OUTSIDE IN TOKYO
TALK SHOW

フランソワ・トリュフォーのため来日を果たした
ジャン=ピエール・レオーの舞台挨拶:全文掲載

ジャン=ピエール・レオー『大人は判ってくれない』上映後の舞台挨拶

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坂本安美:こんにちは。私はアンスティチュ・フランセ日本、今回この映画祭を共催させて頂いております団体の映画担当のものです。これからジャン=ピエール・レオーさんに一言頂戴いたします。
ジャン=ピエール・レオー:『大人は判ってくれない』(59)は私にとって一種のプロビデンス、神の摂理のようなものです。そのプロビデンスによって私はフランソワ・トリュフォーに会うことが出来ました。『大人は判ってくれない』はまた、アントワーヌ・ドワネルという一人の登場人物の誕生でもあります。他にこの映画について言うことは今のところありませんので、もしも皆さんの方でご質問があるようでしたら受け付けたいと思います。
観客A:本当にお会い出来て嬉しいです。この映画は学生の時から何回も観たことがあるんですけれども、レオーさんが今日来られるということで改めて観させて頂きました。いつも不思議に思うことは、アントワーヌが護送車に揺られて鑑別所に送られてしまう時に、夜のパリの街並を見ながら泣いてるんですよね。あの涙の意味というか、彼は何を思って泣いてるんだろうって凄く思います。
ジャン=ピエール・レオー:素晴らしい映画の中で仕事をしている時、時々言わば、神の恩寵のようなものが訪れる瞬間があります、それが起きるのです。撮影は冬で、私は恐ろしい風邪をひいてしまいました。ですから自然に涙が出てきていたんです。これが映画の恩寵の瞬間です。その場面に感激して頂いたということで、とても嬉しく思います、傑作の仕事をしている時、いつも奇跡のようなことが起きます、それが映画の一部です。ありがとうございました。
観客B:トリュフォーが死んでから30年経ちますが、未だに生き続けてゴダールは映画を撮り続けています。ジャン=ピエール・レオーさんは最近のゴダールの作品をどのようにご覧になっているのか、感想をお聞かせください。
ジャン=ピエール・レオー:今のご質問について答えは簡単になると思います。即ち、生きているからといって勝利者になれるわけではない。終りです。ありがとうございました。

『大人は判ってくれない』上映後の舞台挨拶

2014年10月11日
角川シネマ有楽町にて
通訳:福崎裕子
原稿採録:OUTSIDE IN TOKYO




『大人は判ってくれない』
原題:Les Quatre Cents Coups

監督:フランソワ・トリュフォー
脚色:マルセル・ムーシー、フランソワ・トリュフォー
撮影:アンリ・ドカエ
音楽:ジャン・コンスタンタン
出演:ジャン=ピエール・レオー、クレール・モーリエ、アルベール・レミー、ギイ・ドゥコンブル、パトリック・オーフェイ

1959年/99分/フランス/モノクロ


没後30年 フランソワ・トリュフォー映画祭
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