第14回カイエ・デュ・シネマ週間



<リリースより引用>
60年近く前にフランスで創刊され、ヌーヴェル・ヴァーグの若き映画監督たちを世に送り出した伝説的な映画雑誌「カイエ・デュ・シネマ」誌。本誌の編集委員と共に、フランス映画の現在を紹介する「カイエ・デュ・シネマ週間 in Tokyo」も今年で14回目を迎えました。今回は、クレール・ドゥニやブリュノ・デュモン、アラン・カヴァリエらベテラン監督の最新作をはじめ、クリストフ・オノレ、アラン・ギロディ、ラリユー兄弟など、90年代後半から活動を始め、それぞれ前世代の監督たちとは異なるスタイルの映画を生み出し、フランス映画を変革している個性的な監督たちの作品を紹介いたします。また、フレンチ・エレクトロ界の寵児ミスター・オワゾ(カンタン・ドゥピュー)が監督し、フランス映画界を驚愕させた『ステーキ』、『タイヤ』も上映いたします。
2010.9.29 update

映画を見ること、それについて語り、批評すること。ヌーヴェル・ヴァーグの映画作家たちによって創設されたこの伝説的な雑誌は、過去の作品を再発見しながらも、新しく生まれていく作品と共に、映画の現在について考察してきました。今年、惜しまれつつもこの世を去ったエリック・ロメール、クロード・シャブロル。この催しが、果敢に映画の可能性に挑んできた彼らの才能を讃え、追悼すべく、現在の映画をみなさんと発見し、語り合う場になれば幸甚です。
坂本安美
2010年10月8日(金)~10月23日(土)
会場・お問い合せ:東京日仏学院
入場料金(当日券のみ):会員500円、一般1,000円 初回の1時間前から、当日全ての回のチケットを発売致します。

プログラム企画協力:ジャン=セバスチャン・ショーヴァン(「カイエ・デュ・シネマ」編集委員)
上映スケジュール
10月8日(金)
16:30
ハデウェイヒ
(105分)

19:00
キング・オブ・エスケープ
(93分)
上映前に、ジャン=セバスチャン・ショーヴァンによる作品紹介あり
10月9日(土)
13:30
イレーヌ
(85分)

16:00
ステーキ
(85分)





18:15
タイヤ
(100分)
上映後に、ジャン=セバスチャン・ショーヴァンによるトークショーあり
10月10日(日)
11:30
イレーヌ
(85分)

14:00
娘よ、どうか踊りに行かないで
(105分)




16:30
ハデウェイヒ
(105分)





10月15日(金)
15:00
キング・オブ・エスケープ
(93分)
17:00
ステーキ
(85分)





19:00
タイヤ
(100分)





10月16日(土)
15:30
娘よ、どうか踊りに行かないで
(105分)
18:00
ホワイト・マテリアル
(102分)




10月17日(日)
15:30
ホワイト・マテリアル
(102分)
18:00
娘よ、どうか踊りに行かないで
(105分)




10月22日(金)
16:00
世界の最後の日々
(130分)
19:00
ホワイト・マテリアル
(102分)
10月23日(土)
15:00
世界の最後の日々
(130分)
    
※プログラムはやむを得ず変更されることがあります。
※開場:各回上映20分前
上映プログラム
カイエ・デュ・シネマ 2006/2009/2010フランス映画ベスト・セレクション

『ハデウェイヒ』
フランス/2009年/105分/35ミリ/カラー/日本語字幕
監督:ブリュノ・デュモン
出演:ジュリー・ソコロウブスキ、カール・サラフィディス、ヤシーヌ・サリム、ダヴィド・ドゥワエル 

修道院で生活するセリーヌは、13世紀のフランドル地方の神秘主義的詩人ハデウェイヒの盲目の信仰心の啓示を受け、激しく感化されるあまり修道院を追われる。パリに戻り、やり場のない気持ちをもてあました彼女は、そこでイスラム系のふたりの男性ヤシーヌとナシールと出会う。やがてセリーヌは神への情熱的な愛に駆られ、恩寵と狂気のはざまで、危険な道へと導かれてゆく。2作目『ユマニテ』がカンヌ国際映画祭のグランプリを受賞するなど、その卓越した表現力が定評の鬼才ブリュノ・デュモンが13世紀の聖女ハデウェイヒに取り憑かれたヒロインの狂おしいほどまでに純粋な魂を描く。 

『キング・オブ・エスケープ』
フランス/2009年/93分/35ミリ/カラー/日本語字幕
監督:アラン・ギロディ
出演:リュドヴィック・ベルティヨ、アフシア・エルジ、ピエール・ロール 

農機具のセールスマンであるアルマンは43歳。独身のゲイで、人生にうんざりしていた。ところが、生意気な10代の少女カルリに出会い、彼は異性愛者となる。さまざまな人々に追われ、あらゆる危険に抗いながらも、ふたりは許されない愛を貫こうとする。しかし、これは本当にアルマンが夢見たことなのだろうか?奇天烈な内容と独自の世界観で孤高の地位を築くA・ギロディ監督の新作。人間にとってのセクシャリティとは何かを問い、全く自由な発想と映像で観客を新たな映画体験へと誘う。カンヌ国際映画祭監督週間部門出品作品。
『イレーヌ』
フランス/2008年/85分/35ミリ/カラー/英語字幕
監督:アラン・カヴァリエ 

映画監督とその妻イレーヌ。強い絆で結ばれた関係は、複雑で陰影に満ちたものでもあった。交通事故で亡くなったイレーヌ。何年もの月日を経て見つかった彼女の日記を通じて、映画監督は40年前に他界した最愛の人との対話を試みる。カトリーヌ・ドヌーヴ(『別離』、68年)やアラン・ドロン(『さすらいの狼』、64年)を主演に迎えるなど、スターを起用した商業的な作品も撮っていたアラン・カヴァリエは、86年に『テレーズ』でカンヌ国際映画祭審査員賞や、セザール賞6部門を受賞した後は、撮影方法をどんどん簡素化していく。そして2000年以降は、たった一人、デジタルカメラだけで、対象と対話をするように撮影し、『レネ』(92年)、『撮る人』(2005年)など親密で美しい作品を意欲的に撮り続けている。
『タイヤ』
フランス/2010年/85分/デジタル上映/カラー/オリジナル英語版・日本語字幕
監督:カンタン・ドゥピュー
出演:ロクサーヌ・メスキダ、トーマス・F・デュフィ、ウィングス・ハウザー 

カルフォルニアの砂漠の中、人々は、奇妙にも若く美しい娘に心惹かれるテレパシー能力を持った殺人タイヤの冒険という信じがたい状況を目にする。今年度のカンヌ国際映画祭批評家週間で上映され、フランス映画というよりは、アメリカ映画のB級映画的な面白さで大反響を生んだ作品。「タイヤが鏡に映る自分の姿に不意に目を奪われる素晴らしいシーンがある。この瞬間、カンヌの最初の掘り出し物を見出した。偉大な役者を」(「カイエ・デュ・シネマ」)。
『ステーキ』
フランス=カナダ/2006年/85分/デジタル上映/カラー/無字幕・日本語同時通訳付
監督:カンタン・ドゥピュー
出演:エリック・ジュドー、ラムジー・ベディア、セバスチャン・テリエ 

幼馴染のジョージとブレーズは、ある事件が原因で、七年間、離れていた。ふたりが再会する2016年、ファッションと美しさの基準は現在とは大きく異なっており、若者の間では肌のリフティングが新しい流行となって爆発的な人気を博していた。大学を卒業したばかりで、最近リフティングを行ったジョルジュは、夏休みを利用して"シバース"という極度のリフティングを施したグループに加わろうとする。すっかり落ちぶれてしまったブレーズもまた"シバース"の一味になろうと試みるが......。監督は、ミスターオワゾーというアーティスト・ネームで、フレンチ・エレクトロ・シーンを代表するクリエイターのカンタン・ドゥピュー。主演は、フランスのバラエティ番組の人気コメディアン・コンビ、エリック&ラムジー。
『娘よ、どうか踊りに行かないで』
フランス/2009年/105分/35ミリ/カラー/英語字幕
監督:クリストフ・オノレ
出演:キアラ・マストロヤンニ、マリナ・フォイス、マリー=クリスティーヌ・バロー 

夫のニゲルと別れて以来、レナは、ふたりの子どもをかかえながら、勇敢に様々な困難に立ち向かってきた。しかし、彼女にとって最悪の問題、つまりレナを幸福にしようと決意した家族たちのどうにもならない善意へは、上手く対応できずにいた。一人の母親として、娘として、そして女としてどのように生きていけばいいのか模索する30代の女性をキアラ・マストロヤーニがその美しさと強さ、そして繊細さを持って見事に演じている。
「キアラには『ラブ・ソング』で出会いました。そのときにすぐに演技について私たちが同じ波長を持っているな、ということに気づきました。ルイ・ガレルとも同じフィーリングを持ちました。自分の分身、スポークスマンを見つけたような感じでした」(クリストフ・オノレ)。

『ホワイト・マテリアル』
フランス/2008年/102分/35ミリ/カラー/英語字幕
監督:クレール・ドゥニ
出演:イザベル・ユペール、イザック・ド・バンコレ、クリストフ・ランベール 

アフリカのとある地域、市民による戦争の真只中、マリアは、自分や家族に脅威が向けられているにも関わらず、収穫前のコーヒー農園から離れることを拒否する。場所への帰属/疎外、他者との共存の可能性/不可能性をテーマとしてきたクレール・ドゥニが、処女作『ショコラ』から22年後、再びアフリカの地に戻り、彼女の創作活動のインスピレーション、美学、そして自らの存在の源泉に立ち返って撮った秀作。ゴンクール賞を受賞するなど高い評価を受けているアフリカ系若手女流作家マリー・ンディアイと脚本を共同執筆し、イザベル・ユペールが初のクレール・ドゥニ作品主演で新たな魅力を発揮している。

『世界の最後の日々』
フランス/2008年/130分/35ミリ/カラー/英語字幕
監督:ジャン=マリー&アルノー・ラリユー
出演:マチュー・アマルリック、カトリーヌ・フロ、カリン・ヴィアール 

世界の終わりが発表された時、ロバンサン・ラボルドは、妻と別れるという精神的痛手から少しずつ立ち直っていた。惨事が差し迫っており、そしておそらくそれに向き合ったほうがいいにも関わらず、彼はフランスからスペインへと続く愛の逃避行へ飛び出してしまう。ジャン・ルノワールを思わせる大らかな官能性と、独特なストーリー展開で人気のラリユー兄弟が、マチュー・アマルリックを再び主役に迎えて撮ったポスト・アポカリプスもの(!?)。


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