(上原輝樹) |
2014.9.12 update |
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『パーキング』(Parking) 1985年/95分/デジタル・リマスター版/カラー/無字幕・作品解説配布予定 出演:フランシス・ユステール(オルフェ)、ケイコ・イトウ(ユリディス)、ジャン・マレー(アデス)、ローラン・マレ(カライス)、マリー=フランス・ピジエ(ペルセファーヌ) ジャン・コクトー『オルフェ』を80年代に舞台にしたら?オルフェウスの神話を大胆に翻案したロック・ミュージカル。大人気のミュージシャン、オルフェはユリディスを愛し、ふたりは幸せな日々を過ごしていた。しかし、コンサートのリハーサル中、オルフェは事故で倒れてしまう。冥界の支配者アデスは、彼の死が誤りであることを認め、オルフェは地上に戻るが、今度は最愛のユリディスがドラッグで命を落としてしまい、オルフェは彼女を迎えに再び冥界へと赴くが...。製作面で困難に見舞われ、多くの技術スタッフも初めて組む者ばかりで、幸福なミュージカル作家ドゥミのイメージからは遠いものがあるかもしれないが、配役の多国籍性、混乱を極める筋書き、ドラッグ、フェミニズム、同性愛といった同時代的な主題など、その困惑そのものに時代の空気が痛々しいほどに刻印されている。 |
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『都会のひと部屋』(Une chambre en ville) 1982年/90分/デジタル・リマスター版/カラー/日本語字幕付) 出演: ドミニク・サンダ(エディット・ルロワイエ)、リシャール・ベリ(フランソワ・ギルボー)、ダニエル・ダリュー(マルゴ・ラングロワ)、ミシェル・ピコリ(エドモン・ルロワイエ)、ジャン=フランソワ・ステヴナン(ダンビエル)、ファビアンヌ・ギヨン(ヴィオレット・ベルティエ) 舞台は港町ナント。スト中の労働者たちが機動隊と相対している。労働者の中には、冶金工フランソワ・ギルボーの姿もある。彼は息子を失ったラングロワ男爵夫人のもとに間借りしていて、ヴィオレットという恋人がいる。男爵夫人の娘エディットはテレビ販売店を経営するエドモンのもとに嫁いでいる。嫉妬深い夫に嫌気をさしたエディットは、ある晩、裸体に毛皮のコート1枚という姿で家を飛び出し、フランソワに会いに行く。愛を誓い合うふたりだったが、ふたりの身の上に次々と悲惨な事件が起こる...。 「生きてゆくため、つましい給料を手にするため、そして愛を貫き、満たされるためには、人は嫌でも闘わなくてはなりません。愛や思想のために命を捧げる人だっています。情熱的な人たちです。私は、この映画で、不条理なまでに激しい情熱を描きたかったのです。」(ジャック・ドゥミ) |
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『想い出のマルセイユ』(Trois places pour le 26) 1988年/103分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 出演:イヴ・モンタン(本人)、マチルダ・メイ(マリオン)、フランソワーズ・ファビアン(ミレーヌ)、マチュー・ドゥミ(テルドリアン) 故郷マルセイユにミュージカル公演のために帰るイヴ・モンタン。彼はその公演の中で、自身の人生を歌と踊りで振り返ってゆく。かつての恋人と再会し、モンタンは自分に娘がいたことを知る。遺作となるこの作品には、ドゥミ映画になくてはならないセーラー服の水兵、未婚の母、驚くばかりの原色の世界が繰り広げられている。ドゥミとモンタンが映画を作るという企画を初めて話し合ったのは、68年、ハリウッドにおいてだった。夕暮れ時にドライヴをしながら、ドゥミとヴァルダ夫妻、モンタンとシモーヌ・シニョレ夫妻は、将来、一緒にミュージカル映画を作る夢を語り合い、それから20年後の本作でようやく彼らの夢が実現する。 |
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『天使の入江』(La Baie des Anges) 1963年/82分/35mm/モノクロ/日本語字幕付 出演:ジャンヌ・モロー(ジャッキー・ドメストル)、クロード・マン(ジャン・フルニエ)、ポール・ゲール(キャロン) 銀行員のジャックは、同僚キャロンの悪影響を受け、ギャンブルに染まってゆく。それを知った厳格な父から勘当を喰らった彼はパリを離れてニースの安ホテルに居を構え、「天使の入江」のカジノ通いを始める。ある日カジノで出会ったブロンドの女性ジャッキーに惹かれるジャックは、彼女とパートナーになって勝ち続けてゆく。ある夜ふたりは大負けし、一文無しのジャッキーは人生をやり直す結城を与えてくれるように彼に懇願する。果たしてふたりを繋ぐのはギャンブルの偶然だけなのか、それとも愛なのか?ドゥミの作品に共通するオープニングの秀逸さにおいても本作のそれは格別と言える。南仏のひとけのない海岸、アイリスから広がるジャンヌ・モローの姿、それはミシェル・ルグランのテーマ曲を従えながら、永遠に続くキャメラの後退運動によってやがて路上のうちに消え去る。 「この映画で最も描きたかったのは情熱のメカニズムだ」(ジャック・ドゥミ) |
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『ローラ』(Lola) 1961年/85分/デジタル・リマスター版/モノクロ/日本語字幕付 出演: アヌーク・エーメ(ローラ/セシル)、マルク・ミシェル(ロラン・カサール)、ジャック・アルダン(ミシェル)、コリンヌ・マルシャン(デイジー)、エリナ・ラブールデット(デノワイエ夫人) 舞台は、ドゥミの生まれ故郷でもある港町ナント。キャバレーの踊り子ローラは、幼い息子を抱え、忽然と7年前に姿を消した恋人ミシェルの帰りを待っている。幼なじみのロランは思い続けていたセシル(ローラ)に10年ぶりに再会し、彼女にプロポーズするが断られ、失意の中、アフリカへ旅立つことを決意する。そんな時、キャデラックに乗った一人の男が現れる...。眩いほどに美しいドゥミの長編処女作。 冒頭、ドゥミが敬愛していたマックス・オフュルスの『快楽』のテーマが流れる。そして、デノワイエ夫人がかつて踊り子だったことを示す写真は、婦人を演じるエリナ・ラブールデットが出演した『ブローニュの森の貴婦人たち』スチル写真である。また、ローラのその後の人生は『モデル・ショップ』で描かれ、ロランは『シェルブールの雨傘』に再登場する。ドゥミの人物たちの人生は、こうして一本の作品を超えて、彼の他の作品、他の映画作家の作品へと流れ出してゆく。 |
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『モデル・ショップ』(Model Shop) 1969年/92分/デジタル・リマスター版/カラー/日本語字幕付 出演:アヌーク・エーメ(ローラ/セシル)、ゲーリー・ロックウッド(ジョージ・マシュー)、アレクサンドラ・ヘイ(グロリア) 若い女優グロリアと暮らしているジョージは、兵役に出発する前日、手形の支払いが滞っている車のために100ドルを友達に借りに行き、そこで白い服を着た美しい女性を見かける。衝動的にその女の後をついて行くと、彼女は素人の写真家たちにモデルを貸し出すスタジオ<モデル・ショップ>の中に姿を消す。ジョージはその中に入り、その女性ローラと再会し、彼女を撮影する。ローラはアメリカで夫に見捨てられ、息子のいるフランスへの切符のためにそこでお金を稼いでいた。ふたりは一夜をともに過ごし、ジョージは車の手形のためのお金を彼女に渡す。アヌーク・エーメ演じるローラが再び登場する『ローラ』の続編である本作は、68年当時のロサンジェルスについての「詩的なポートレート」でもある。 |
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