(前売り券の方は、予め3枚いただきます)
※一挙上映は原則として途中入場できません。
※第2部と第3部には予告が付きません。
吉祥寺バウスシアター(9月1日(土)〜9月14日(金))
| 9月2日(日) | 12:10 (終映18:10予定) 第1部・第2部・第3部 *2部と3部の間に休憩15分有り
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| 9月9日(日) | 12:10 (終映18:10予定) 第1部・第2部・第3部 *2部と3部の間に休憩15分有り
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吉祥寺バウスシアター(爆音上映 9月15日(土)〜10月5日(金))
各回15分前開場/整理番号順でのご入場/全席自由席/各回入替制
※整理券の受付期間は9月1日(土)〜9月14日(金)は10:30より、9月15日(土)〜10月5日(金)は19:30より当日分を受付・発行いたします。
※開場時間には必ず劇場までお越し下さい。開場時間を過ぎますと整理番号が無効になり、お立見となる可能性もあります。予めご了承下さい。
*9月2日(日)、9日(日)は入替なし一挙上映!(第2部と第3部の間に15分の休憩有り)
※当日券でご覧になる方は、予め3部作分の料金3,900円をお支払いいただきます。(前売り券の方は、予め3枚いただきます)
※一挙上映は原則として途中入場できません。
※第2部と第3部には予告が付きません。
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