OUTSIDE IN TOKYO
TAKESHI KOIKE & KATSUHITO ISHII INTERVIEW

小池健&石井克人『REDLINE』インタヴュー

4. 自分達しか表現できない方法で作って、色んな作品が増えていくといいんじゃないかな

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OIT:蒼井さんの歓声、オーとかギャーとか、ああいうのは別の方のものですか?
石井:いや、本人です。
小池:初めにやって声がつぶれるとまずいんで、それは後に回してっていう形で。
石井:一番最後の最後に撮ったんです、声がつぶれちゃうとまずいんで。

OIT:別の人がやってるのかと。違うんですね。
石井:ものすごい役作りしてきてるんですよ。木村さんにしても。蒼井さんにしても、そこでセリフを言ってるんだけどよく分らないっていうか、本当に彼女が言ってるのかなみたいな感じで。
小池:一番キャラクターにあった人にやってほしかったっていうのがあるので、そのイメージにピッタシ合った人達にお願いできたっていうのはすごく良かったと思います。
石井:これだけ長くやってるからね、そういうしがらみ関係なくやってほしいなっていう思いがちゃんと通じて良かったです、本当に。

OIT:小池監督は『REDLINE』に4年間を費やされて、その間、他のプロジェクトは?
小池:何もやってないですね。やってないっていうか、これしか出来ないっていう感じですね。

OIT:やっぱり大きなメインのプロジェクトがあると集中するっていう。
小池:そうですね。基本的に一本集中して作り上げるまでは何もやらないです。

OIT:それはアニメーションの世界ではあたり前ですか?
小池:あたり前の人もいるし平行でやる人もいます。特にメインの監督レベルの人達の場合は。僕らはずっと作品の拘束で会社で保証してもらって作業できるんで、あとはメインの何人かを拘束で押さえさせてもらって最後までつきあってもらうっていう交渉をしてますね。フリーの方達はオーバーラップしたりするんですけど。僕自身は7年間これしかやってないですね。

OIT:アニメーターの方達のクレジットとか見ると日本人と韓国の方が多いですね。
小池:原画を描かれるのは大体日本の方で、動画の作業を韓国の方にやってもらうのが主流なんですよ。

OIT:今の日本のアニメーションを、どういう風にご覧になっていますか?
小池:割と子供向けじゃないと一般の方に観て頂けないっていう状況もあるんで、ちょっと違う切り口のもので刺激を与えられたらいいなって思ってはいます。

OIT:アメリカのグラフィックノベルの影響がありますね?
小池:そうですね、アメコミは好きで石井さんとよく話すんですけど、自分で映像を作る時はアメコミっぽいテイストに近くなるようなものにしようとして、影をキャラクターも背景もブラックを使ってまとめるっていうのが僕の好きなスタイルなので、それを基本にしてます。それは他のアニメーションていうか日本のアニメーションでもやってないことなんで、個性も出るし、それは初めに方向性として決めてやってますね。

OIT:フランク・ミラーとか?
小池:そうですね。フランク・ミラーさんとかマイク・ミニョーラっていう作家さんとかすごく好きで参考にしてます。

OIT:全然表現が違うんだと思いますけど、3Dについてはどう思っていますか?
小池:3D好きなんですよね、『アバター』とか大好きで、めちゃくちゃはまって何回も観に行ったりしてるんですけど。自分で表現する時はまだ手描きの方が自分の表現したいビジュアルに近づけるっていうか、デフォルメとかパーツの機器とかそういう歪みを誇張して表現するには手描きが一番適してるなっていう風に思っていて、自分的には手描きが多いってことですね。CG自体は好きなんですけど3Dに限らず。

OIT:観ること自体は好きなんですね?
小池:そうですね。よく出来ているものがあるのなら別に自分がやる必要がないじゃないですか。だったら自分達しか表現できない方法で作って、色んな作品が増えていくといいんじゃないかなと思いますね。例えば、この映画で象徴されるのはちょうどこのシーン(チラシビジュアルを指差して)、加速装置を使ってグニューって伸びるような感じっていうのがデフォルメであって歪みであって、重力に逆らった感じになるっていう表現方法ですね。他のシーンはあんまり歪みとか使わないで強調して使うことでよりデフォルメが効いてくると思っています。

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