OUTSIDE IN TOKYO
MIYAKE SHO INTERVIEW

三宅唱『Playback』インタヴュー

6. 編集で、一番重要だったのは時間の感覚

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OIT:フラッシュバックの一つのやり方で、その時代に行ったと思うんですけど、それと不在の部分の表現ですよね、そこは映画的なチャレンジだったという気がしたんですけど、それも脚本の段階である程度決めていた?
三宅唱:脚本通りですね。編集上でカットしたシーンはありますが、構成の入れ替えなどの変更はないです。

OIT:編集したら初めて自分の中で見えたということではなかったわけですね。
三宅唱:8ヶ月編集しましたが、一番重要だったのは時間の感覚です。お客さんがこの映画の時間のなかで、どういう感情の流れになるんだろうな、ということを知りたかったので、延々と観続けていました。

OIT:二回同じ繰り返しというか、同じじゃないんだけど、繰り返しがありますよね、ディテールの違いは脚本にある程度書かれていた?
三宅唱:いえ、衣裳の違いくらいだったと思います。

OIT:菅田さんが村上淳さんを呼んで、また映画やろうみたいな話をする、あそこは説明の仕方が、一回目と二回目で違いますよね?
三宅唱:脚本の段階で少しだけ変えています。

OIT:あれだけの長さを繰り返すっていうのは結構大胆だなと。
三宅唱:まあ、こういう映画があってもいいし、あるべきだろう、とは思っています。普段は決して大胆には生きてないんですが……。

OIT:そこが現段階の三宅さんらしさなのかなとも思ったんですよね。
三宅唱:いつもは臆病なんですけどね。映画に関しては、この方が面白いって思えば、何の障害もなく自由にやりたいとは思っています。



OIT:菅田さんと渡辺真起子さん、このお二人は村上淳さん以上に大ベテランですね。
三宅唱:菅田俊さんのあの大きな存在と声がこの映画の柱になっていると思います。この映画は、菅田さんが登場して、いつ去るのかという、菅田さんから見た物語でもあるし。日本映画の歴史を背負った俳優さんが入ってくれたのはこの映画にとって有意義だったし、よく一緒にやっていただけたな、と感謝しています。

OIT:ただ、キャラクターとしては、いっつもああいうこと言ってるけど、なかなかあの人の話実現しないんだよなみたいな、そういう人でしたよね。
三宅唱:そうですね。地に足がついている分、ある種そういう役に立たないような、だめな部分を広げていってもそれが魅力になりますよね。痛快な人物像にしていただけたと思っています。

OIT:“good for nothing”(=役立たず)への根本的な信頼が三宅さんの中にある?役立たず的な人物というか。
三宅唱:人というより、そういう関係性としてですかね。気付かないうちにやくにたってしまっているような関係性とか。

OIT:渡辺(真起子)さんはどうでしたか?重要な役割ですね。
三宅唱:ええ、男としては演出するのが恥ずかしい役どころです。なので事前に、これはいわゆる”男の子映画”で、つまりマザコン映画だから、と伝えました。わかってるわよ、みたいな爆笑をされましたが。唯一、渡辺さんだけ繰り返さない、一回ずつしか出て来ない人物なので、なるべくカットを割らずに長くまわしています。彼女が生きている一回の時間を壊さないようにしようということですが、そうすることで、何度も同じ時間を生きているようにみえるほかの人物の存在感も立つと思いました。


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