OUTSIDE IN TOKYO
TAKESHI KOIKE & KATSUHITO ISHII INTERVIEW

小池健&石井克人『REDLINE』インタヴュー

2. 二人とも、アニメーターの金田伊功(かなだ よしのり)さんに影響を受けた

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OIT:今まで何度も仕事をしている中で信頼関係があったと。
小池:そうですね、僕が作ってる間、(石井さんは)2本くらい映画撮ってますから。

OIT:そうですよね。石井監督は実写のイメージが今まで強かったんですけど、もともとアニメーションがお好きなんですね?
石井:子供の頃は本当にアニメばっかりでしたね。本当に小さい時からアニメが好きで絵を描くのが好きだったんですけど、マンガ禁止みたいな家だったので、多分だからこそ好きになった。『アストロ球団』とか見たら、すげぇなーみたいな感じで、それはもう本当に土下座して買ってもらったんですけどね。お願いだから買ってくれと。

OIT:アニメよりも最初はマンガでしたか?
石井:最初はマンガで、あの中島(徳博)さんのタッチがすごく好きで『アストロ球団』とか『ワイルド7』(望月三起也)とか、ああいうゴリゴリの、墨ベタみたいな感じの、やたら描き込んであるみたいな。特に股間の描き込みがいいんですよ、シワになってて(笑)なんだ、あのシワは!みたいな。スケッチブックに『アストロ球団』の宇野球一ばかり描いてて、さすがに親が折れて、じゃあ買ってやるかみたいな。ずっと想像で描いてたんですよ、宇野球一を。で、1冊買ってもらってから、それを見ながら描くようになって、それからものすごく絵を描くのが好きになった。そこからまあ僕はアニメがやっぱり見やすいから好きになった。そしたらその中で不思議な絵を描く人がいるなみたいなのがあって、ちょっと特別な人がいるぞみたいな感じで、それを調べたら金田(伊功/かなだ よしのり)さんだったんですよね。
小池:同じアニメーションの中でちょっと特殊なシーンを作るアニメーターさんで僕も共通してそのシーンを見て刺激を受けたんです。当時は分かんなかったんですけど、アニメーターっていう職業が取りざたされて金田さんっていう人がいるんだっていうのが分って僕はそれがきっかけでこの業界に入ろうと思ったんですよね。

OIT:アニメーションに関しては共通の影響を受けているということですが、映画に関してはいかがですか?
小池:実写は結構違いますけどね。僕はカンフー物とかジャッキー・チェンとかブルース・リーとかが好きでしたね。

OIT:じゃ、今年のTIFF(東京国際映画祭)でやりますね。
石井・小池:ああ、そうなんですか。

OIT:石井さんの方は?
石井:僕は実写は松田優作さん一本でした。松田優作さんのLP全部揃えて、途中まではアニメがすごく好きで、何かで松田優作さんの演技を見てこの人は素晴らしいと思って、そこからアニメじゃなくて松田優作さんへ行った。たまに金田さんが何かやってれば金田さんだけはチェックしてみたいな感じで。

OIT:日本映画をよく観てきたという感じではない?
石井:ではないですね。松田優作さんとか角川映画が好きで薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』を7回くらい観たりとか。

OIT:『REDLINE』は、基本的にはスカッとするジェットコースタームービーだと思うのですが、脇役のキャラクターがすごく変で面白かったんです。個人的には、勝手に石井輝男の映画を連想したりして、そういう妖しい雰囲気が漂ってるなあと。無国籍なアニメーションを志向しつつも、日本映画の妖しい部分が入っていて面白いなと思ったんですが、サブキャラクターは石井さんではなくて?
小池:サブのサブは僕ですね、タバコ屋の婆さんとか。あれはなんか僕が旅行に行った時の経験というか、海外に行って言葉が通じないからすごく邪険にされるんですよね。あの鬱陶しがられる感じを、ああいうシーンで表現できればいいかなと思って作ったんです。あとは『スターウォーズ』とか好きだったんで、色んな異星人達が混在してるような世界観が普通にあるという。

OIT:お茶の間のシーンは笑いました。
小池:当初は色んな映像入れたいっていうのがあって。
石井:色んなトーンのものが一杯出て、小さい銀河系の話だし宇宙の話だから、その星々のトーンが変わって面白いかなと。
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