『歴史は女で作られる』デジタル・リマスター完全復元版



マックス・オフュルスの"呪われた映画"『歴史は女で作られる』のデジタル・リマスター完全復元版が、3週間限定でロードショー公開される。この作品が如何に"呪われた"のかについては、公式サイトの秦早穂子さんの美しい文章を、そして、気の遠くなるような復元作業の詳細については、kinomaniaさんの以下のサイトを参照して頂くのが良いかと思う。

「ローラ・モンテスの運命」秦早穂子(公式サイト)
http://www.eiganokuni.com/meisaku4-rekishi/movie.html

マックス・オフュルスの『歴史は女で作られる』デジタル・リマスター完全復元版 - kinomania
http://d.hatena.ne.jp/kinokos/20100217/p1

ジャン・コクトー、ジャック・ベッケル、オフュルスらと共に、幾多のフランス名作映画の美術を手掛け、ゴダールが1957年度ベスト1に選んだ、ニコラス・レイの『苦い勝利』の美術をこの後すぐに手掛けることになる、ジャン・ドーボンヌの絢爛豪華なプロダクション・デザイン、19世紀に実在し数奇な生涯を送った妖婦ローラ・モンテスを演じ、自身も波乱に満ちた人生を歩んだ主演女優マルティーヌ・キャロル、奇しくもそのマルティーヌ・キャロルと同年に世を去り、『赤い靴』のデジタル・リマスター版で大スクリーンに甦ったばかりのアントン・ウォルブルックといった数奇な符号に満ちた映画史の豊穣に触れる喜びに浸かりながらも、2000年に山田宏一氏が「何が映画を走らせるのか?」(草思社)の最後の最後で(元原稿は月刊「草思」2000年5月号に掲載)『歴史は女で作られる』で描かれたローラ・モンテスの哀しい最期を参照しながら、「情熱につきものの不合理性があられもなく映画を輝かせていた時代も終わったということなのかもしれない」とメランコリックに記したことにも思いを馳せながら、煌めくスクリーンに向き合いたいと思う。
上原輝樹
2011.12.9 update




『歴史は女で作られる』デジタル・リマスター完全復元版
公式HP:http://www.eiganokuni.com/meisaku4-rekishi/
2011年12月23日(金)~1月13日(金) 3週間限定ロードショー
会場:渋谷シアター・イメージフォーラム
上映:11:00/13:30/16:00/18:30
※12/31(土)の最終回と1/1(祝)の初回は上映はありません。
料金:一般 1,500円/学生 1,200円/小中高・シニア・会員 1,000円

19世紀に実在した美貌の踊り子、ローラ・モンテスの恋の遍歴を華麗な映像美と斬新な語り口で描いた世紀の大作。完全復元を果たしたデジタル・リマスター版による日本初のロードショー公開。

監督:マックス・オフュルス
製作:アルベール・キャラコ
原作:セシル・サン=ローラン
脚色:マックス・オフュルス、アネット・ワドマン
音楽:ジョルジュ・オーリック
音楽監督:ジャック・メテエン
撮影:クリスチャン・マトラ
編集:マドレーヌ・ギュ
美術/プロダクションデザイン:ジャン・ドーボンヌ
装置:ロベール・クリスティド
マルティーヌ・キャロルの衣裳:マルセル・エスコフィエ
衣裳:ジョルジュ・アンネンコフ
出演:マルティーヌ・キャロル、ピーター・ユスチノフ、アントン・ウォルブルック
1956〜2009年/フランス/110分/カラー/シネマスコープ
配給:紀伊國屋書店、マーメイドフィルム


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