第6回爆音映画祭



boidが主宰する今年で第6回目を迎える「爆音映画祭」が凄いことになっている。何がそんなに凄いのか?はラインナップを見て頂ければ一目瞭然。去年のベネチアで、もの凄い若返りルックで私たちを驚かせたマイケル・チミノの、あらゆる意味で破格の映画『天国の門』デジタル修復完全版を<爆音>で観ることが出来るのだし、オフィシャルにアカデミーの音響賞を受賞(作品賞と監督賞の他に助演男優賞、編集賞も受賞)している『ディア・ハンター』が<爆音>&35mmフィルムでスクリーンに甦るのだ。ブレッソンの『ラルジャン』、今年急逝したアレクセイ・ゲルマンの『フルスタリョフ、車を!』、ムルナウ『吸血鬼 ノスフェラトゥ』の山本精一無声映画ライヴ、ニック・レイの『We can't go home again』、三宅唱の『Playback』と、ゴダール、コッポラ、デ・パルマを抜いて、ただタイトルを羅列するだけでも凄さが伝わるというラインナップである。<チェンソー特集>で、『悪魔のいけにえ2』、『ウィンターズ・ボーン』と並んで『先祖になる』が上映されるというユーモアのセンスも素晴らしい。<裏爆音映画祭>ともいわれるシアター2の上映ラインナップも、マーメイドフィルム傑作選から梅本洋一追悼のboidスペシャル、土居伸彰presents アニメーション傑作選まで、気になる企画がズラリと並んでいる。
(上原輝樹)
2013.5.16 update
5月31日(金)~6月8日(土)
上映スケジュール

<シアター1>
      
5月31日(金)
19:00
天国の門
(216分)
6月1日(土)
11:20
千年女優
(87分)

13:15
ディア・
ハンター

(184分)
16:50
ゴダールの
リア王

(91分)

18:50
サンダーボルト
(115分)

21:10
キャリー
(98分)




6月2日(日)
12:00
逃亡者
(105分)


14:25
ヴァージニア
(90分) 


16:25
悪魔のいけにえ2
(100分) 

18:30
ナチュラル・ボーン・
キラーズ

(119分)
21:00
We Can't Go Home Again
(93分) 



6月3日(月)
11:15
先祖になる
(118分) 

13:45
わたしたちの宣戦布告
(100分)
15:55
ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ
(97分)
18:00
ヴァージニア
(90分)


21:10
上映+ライヴ
山本精一無声映画ライヴ
吸血鬼ノスフェラトゥ

(64分)
6月4日(火)
11:20
ディア・
ハンター

(184分)
14:55
逃亡者
(105分)

17:10
千年女優
(87分)


19:05
4:44 地球最期の日
(82分)

21:00
ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ
(97分)


6月5日(水)
11:50
わたしたちの宣戦布告
(100分)
14:00
ゴダールの
リア王

(91分)
16:00
Playback
(113分) 


18:20
フルスタリョフ、車を!
(142分)

21:10
湖畔の2年間
(86分)




6月6日(木)
12:00
ウィンターズ
・ボーン

(100分)
14:10
スキャナーズ
(103分)

16:25
キャリー
(98分)


18:40
動くル・デルニエ・クリ(仮)
(120分)
21:10
ラルジャン
(85分)




6月7日(金)
12:00
4:44 地球最期の日
(82分)
14:00
サンダーボルト
(115分)
16:25
カリフォルニア・ドールズ
(113分)

18:50
スキャナーズ
(103分)


21:00
デーモンラヴァー
(120分)



6月8日(土)
23:00
後夜祭オールナイト
~こんなアメリカはいやだ!~
ナチュラル・ボーン・ キラーズ

(119分)
ウィンターズ ・ボーン
(100分)
悪魔のいけにえ2
(100分)


<シアター2>
6月1日(土)
マーメイドフィルム
presents
強烈で最高なシネマの日

13:00
マリアブラウンの結婚
15:30
アンナと過ごした4日間

17:30
ゴモラ



20:00
アンダーグラウンド







6月2日(日)
アナログ
ばかばか一代
12時間スペシャル


11:00
Vol.1

14:00
Vol.2


17:00
Vol.3



20:00
Vol.4








6月3日(月)
TRASH-UP!!
Presents
グラインドバウスの逆襲 day1

11:30
食人族

13:25
情無用の
ジャンゴ


15:40
デモンズ



17:30
死霊の
したたり








19:15
マカブル 
永遠の血族


21:10
サスペリア2
劇場公開版


6月4日(火)
TRASH-UP!!
Presents
グラインドバウスの逆襲 day2

11:00
怒りの荒野

13:15
幻想殺人


15:20
ハロウィン



19:30
アイドルライブ(仮)
出演:BELLRING少女ハート、Starmarie、さっちゃん、CYBORG KAORI他
6月5日(水)
TRASH-UP!!
Presents
グラインドバウスの逆襲 day3

11:30
エクスターミネーター
13:30
デモンズ2


15:20
ミラージュ



17:10
続・荒野の
用心棒








19:15
BUSHIDO MAN:
ブシドーマン
6月6日(木)
boid スペシャル
「Nothing for Good」


12:30
空族スペシャル
15:10
やくたたず


16:40
梅本洋一関連
作品上映1
ゲスト:冨永昌敬
18:40
梅本洋一関連
作品上映2








20:45
篠崎誠による黒沢清

6月7日(金)
土居伸彰presents
アニメーション・スーパーヒューマン・デー
12:00
ザ・クリスティーズ
14:00
さよならミスター・クリスティー
16:00
死亡以上埋葬未満


18:00
日英若手作家作品一挙上映







19:40
モンスターロード

21:10
ブルース・ビックフォード傑作選
作品ラインナップ
爆音上映

©1994 Warner Bros. All Rights Reserved.
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』
1994年 / アメリカ / 119分 / 35mm
提供:boid
原題:NATURAL BORN KILLERS
監督:オリヴァー・ストーン
原案:クエンティン・タランティーノ
出演:ウディ・ハレルソン、ジュリエット・ルイス 

生まれついての殺人鬼カップルによる血みどろロードムービー。MTV的な楽しさに溢れる統覚を欠いたモンタージュ&サウンドは今見ても強烈で、 メディアによるメディア批評という、この監督ならではの社会派的な意図をなしくずしにしてしまう痛快さが漲る。
©2011 千年女優製作委員会
『千年女優』
2001年 / 日本 / 87分 / 35mm
提供:クロックワークス
監督:今敏
音楽:平沢進
声の出演:荘司美代子、小山茉美、折笠富美子 

かつて一世を風靡した女優が語る半生。それは彼女が出演した映画の世界と混じり合い、やがて日本史を貫く一途な愛が浮かび上がる。 そんな途方もない物語を彩る、往年の映画音楽を現代にアップグレードしたような平沢進の音楽が心地よい感動へと見る者を誘う。
©Sodaperaga Productions
『フルスタリョフ、車を!』
1998年 / ロシア、フランス / 142分 / 35mm
提供:パンドラ
原題:XPUSTALEB, MAWIHU!
監督:アレクセイ・ゲルマン
出演:ユーリー・アレクセーヴィチ・ツリロ、 ニーナ・ルスラーノワ、ミーシャ・デメンティエフ 

スターリン政権下のソビエトで、時代に翻弄された脳外科医一家の数奇な運命を描く...のだが、真面目一辺倒な話を期待するのは間違い。 全編に溢れるあらゆる物音への偏執ぶりは、物語の深刻さを嘲笑うかのようだ。瀕死のスターリンの放屁の音は必聴。
©1976 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.
ALL RIGHTS RESERVED
『キャリー』
1976年 / アメリカ / 98分 / 35mm
提供:東宝東和
原題:CARRIE
監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:シシー・スペイセク、パイパー・ローリー、ウィリアム・カット、ジョン・トラヴォルタ 

いじめられっ子の少女キャリーが持ってしまった超能力が引き起こす血の惨劇。『サイコ』のシャワーシーンから引用された、 あの神経を逆撫でする弦楽器の不協和音とキャリーの叫びが重なるとき、少年少女のプロムパーティーへの夢は木っ端微塵に砕かれるだろう。70 年代ホラーの代表作の1本。
『ラルジャン』
1983年 / フランス、スイス / 85分 / 35mm
提供:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム
原題:L'ARGENT
監督:ロベール・ブレッソン
出演:クリスチャン・パティ、カロリーヌ・ラング 

受難劇。世界も、登場人物の表情も、音響も、すべてが渇き切っているという意味では、これほどハードボイルドな映画もないだろう。 犬の吠え声ひとつですべてを語ってしまうラストシーンの演出の渇きぶりには唖然とする。音数の少ないこの映画が爆音でいかに変容するのか、楽しみは尽きない。
『わたしたちの宣戦布告』
2011年 / フランス / 100分 / DCP
提供:アップリンク
原題:LA GUERRE EST DECLAREE
監督:ヴァレリー・ドンゼッリ
出演:ヴァレリー・ドンゼッリ、ジェレミー・エルカイム、セザール・デセック 

ロメオとジュリエットが出会い、子供を授かる。名前はアダム。本気なのか冗談なのかはわからない。しかし、難病を患うアダムが病院で治療している間、 不意をついて疾走するジュリエットはどう見ても本気。そこにエレクトロを流してしまうセンスにグッとくる。絶妙の音楽と編集センス。
Courtesy of Ben Rivers and LUX, London
『湖畔の2年間』
2011年 / イギリス / 86分 / DCP
原題:TwoYears at Sea
監督:ベン・リヴァース 

湖畔の森で暮らす初老の男の生活を静謐に綴る。しかし、その様子は粗い白黒フィルムの粒子の不気味な蠢きへと微分されてしまう。 ベッドにうずくまる男はまるで大地に散った粉雪のよう。黒い影になり消えていく『回路』の死に様に匹敵する禍々しさで、 存在と非在のあわいを揺らめく。
© 2011 SO SUAVE, LLC AND WILD BUNCH S.A.
ALL RIGHTS RESERVED.
『4:44 地球最期の日』
2011年 / アメリカ、スイス、フランス / 82分 / BD
提供:コムストック・グループ
原題:4:44 LAST DAY ON EARTH
監督:アベル・フェラーラ
出演:ウィレム・デフォー、シャニン・リー、ポール・ヒップ 

地球が終わると知らされた日、人々はなす術もなく待つしかない。そんな話は巷に溢れているが、その終わりをファウンド・フッテージの切り貼りだけで描いてしまう話はそうない。 監督の認識では地球はとっくのとうに終わっているということだろうか? これはその「終わり」の後へ向けての物語。
© Zoetrope Corp.2011
『Virginia/ヴァージニア』
2011年 / アメリカ / 90分 / 35mm
提供:カルチュア・パブリッシャーズ
原題:TWIXT
監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:ヴァル・キルマー、ブルース・ダーン、エル・ファニング
ナレーション:トム・ウェイツ 

三文小説家が奇妙な町に迷い込む。時計ごとに示す時間が違うのだから、そこではひとつの空間に複数の時間が流れ込んでいるのだろう。 だからなのかそこに響く声や物音は、数々の時間の層を作っていく。いつその音は発せられたのか。時間の層を巡る旅が始まる。
山本精一無声映画ライヴ『吸血鬼 ノスフェラトゥ』
1922年 / ドイツ / 64分 / DVD
提供:アイ・ヴィー・シー
原題:NOSFERATU: EINE SYMPHONIEDES GRAUENS
監督:F・W・ムルナウ
出演:マックス・シュレック、アレクサンダー・グラナハ、グスタフ・フォン・ワンゲンハイム 

毎年恒例となりつつある、爆音伴奏付き無声映画上映。今回はドラキュラ伝説を材に取ったホラー映画の古典。この美しさと恐ろしさが同居する 不死身の怪作に、山本精一がどんな音を付けるのか? そしてそのとき、映画はどのように見えるのか? 乞うご期待。
© 1988 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.
All Rights Reserved
『ゴダールのリア王』
1987年 / アメリカ / 91分 / 35mm
提供:boid
原題:KING LEAR
監督:ジャン゠リュック・ゴダール
出演:ピーター・セラーズ、バージェス・メレディス、モリー・リングウォルド、ウディ・アレン 

シェイクスピア5世が、先祖による『リア王』とそっくりな光景を目撃したことから始まる奇想天外な旅の物語。 彼が森の奥で出会う、ゴダール演じるマッドサイエンティストが発明した「映画」の姿は戦慄するしかない。「イマージュは魂の純粋な創造物である」。
©2011 by Charlie Levi.
『We can't go home again』
1973年~2011年 / アメリカ / 93分 / BD
提供:boid
原題:We Can't Go Home Again
製作・監督・脚本・出演:ニコラス・レイ
脚本:スーザン・レイ
出演:トム・ファレル、リチー・ボック 

N・レイの最後の長編。大学に招かれたレイが、学生たちと映画をつくる様子と撮影された作品とが、モザイク状にコラージュされる。 スクリーンを飛び交う映像と音響の破片は、観るという行為を圧倒的な体験へと変える。万華鏡のような目眩く「教育」映画。
©2011 BEATS RHYMES & FIGHTS PRODUCTIONS LLC
『ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ~ア・トライブ・コールド・クエストの旅~』
2011年 / アメリカ / 97分 / BD
提供:トランスフォーマー
原題:BEATS RHYMES & LIFE: THETRAVELS OF A TRIBE CALLED QUEST
監督:マイケル・ラパポート 

昨年のビースティに続く爆音ヒップホップ第2 弾。ヒップホップ界の革命児、ア・トライブ・コールド・クエストがたどった冒険の軌跡に迫るドキュメンタリー。 ビースティとはまた違うジャジィなグルーブは、ビール片手に体感すればよりドープさが増すかも?
©2012 Decade, Pigdom
『Playback』
2012年 / 日本 / 113分 / 35mm
提供:PIGDOM
監督:三宅唱
主題歌:大橋トリオ
出演:村上淳、渋川清彦、三浦誠己、菅田俊、渡辺真起子 

40歳を手前にして、人生に行き詰まりを感じる俳優の男が体験する一風変わった時間旅行。いくつもの時間が訪れて、 寄せては返す波のように、ちょっとずつ変化しながら反復する時空の上を男がスケボーで滑走するとき、誰もがこれは日本初の「丘サーフィン映画」なのだと確信するだろう。
『動くル・デルニエ・クリ(仮)』

南フランスのワイルドな港町マルセイユを拠点とし、この世のありとあらゆる下品と禁忌がこれでもかとぶち込まれた超強力な 印刷物(シルクスクリーン刷りのアートブックやポスターなど)を世界中にばらまき続けている出版芸術家パキート・ボリノ。 彼が主宰するアトリエ兼印刷所兼アーティストグループ「ル・デルニエ・クリ」が今年活動20周年の節目を迎えている。 6月中旬には日本でのエキシビジョンも予定している彼らがこれまでにてがけた映像作品を特集するプログラムを、わざわざ6月6日午後6 時頃に爆音上映。 詳細は当HPや単独チラシ等で追ってお知らせします。
©1980 AVCO EMBASSY PICTURES CORP
『スキャナーズ』[リストア版]
1981年 / カナダ / 103分 / BD
提供:コムストック・グループ
原題:SCANNERS
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:スティーヴン・ラック、ジェニファー・オニール 

超能力者たちの死闘を描き、80年代以降のSF 映画に多大な影響を与えたクローネンバーグの出世作。見どころは何と言っても顔面爆破。 しかし、そこに至るまでのアンビエントなドローン音と鋭利なストリングスによる厭らしいほどのジラしのテクこそ、クローネンバーグの真骨頂かもしれない。
©1981 Warner Bros. Pictures International.
All Rights Reserved
『カリフォルニア・ドールズ』
1981年 / アメリカ / 113分 / 35mm
提供:boid
原題:...ALL THE MARBLES
監督:ロバート・アルドリッチ
出演:ピーター・フォーク、ヴィッキー・フレデリック、ローレン・ランドン、バート・ヤング 

女子プロ・タッグ「ドールズ」たちの旅は、生きることの陰りと輝きに満ちている。どこにでもいる誰かが特別な存在となる、そんな輝ける一瞬の永遠がスクリーンを満たす。 物語の最後に置かれたルール無視プロレスシーンは圧巻。爆音だけがそのコントロール不能な力を再現可能だ。
©ELIZABETH FILMS-M6 FILMS-CITIZEN FILMS-2002
『DEMONLOVER デーモンラヴァー』
2002年 / フランス / 120 分 / 35mm
提供:東北新社
原題:DEMONLOVER
監督:オリヴィエ・アサイヤス
音楽:ソニック・ユース
出演:コニー・ニールセン、シャルル・ベルラン、クロエ・セヴィニー 

産業スパイの女がリアルとヴァーチャルの間隙に墜落する様をスタイリッシュに描く。音楽を手掛けるのはソニック・ユース。 物語のカオスのうねりを加速させるダークでノイジィな楽曲はもちろんのこと、彼らが楽器で鳴らしているという雑踏などの環境音も注目。
特集 マイケル・チミノ

©1981 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.
All Rights Reserved
『天国の門 デジタル修復完全版』
1981年 / アメリカ / 216分 / DCP
提供:boid
原題:HEAVEN'S GATE
監督:マイケル・チミノ
出演:クリス・クリストファーソン、クリストファー・ウォーケン、ジョン・ハート、イザベル・ユペール 

西部開拓時代の悲劇を描く一大叙事詩が、数十年の時を経てデジタル修復され、再びスクリーンに甦る。 制作会社を破産に追い込んだことからも知れるように、すべてが今では考えられないほど壮大。戦争シーンの狂気じみた容赦のなさには背筋が震えることだろう。
©Studiocanal
『ディア・ハンター』
1978年 / アメリカ / 184分 / 35mm
提供:boid
原題:THE DEER HUNTER
監督:マイケル・チミノ
出演:ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、ジョン・サヴェージ、メリル・ストリープ 

あの日、死ぬはずだったのに生きてしまった男は、生と死の間に今も佇むあの日の自分にピストルを向け続ける。 そうすることでほとんど死んだように生きる。しかしそのとき、映画史上もっとも悲しい銃声が響く......。ベトナム戦争に翻弄された男たちの悲惨な末路。
©1974 MALPASO PRODUCTIONS. All Rights Reserved
『サンダーボルト』
1974年 / アメリカ / 115分 / 35mm
提供:boid
原題:THUNDERBOLT AND LIGHTFOOT
監督:マイケル・チミノ
出演:クリント・イーストウッド、ジェフ・ブリッジス、ジョージ・ケネディ、ジェフリー・ルイス 

2人のチンピラが繰り広げる、ちょっと物悲しい犯罪珍道中。ことあるごとに乗り換えるさまざまな種類の車が、砂塵を巻き上げながら疾走する。 そのそれぞれ異なるエンジンとブレーキの高鳴りだけで、1本の映画を撮ろうとしたかのようなあっけなさが気持ちいい。
©1990 DINO DE LAURENTIIS COMMUNICATIONS.
All Rights Reserved
『逃亡者』
1990年 / アメリカ / 105分 / 35mm
提供:boid
原題:DESPERATE HOURS
監督:マイケル・チミノ
出演:ミッキー・ローク、アンソニー・ホプキンス、ミミ・ロジャース 

牢獄から脱走した破格の頭脳を持つ男と、彼の人質となった一家の手に汗握る心理戦。ごく普通の一軒家から、こんなにも多くの表情を切り取ってみせるあたりにチミノの職人技が光る。 それにしても、全編にみなぎるこの無償のエロさはなんなのだろうか......?
特集 チェーンソー

©1986 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.
All Rights Reserved
『悪魔のいけにえ2』
1986年 / アメリカ / 100分 / 35mm
協力:生駒隆始
原題:THE TEXAS CHAINSAW MASSACRE PART 2
監督:トビー・フーパー
音楽:トビー・フーパー、ジェリー・ランバート
出演:デニス・ホッパー、キャロライン・ウィリアムズ、ビル・ジョンソン 

チェーンソー、ジェットコースター、ロックンロール......本作に頻出するこれらは、回転することで生命を宿すという意味ですべて映画の比喩だ。違うのは速度と必ず絶叫がつきまとうこと。 この世界最速の絶叫映画は、爆音でこそそのポテンシャルを全開させる。
©2010 Winter's Bone Productions LLC.
All Rights Reserved.
『ウィンターズ・ボーン』
2010年 / アメリカ / 100分 / 35mm
提供:ブロードメディア・スタジオ
原題:WINTER'S BONE
監督:デブラ・グラニック
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、ケヴィン・ブレズナハン 

寂れた地方小都市で、失踪した父を少女が探し歩く。その行く手を阻む、狂気と諦念に満ちた大人たちの表情は壮絶だ。 大人たちに促され、涙ながらに少女が握ったチェーンソーの音は、まるでローレン・マザケイン・コナーズの奏でるギターのように宵闇を切り裂く。
©2011 by Charlie Levi.
『先祖になる』
2012年 / 日本 / 118分 / DCP
提供:蓮ユニバース
製作:権洋子
監督:池谷薫
撮影:福居正治、坂口勇太、金子英樹
音響構成:渡辺丈彦
出演:佐藤直志 

先の大震災で息子と自宅を失った佐藤直志(77歳)が、そんな状況にもめげず孤軍奮闘、自力で家を再建しようとする姿を追ったドキュメンタリー。 彼がその豪快なチェーンソーさばきによって語る、言葉になりがたい思いの丈を、爆音で聞き届けて欲しい。


第6回爆音映画祭について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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