OUTSIDE IN TOKYO
KUROSAWA KIYOSHI INTERVIEW

小森はるか『息の跡』インタヴュー

4. 120分の”山形版”と93分の”最終版”

1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6



OIT:それは面白いですね。あのご神木のところとかは、まさにそういう感じなんですね。
小森はるか:そうですね、そこも何回も見に行かれてたし、わざわざこの日に測る必要はなかったと思うんですけど。私が来る日に合わせて待ってくれてたんだなと後から思うこともありました。

OIT:撮影用にこれはとっとこうみたいな。
小森はるか:くらいに思ってくれた部分もあると思います。

OIT:途中からは、共作者になっていったということですね。
小森はるか:そう私は捉えたいですね。

OIT:映画の尺は90分位に仕上がっていますが、撮影と編集はどのような関係でやっていったのでしょうか?
小森はるか:撮影はずっと続けていたんですけど、せんだいメディアテークの「3がつ11にちをわすれないためにセンター」に参加していたので、その上映会で2回程、発表するために編集をしました。その後、大学院の修了制作のためにもう一度編集し直しました。

OIT:大学院にはまだ在籍していたんですね、いながらにして東北に住んでいた。
小森はるか:はい、2年休学して2015年に大学院を出ました。その修了制作では、佐藤さんの他にもうお一人撮らせてもらっていた方がいたので、一緒に編集して発表しようと思っていたんですけど、最後の最後に佐藤さんだけにして提出したんです。その時点ではまだ撮影を続けていたので、完成という気持ちではなかったです。その後、山形国際ドキュメンタリー映画祭に出す時にもう1回編集し直して、新たに撮影した素材を追加しました。という感じでちょっとずつ手を加えていました。

OIT:資料で拝読しましたが、山形上映版と最終版では編集が大分変わってるんですよね。
小森はるか:そうですね、山形までは一人で編集をしていて、劇場公開の話が本格的になってから、秦岳志さんという編集の方が再編集に携わってくれました。そこからはじめて映画にすることを意識して取り組みました。最初の編集版は120分くらいあったと思います。ちょっとずつ自分でも短くしようとはしていたんですけど、どういう作品にしたいのかが曖昧でした。私は凄く感覚的に編集しちゃうので、映画としての骨組みを、秦さんがわたしの話を聞きながら、素材を見返しながら、考えて組み立ててくれました。

OIT:じゃあ時間の流れはリニアではなかったりします?
小森はるか:完全には時系列じゃないです。最初の編集版では時系列でした。完成したものも時間の流れに沿っていますが、構成を考えた上で前後する場面もいくつかあります。

OIT:非常にいい仕上がりですよね、感情の流れが伝わってきますし。『息の跡』は、今年(2016年に)観たドキュメンタリー映画の中でも一番素晴らしいと思っています。
小森はるか:ありがとうございます、嬉しいです。



←前ページ    1  |  2  |  3  |  4  |  5  |  6    次ページ→