(上原輝樹) |
2017.3.3 update |
永遠のオリヴェイラ マノエル・ド・オリヴェイラ監督追悼特集 PART1 2015.12.17 update 『フランシスカ』日本語字幕版劇場初上映
オリヴェイラ・シンポジウム~オリヴェイラの随伴者ヴァレリー・ロワズルーを迎えて 2016.7.8 update |
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『ドウロ河』(Douro, Faina Fluvial) 1931年/21分/モノクロ 監督:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アントニオ・メンデス 22歳のオリヴェイラによる初監督作品。オリヴェイラ作品にたびたび登場する、ポルトを流れるドウロ川の一日。様々なものが行き交う河岸の市場で働く男たち、女たち、二階建て構造のドン・ルイス一世橋を走る車、漁に向かう帆船、川沿いに広がるポルトの町、機関車、自動車、牛車、飛行機...。オリヴェイラの親友であり、詩人・作家のジョゼ・レジオは、本作について「・・映画監督が芸術家(他のいかなる分野のもっとも誠実な芸術家にも劣らぬ芸術家)であることを実際に証明する、その詩的輝きと人間的感動を達成した...」と絶賛した。 |
『アニキ・ボボ』(Aniki Bóbó) 1942年/71分/モノクロ/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アントニオ・メンデス 出演:ナシメント・フェルナンデス、フェルナンダ・マトス、オラシオ・シルヴァ オリヴェイラの長篇デビュー作。陽光降り注ぐポルトの街を舞台に、躍動するアナーキーな少年少女たちを縦横無尽に活写してネオレアリズモの先駆的作品と見なされる。「アニキ・ボボ」とは警官・泥棒という遊びの名前。幼い恋の冒険を「罪悪」と「友愛」の寓意へ変貌させる演出のスケール感はすでにして巨大。 |
『春の劇』(Acto de Primavera) 1963年/91分/カラー/35ミリ 監督・脚本・撮影:マノエル・ド・オリヴェイラ 出演:ニコラウ・ヌネス・ダ・シルヴァ、エルメリンダ・ピレシュ、マリア・マダレーナ 16世紀に書かれたテキストに基づいて山村クラリェで上演されるキリスト受難劇の記録。自ら「作品歴のターニングポイント」と述べる本作でオリヴェイラが発見したのは、「上演の映画」という極めて豊かな鉱脈だった。一見して不自然な「虚構」のドキュメントだけが喚起する謎と緊張。前人未踏の「映画を超えた映画」の始まり。 |
『過去と現在 昔の恋、今の恋』(O Passado e o Presente) 1972年/115分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:アカシオ・ド・アルメイダ 出演:マリア・ド・サイセット、マヌエラ・ド・フレイタス、ペドロ・ピニェイロ 長篇劇映画第三作。ヴィンセンテ・サンチェスの戯曲「過去と現在」を、監督が自ら映画用に翻案。『フランシスカ』に至る「挫折した愛の四部作」の第一部にあたる。現在の夫に心を開かず、事故死した最初の夫への想いを募らせる妻ヴァンダを中心に、過去と現在、死者と生者の間を交差する奇妙な愛が描かれる。 |
『フランシスカ』(Francisca) 1981年/166分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 出演:テレサ・メネデス、ディオゴ・ドーリア、マリオ・バローゾ 1850年代のポルト。小説家カミーロ・カステロ・ブランコと友人のジョゼ・アウグスト、そして「フランシスカ」と呼ばれる英国人の娘ファニー・オーウェン、実際にあった3人の恋の物語をもとに、アグスティナ・ベッサ=ルイスが書いた小説「ファニー・オーウェン」の映画化作品。二人の男に愛されたフランシスカはジョゼを選ぶが、3人の関係は悲劇的な結末を迎える。 |
『カニバイシュ』(Os Canibais) 1988年/91分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ 出演:ルイス・ミゲル・シントラ、レオノール・シルヴェイラ、ディオゴ・ドーリア 『過去と現在』から音楽を担当してきたジョアン・パエスとともに作られたオペラ・ブッファ映画。厳かに進行する貴族たちの晩餐会は、やがて、タイトルが予告する驚愕の食人場面へ。人間と動物、人間と機械、見せかけと本質...ヴァイオリンの調べに乗ってあらゆる境界が軽々と侵される。 |
『ノン、あるいは支配の空しい栄光』(Non, ou a Vã Gloria de Mandar) 1990年/110分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:エルソ・ロケ 出演:ルイス・ミゲル・シントラ、ディオゴ・ドーリア、ミゲル・ギリェルメ 1974年、独立戦争が長期化していたアフリカのポルトガル植民地で、疲弊した兵士たちは戦争の意味と自国の歴史を振り返る。カモンイスの叙事詩「ウズ・ルジアダス」、アントニオ・ヴェイラ神父、フェルナンド・ペソア、ジョゼ・レジオなどの文学作品に想を得て、ローマ時代から20世紀まで、ポルトガル民族の2000年にわたる歴史の中の四つの敗北の物語を描く、オリヴェイラによる壮大な歴史・戦争映画。 |
『神曲』(A Divina Comédia) 1991年/141分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:イワン・コゼルカ 出演:マリア・ド・メデイロス、ミゲル・ギリェルメ、ルイス・ミゲル・シントラ 「精神を病める人々」の表札が掲げられた邸宅で、アダムとイブ、キリスト、ラスコリーニコフ、ニーチェのアンチ・キリストら、歴史的文学作品の登場人物たちが、信仰と理性と愛についての議論を戦わせる。西洋古典の深奥に分け入りながらも「まったく未知なものとして、絶対的な驚き」とともに再び映像として蘇らせるオリヴェイラ芸術の真骨頂。 |
『アブラハム渓谷』(Vale Abraão) 1993年/188分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 原作:アグスティナ・ベッサ=ルイス 撮影:マリオ・バローゾ 出演:レオノール・シルヴェイラ、セシル・サンス・ド・アルバ、ルイス・ミゲル・シントラ フロベール「ボヴァリー夫人」をもとにポルトガル文学の巨匠アグスティナ・ベッサ=ルイスが原作を執筆。彫琢された言葉の響きとオリヴェイラの完璧な映像が火花を散らす"文芸映画"の最高峰。監督が追求し続ける女性美が、主人公エマを演じるレオノール・シルヴェイラと洗濯女を演じるイザベル・ルトの両極に具現する。 フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター |
『階段通りの人々』(A Caixa) 1994年/96分/カラー/35ミリ 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ 出演:ルイス・ミゲル・シントラ、ベアトリス・バタルダ、フィリペ・コショフェル リスボンの街路を舞台にした群像劇。「すべての私の映画同様、『階段通りの人々』は人生から沸きだした特別な何かだ。それは貧しくて周縁にいる、ほとんど忘れられた人々の目を通した真の人間性のポートレイトだ。これは、1920年代の映画、初期映画への回帰を示す映画なのだ」。 フィルム提供:東京国立近代美術館フィルムセンター |
『永遠の語らい』(Um Filme Falado) 2003年/95分/カラー 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:マリオ・バローゾ 出演:レオノール・シルヴェイラ、フィリッパ・ド・アルメイダ、ジョン・マルコヴィッチ 9.11の事件をきっかけにして、西洋文明をテーマに雄大な地中海文明を辿る母と娘の旅。"観客の理性をも刺激する映画でありたい"という監督の信念によって描かれた美しい映像美と流麗な音楽、そして会話から生まれた問題作。オリヴェイラの人生観が、ギリシャやエジプトなどの歴史的観光地の美しい映像を通して語られる。名優たちによる競演も見もの。 |
『レステロの老人』(O Velho do Restelo) 2014年/19分/カラー/DCP 監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ 撮影:レナート・ベルタ 出演:ルイス・ミゲル・シントラ、リカルド・トレパ、ディオゴ・ドーリア ポルトガルの大航海時代を詠った国民詩人カモンイス、「ドン・キホーテ」の作者セルヴァンテス、『破滅の愛』の原作者である19世紀ポルトガル・ロマン派の小説家カステロ・ブランコ、20世紀初頭の詩人パスコアイス。4人の文学者がポルトガルの過去と未来について語り合う。タイトルである"レステロの老人"は、大航海時代の栄光に異を唱える人物として、カモンイスの詩『ウズ・ルジアダス』の中に登場する。 |
特別上映『ヴァレリー・ロワズルーによるオリヴェイラ・オマージュ映像』 1991年の『神曲』以降、『アブラハム渓谷』や『クレーヴの奥方』等々、ほとんどすべてのオリヴェイラ作品の編集を手掛けてきたヴァレリー・ロワズルーが、ポルトガルの依頼を受けて、オリヴェイラ作品の様々な場面の映像を編集してつくった11分のオマージュ映像。 |
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マノエル・ド・オリヴェイラ フィルモグラフィー |
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