祝!『あれから』公開、『おかえり』リバイバル上映



篠崎誠監督が、映画美学校フィクション・コースとのコラボレーション作品として制作した新作『あれから』は、俳優が表現する繊細な感情のうつろいと、地震と電車の走行という自然と人工の振動を、研ぎ澄まされた聴覚と慎ましい眼差しによって、日常と非日常の境目が大きく揺らいだ瞬間が継続する時間の中に捉え直す試みであると言って良いのかもしれない。そうした瞬間瞬間を的確に捉える技術水準の高いショットの連なりが、映画全体を有機的に構成している『あれから』は、改めて日本映画の美学を感じさせてくれる希有な作品であると同時に、その美意識は幽玄に終わらず、未来に向けて歩み出す意思を確固として示している。『あれから』の公開を祝して、リバイバル上映されることになった篠崎監督の長編処女作『おかえり』も、是非この機会に観ておきたい。
(上原輝樹)
2013.3.7 update
3月9日(土)よりロードショー
会場:オーディトリウム渋谷吉祥寺バウスシアターシヌ・ヌーヴォ松本シネマセレクト
料金:各会場サイトよりご確認ください。
チケット販売:オーディトリウム渋谷吉祥寺バウスシアターちけっとぽーと吉祥寺店映画美学校オートフィッツ吉祥寺 

公式サイト:http://arekara311.com/ 

イベント情報

※オーディトリウム渋谷にて
3月9日(土)12:10の回/15:40の回上映前 篠崎誠監督、竹厚綾、礒部泰宏他による舞台挨拶
3月11日(月)19:30の回上映後 唯野未歩子さん×篠崎監督トークショー
3月16日(土) 21:00 『おかえり』上映後 寺島進さん×篠崎監督トークショー

※吉祥寺バウスシアターのイベント情報はこちら
上映スケジュール
〈オーディトリウム渋谷〉〈吉祥寺バウスシアター〉
3月9日(土)〜3月15日(金)
12:10
あれから(63分)
15:40
あれから(63分)
19:30
あれから(63分)
3月16日(土)〜3月22日(金)
21:00
おかえり(99分)
3月16日(土)〜3月29日(金)
10:30
あれから(63分)
20:40
あれから(63分)

〈大阪 シネ・ヌーヴォ〉〈長野 松本シネマセレクト〉
4月13日(土)〜4月19日(金)
14:40
あれから(63分)
4月20日(土)〜4月26日(金)
12:40
あれから(63分)
4月27日(土)
13:00
あれから(63分)
19:30
あれから(63分)
上映プログラム

©COMTEG/THE FILM SCHOOL OF TOKYO
『あれから』
2012年/日本/カラー/16:9/ステレオ/63分
監督・脚本・編集:篠崎誠
脚本:酒井善三/プロデューサー:松田広子/監督補:久保朝洋/助監督:宮崎圭祐、山口裕輝、多賀祐輔/撮影:山田達也、川口諒太郎、金山翔太郎/照明:玉川直人、藤田峻平、杉山修平/録音・整音:臼井勝、百々保之/美術:山下知恵、丸山夏奈、岩本圭介、近藤佳菜子/CG:押田興将/ヘアーメイク:大河内ともみ、薄田舞依/制作:岩崎僚、高橋歳行、畠山隼一/音楽:柳下美恵
出演:竹厚綾、礒部泰宏、太田美恵、木村知貴、川瀬陽太、杉浦千鶴子、伊沢磨紀 

2011年3月11日。東日本を襲った大震災。その夜、東京郊外の靴屋に勤める祥子(竹厚綾)は被災地に暮らす恋人、正志(礒部泰宏)と連絡がつかずにいた。余震が続く中、ようやく通じた電話で、正志が大震災をきっかけに心のバランスを崩して入院したことを家族から知らされる。すぐに駆けつけたいとの申し出も、「これを機に別れた方があなたのためでもある」と断られてしまう。母亡きあと、祥子を気にかけてくれている叔母の直子(伊沢磨紀)も、「今は行かない方がいい」との意見だった。
容赦なく戻ってくる日常生活。同僚の真実(太田美恵)の結婚式も予定通り行なわれるという。
一見、いつもどおりの日々を送りながらも、彼への想いに"揺れる"祥子。そんなとき、いるはずのない正志が目の前に現れる...。
『おかえり』
1996年/日本/カラー/スタンダード/99分/35ミリ
監督:篠崎誠
脚本:篠崎誠、山村玲/製作:筒井武文、松田広子/撮影:古谷伸/編集:筒井武文
出演:寺島進、上村美穂、青木富夫 

塾講師の北沢孝(寺島進)は、妻・百合子(上村美穂)とは穏やかな結婚生活を営んでいたはずだった。いつものように急に約束を破っても、たいして気にしていない夫は次第に妻の心のバランスが崩れていることには気づかない。やがて意味不明の「見回り」を繰り返すようになった百合子。とまどう北沢の目の前で、百合子は他人の車を勝手に乗り回す警察沙汰を起こしてしまう......。 

第36回テサロニキ国際映画祭 最優秀監督賞、国際批評家連盟賞
ベルリン国際映画祭 最優秀新人監督賞
第20回モントリオール国際映画祭国際批評家連盟賞、モントリオール賞
ダンケルク国際映画祭グランプリ、最優秀女優賞。プレス審査員賞、若手審査員賞、観客賞
第17回ナント三大陸映画祭 最優秀女優賞
第5回東京スポーツ映画大賞 監督賞、新人賞


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