OUTSIDE IN TOKYO
TALK SHOW

メルヴィル・プポー トークショー

4. こんなに会場が埋まっていて感動しています。
 ラウル・ルイス監督もこれを観ていたら、とても感動して凄く誇りに思ってくれると思います

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SA:メルヴィル・プポーさんが子供の頃から作ってきた作品は、やはり6月30日土曜日に日仏学院で上映いたします。凄く可愛いメルヴィルさんが一人二役をやり ながら、確かイーストウッドの『恐怖のメロディ』(71)のリメイクを一人でやって、凄く可愛いし、なかなか面白い、その作品から今までに至る作品を上映しますので、是非、皆さんも観て頂ければと思います。他にご質問は?
観客B:長年の役者というキャリアを積んできて、突き抜けた瞬間っていうのはいつだったっていうのはありますか?
MP:僕自身は役者の為に生まれてきたってあんまり思ってないんですね。子供の頃にラウル・ルイス監督に見いだされて彼の夢の中に一緒に連れ込まれたっていう、 そういう風な身分でしたから。だから自分が役者だっていう自分の役割っていうのを自分で本当にこれが正しいっていう風に自己主張できるっていうのにちょっと時間がかかりました。確かに僕のフィルモグラフィーの中では何作かはそういう風に一皮剥けさせてもらった映画っていうのがありますし、それは人間としても一皮剥けたっていう作品は何作かあります。例えば、先ほどこちらでも上映されましたけど、エリック・ロメール監督の『夏物語』(96)は、ティーンエイジャーから20歳の青年になるそのプロセスっていうものをローメル監督の映画で体験した、そんな感じでした。そしてフランソワ・オゾン監督の『ぼくを葬る <おくる> 』(05)、あの時は僕は30歳でしたね。30歳で僕はあの映画の最後で死ぬわけですけど、何かあの作品が終わった時に、また僕は新しく生まれ変わるんだっていう印象を持った記憶があります。つい最近の作品ですけれども、グザヴィエ・ドラン監督の『Laurence Anyways』これは僕が40歳の時に撮った作品で、僕自身は女装をするんですね。女性の役もしていますから、撮影が終わって自分が男に戻れてちょっとほっとしたところもあります。幸いなことに僕の人生の節々で、大切なタイミングで素晴らしい監督に出会って、素晴らしい作品が出来たので、そういう風に僕のフィルモグラフィーと僕の人生っていうのが上手く呼応しているかなと思いますね。ミュータントみたいな、そんな気がします、どんどん変わっていくような。
SA:『Laurence Anyways』は本当に素晴らしい作品で、最近私も拝見して本当に感動したんですけれども、アップリンクさんで配給が決まりまして、来年公開予定ということで、大変すばらしいことだと思います。メルヴィル・プポーさんのこれまでの彼の演技っていうものの良さっていうのが、受けの演技というか、何かを証言するというか、自分の周りの物を見ながらそこにいる存在というか、そういう内に秘めた演技というのが素晴らしい形で結実している映画で、もう本当にメルヴィルさん良くやった!っていう、是非、皆さんに観て頂きたいです。やはり今のご質問にもあったように、このメルヴィル・プポーさんがあるのは演技されてきた関わってきた映画全てがこのメルヴィルさんを作ってきたっていうこと、そのメルヴィルさんは凄く自分で証言したいっていうのがこの最近書かれた本「僕の名前はなんだろう」というこの本。やはり俳優による映画史、人生の在り方っていうのがあるっていうのをメルヴィルさんは体現してくださっているという風に思います。それはまさに希有なことで、そういうメルヴィル・プポーさんのような俳優さんにこうやって来て頂いたことを本当に今日貴重なことだったなと思います。 ということで、まだメルヴィル・プポーさんの特集は終わりではございません。第一期目がこれで終わりまして、第二期目6月29日から東京日仏学院でまた始まります。日本語字幕がついていない作品が多いのですけれども、この機会にしか観られない映画もたくさんあります。是非この機会にメルヴィル・プポーさんを堪能して頂ければと思います。メルヴィル・プポーさん、何かこの映画は絶対観てほしい作品はありますか?
MP:そうですね、ルイス監督の映画が日本で公開されるのって凄く珍しいことですから、坂本さんのおかげでそれが実現するわけですから、ルイス監督作品はおすすめですね。随分昔に観たきりっていう映画もありますね。『ファドの調べ』(93)これなんかも昔観たきりですね。それから『夢の中の愛の闘い』(00) も。かなり数学理論の実践みたいな感じ。脚本自体が数学の方程式、公式みたいな、その理論を映画化したみたいな作品が『夢の中の愛の闘い』、かなりおかしな映画です。『ファインダーの中の欲望』(07)、これはかなりセクシーな映画です。『誘惑者の日記』(95)もいいですね、ダニエル・ドゥブリューという素晴らしい女性の監督ですね。あと『エロス療法』(03)はかなりSMがかってます。
最後に、本当に日本の皆さまの前にいられることを嬉しく思っています。こんなに会場が埋まっていて感動しています。ラウル・ルイス監督もこれを観ていたら、とても感動して凄く誇りに思ってくれると思います。僕にとって非常に大切なことです。ありがとうございます。

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