OUTSIDE IN TOKYO
TETSUYA MARIKO INTERVIEW

真利子哲也『NINIFUNI』インタヴュー

6. 『NINIFUNI』というタイトルについて

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OIT:今回の企画のその他の二作品は大分違う感じの映画ですね、三つとも違うと思うんですけど、こういう形で公開されることについてはどうでしょうか?
西ヶ谷:オムニバスみたいな上映形態になったんですが、通して三本観ると、それぞれ信じてるものが全然違うなっていう。
OIT:そうですね、それぞれが全く違うタイプの三者でした。
西ヶ谷:まず、それぞれの監督たちを取り囲んでいる環境が違うんだと思いました。年齢も若干違いますけど、それぞれが作品の向こう側で相手にしている人の数が違う。真利子監督は、完全なインディペンデント。
OIT:観る方も色々な方が観るということだと思うので、どういう反応なのか楽しみですよね。
西ヶ谷:映画ってどっかでやっぱり観る時に、始まって数分で自分をその世界にチューニングするじゃないですか、お客さんは。だからある意味結構疲れると思うんですよね。

OIT:ところで、『NINIFUNI』というタイトルについて差し支えない程度に、話して頂けますか?
真利子:一番最初の脚本の時点でタイトルを決めようという時に、まず自分がアイドルグループっていうものをどう規定しようかと思って、アイドルと言えば“偶像”で、偶像って考えた時に、その流れで仏像っていうものが浮かんで、仏教をちょっと調べてたんですよ。仏教を調べててその中で深いとこまではいってないですけど、“空(くう)”とか“而二不二”っていう言葉、

OIT:漢字の而二不二?
真利子:はい。が、今回の作品の一つのテーマになるかなと思って、自分がそのイメージしたショットっていうのを説明するとそういう事と繋がるのかなと思ったんですが、あまりに直接的過ぎるとも思ったので、とりあえずはその言葉を念頭におきながら、仏教から記号論に移ったんですよ、自分の思考が。だからとりあえずの形で『NINIFUNI』っていうのを仮のタイトルにして進めてました。それとその時に「而二不二」(伊藤桂司)という画集を見たんですね、その絵も宗教的な絵ですごく色が強い絵なんですけど、それは今回のPVのセットの参考にしました。美術の人には、その時はまだPVってどういう風に撮りましょうかって段階だったんで、そういう得体の知れないものがあってもいいんじゃないかという形で。

OIT:ああ、それは、その話を聞くと非常に納得、色々ストンと腑に落ちますね。
真利子:ただそのタイトルを変えようとしたんですよ。タイトルが変な意味付けをしてしまうと思ったので。『NINIFUNI』っていう意味を調べてしまうと、これはそういう風な作品なんだって思われてしまうなって、何度か違うタイトルを付けようとしたんですけど、結局、新しく出した案は一蹴されて、『NINIFUNI』で落ち着いたっていう感じです。

OIT:観た後に色々調べてそういうのが出てきたら、ストンと落ちるっていうぐらいの感じなんで、ちょうどいいかもしれないですね。
真利子:自分でも分らないんですよ。辞書で調べて言葉通りにこの映画はこういう意味だみたいなことで思われてしまうのは、ちょっと違うなって思ったりして、難しいところですけど。

OIT:なるほど。最後に、震災の3月11日って、これみんな聞くと思うんですけど、どこにいらっしゃいましたか?
真利子:東京に、ファミレスで脚本書いてたんですよ。家の近くで、その直後はそこまで大きく思わなかったというか、お客さんがいなかったんで、大騒ぎにならずに普通に過ごしてました、普通に過ごすっていう言い方もあれですけど。

OIT:その後色々テレビとかで?
真利子:そうなんですよ。親がテレビで見てて怖がっていたんです。自分は見てなかったんで、大分温度差があったんです、テレビ見てる人と見てない自分と。


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