OUTSIDE IN TOKYO
Werner Herzog INTERVIEW

ヴェルナー・ヘルツォーク『世界最古の洞窟壁画 3D 忘れられた夢の記憶』インタヴュー

4. ローグ・フィルムスクールでは通常ではないことを教えます。
 まず、最初の30分で鍵のこじ開け方などを教えます(笑)

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OIT:一つ質問です。ドキュメンタリーを撮る時は、あなたが文章を書くのと似ていますか?
WH:いいえ。

OIT:それは違う行為なのですね。
WH:そう、全く違う行為です。

OIT:どのように違いますか?
WH:(溜め息)方法も違えば、その違いは明らかなので話すまでもないと思います。

OIT:分かりました。それでは、トム・クルーズと共演している映画はどのようなものですか?
WH:なんと言えばいいのか…、アクション映画です。原作はベストセラーで、『One Shot』と検索すれば出てくるはずです。そして撮影はちょうど終わる頃だと思います。私の分は去年の12月に撮影を終えました。

OIT:では、この(取材の)あとベネズエラへ行くというのはまた違うプロジェクトなのですね。
WH:そうです。全く違います。私の妻がフォトグラファーで、彼女のポートフォリオを作りに行くのです。あと、私の友人たちが映画を撮影していて、そのヘルプにも行きます。カメラのオペレーターをするかもしれないけれど、まだ未定です。自分にできることがあれば助けたいと思っています。

OIT:あなたの主宰するローグ(ROGUE)フィルムスクールについてもう少し教えていただけますか。
WH:週末にかけて4日間開講し、まず、このフィルムスクールは特定の場所を持ちません。例えば東京でもできますし、今回はロサンゼルスですが、ある時などは空港でもやりました。ガトウィック空港近くのホテルでね(笑)。でも、もちろん屋外でもできますし、私一人で運営しているものです。自分だけで。生徒も私自身が選びます。文章を書いて応募してもらい、私が全てに目を通します。そして全員にショートフィルムを送ってもらいます。そして全てのフィルムを見てから、最終的に50人に絞る。それより少ない時も多い時もありますが、だいたい50人ほどです。

OIT:選考に通った後はどうなるのですか?
WH:まあ、普通の映画学校ではないので、テクニカルなことを学びたいならば、地元の映画学校に応募した方がいいでしょう。ローグ・フィルムスクールではなくてね(笑)。通常ではないことを教えます。まず、最初の30分で鍵のこじ開け方などを教えます(笑)。どうやって書類を偽造するか、撮影許可証をどうやって模造するか(笑)。基本的にゲリラスタイルの映画作りを教えます。自分の力でどう切り開いていくか。何よりも生き方ですね。

OIT:それは素晴らしい!例えば、僕のようなものでも応募はできるわけですね?
WH:もちろん応募はできるけれど、もちろん選考を通らないとね。全くの素人を入れられないので。ある程度の映画の経験がなければいけない。そして撮った映画に何か特別なものを感じなければいけない。何かしら火花のようなものが。何か珍しいもの、何か知的なもの、何か深い映画的な理解があれば、その時はあなたも招待するでしょう。

OIT:実際にどんなことをやるのでしょう。
WH:できるだけ整理された答えを与えたいとは思います。何百人という人が私に学びたいとやってくるわけです。ある時、300人収容のホールでプレゼンテーションを行った時には11分で完売しました。私の講義を聞き、何かしら学びとりたいという若者たちがそれだけいるのです。だから何かを後人に伝えたいとは思いますが、それをできるだけ整理された状態で伝えたいと思っています。

OIT:最後にもう一つだけお願いします。日記的に映画を撮る作家もいますが、あなたはそれについてどう思いますか?例えば、ジョナス・メカスのような人もいますが。
WH:私はそこに興味はありません。それはよりプライベートな瞬間を求めてのことだと思うので。うん、私には興味がないですね。私が挑むのようなプロジェクトは、小さな日常の出来事よりも意味のあるものだと思います。私にとって、映画は日記よりもずっと意味のあることです。でもある意味、振り返って見た時に、もう50年以上映画を撮り続けてきたわけですが、自分が砂浜に残してきた足跡(フットプリント)を提示しているのだとは思います。その全てが同じ人間のものです。同じ生涯に属するもの。でもそれは日記ではなく、全く別のものです。それが他の何なのかはむずかしくて説明できませんがね(笑)。


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