イタリア映画祭の10年を振り返って
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2. イタリア映画の現状 |
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OUTSIDE IN TOKYO:イタリアの映画監督は毎年撮るような人が多いのでしょうか? 岡本太郎:そうですね。プーピ・アヴァーティなんかは撮ってますね。でもこの人はほんとにイタリア映画界を牛耳っているところもあって、権力者です。だいたいはやはり3年に2本くらいの感じじゃないですかね。1年に1本は撮ってないですね。
OUTSIDE IN TOKYO:中堅以上の監督たちはそんな感じのペースですか?
岡本太郎:そうですね。イタリアで一番評価が高いのは、去年、映画祭でやった『イル・ディーヴォ』のパオロ・ソレンティーノと『ゴモラ』のマッテオ・ガッローネですけど、圧倒的にその二人が筆頭だと思いますけどね。まあガッローネはちょっとスランプじゃないかって話もある。『イル・ディーヴォ』のパオロ・ソレンティーノは、今度ショーン・ペン主演でアメリカで撮る。ただその製作がイタリアなのでアメリカ資本じゃないからギャラが払えないんじゃないかって話もあって、ちょっと製作は大丈夫かなと。
OUTSIDE IN TOKYO:イタリア映画全体の興行成績はどうなのでしょう?
岡本太郎:80年代が一番底で、イタリアのお客さんがイタリア映画離れした。90年代から上向きになってきました。イタリア人は、それでも2005年くらいまではイタリア映画が復活したなんて嘘だ、なんてことを言ってましたけど。でも明らかにソレンティーノにしてもガッローネにしても実力があるのは確かだし、新しい監督もどんどん出て来ています。それからマッツァクラーティとかソルディーニみたいな監督もやっぱりいい映画を撮り続けています。ガブリエレ・ムッチーノなんかは、アメリカでウィル・スミス主演で2本(『幸せのちから』(06)、『7つの贈り物』(08))撮りました。彼が2001年に撮った『最後のキス』という映画がありますが、それがすごくヒットした。エンターテイメントなんだけども、ちゃんとテーマがあって、ちゃんと撮れてる。
人生観や世界観はそれなりに違ったりもするんですけど、
ちゃんとストーリーテリングが出来ていて、すごく上手い。そういう監督が出てきてから、イタリア映画もおもしろくなってきた。要するに娯楽性。イタリア映画が不振だったのは作家主義になりすぎたところで、観ていておもしろくない、やはりそれだけじゃまずいと。そういうエンターテイメントをちゃんと撮れる監督が出てきたっていうことと、同時にパオロ・ソレンティーノのように作家性は高いけど、
ポピュラリティもあって、
楽しませる映画を撮れる人が出て来た。頭は使うけど娯楽的な部分もある、そういう魅力のある映画が出てきたのでお客が戻ってますね。
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イタリア映画祭2010 ■イタリア映画祭で上映された注目監督の作品 パオロ・ソレンティーノ監督 『愛の果てへの旅』(04) 『家族の友人』(06) 『イル・ディーヴォ』(08) マッテオ・ガッローネ監督 『剥製師』(02) 『ゴモラ』(08) ガブリエレ・ムッチーノ監督 『私のことを覚えていて』(03) |
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