OUTSIDE IN TOKYO
EMMANUELLE DEVOS & MARTIN PROVOST INTERVIEW

エマニュエル・デゥヴォス&マルタン・プロヴォ
『ヴィオレット ある作家の肖像』インタヴュー

2. 役を演じる上で共通点を見つける必要はないと思っています。ただ、理解をすれば充分です。

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OIT:今回、ヴィオレットの小説を読まれて、お好きでしたか?
エマニュエル・デゥヴォス:全部が好きというわけでありませんね。「私生児」も面白かったですけれども、わたしが一番好きだったのは「宝拾い」という作品です。南仏でハイキングをする話を書いている作品で、どちらかいうと小品で、あまり知られていない作品ですが、わたしは、とても美しいと思います。
OIT:先程、デゥヴォスさんは、ヴィオレットと似ていると思えるところがないと仰ったのですが、ヴィオレットを演じるにあたって、内面的にご自分と共通する部分を見つけるというプロセスは必要だったでしょうか?
エマニュエル・デゥヴォス:役を演じる上で共通点を見つける必要はないと思っています。ただ、理解をすれば充分です。
OIT:デゥヴォスさんの場合、この作品に限らず、役を選ぶ基準というものは、どのようなものですか?
エマニュエル・デゥヴォス:脚本を読んで、気に入って、何かわたしに語りかけてくるようなものがある作品を選んでいますね。あとは、今までやったことがないような役を選ぶようにしています。
OIT:この作品の撮影自体は、楽しめましたか?
エマニュエル・デゥヴォス:とても良い撮影現場でした。とても寒かったり、この“鼻”をつけなければならなかったので、大変なところもありましたけれど。もの凄くエネルギーを必要とする役でしたから、どの撮影シーンにも、とても濃密な時間が流れていて、クルーのみなさんもとても素晴らしくて、とても良い撮影でした。マルタンは、とにかく、たくさんのエネルギーを与えてくれました。本当にエネルギーが必要な現場でしたから。
OIT:この作品には、ダルデンヌ兄弟作品の常連であるオリヴェエ・グルメが出演されていますが、共演は楽しみましたか?
エマニュエル・デゥヴォス:彼との共演は凄く嬉しかったです。(香水の会社を営む)彼のオフィスでのシーンがありますよね、あそこでのシーンは特に好きですね。オリヴェエとは今までも何度かすれ違ってはいるのですが、本格的な共演というのはしたことがなくて、今回、それが叶ってとても嬉しかったんです。オリヴィエは本当に素晴らしい俳優です。
OIT:ボーヴォワールを演じたサンドラール・キベルランを、この役に推薦されたのはデゥヴォスさんだったと聞いています。最初、配役の情報を見て、キベルランさんにコメディ寄りの印象を持っていたので、少し意外に思ったのですが、映画を拝見するととても上手くいっているようにみえました。デゥヴォスさんとしては、初めからそのような直観を持っていたのでしょうか?
エマニュエル・デゥヴォス:そうですね、決して彼女は軽い役ばかりをやってきたわけではないんです。ある時一緒に撮影をしていて、彼女をふと見た瞬間に、パリの高級住宅街といわれる16区とか、サンジェルマン・デ・プレ界隈に住んでいるインテレクチュアルのイメージがパッと湧いたんです。彼女自身、リュクサンブール公園の近くに住んでいて、存在感、威厳を備えた女性ですから、ボーヴォワールのような知的な役はぴったりだと感じたんです。


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