フランス映画祭2017



今年で第25回を迎えるフランス映画祭、6月22日木曜日に有楽町TOHOシネマズ日劇で行われたオープニングセレモニーでは、節目の年のイベントを飾るに相応しい豪華ゲストが多数登壇し、セレモニーを華々しく彩った。

セレモニーの冒頭、主催者の挨拶が終わり照明が落ちると、会場は闇に包まれ、ひとりの偉大な女優の功績を讃えるトリビュートフィルムがスクリーンに映し出される。長年に亘ってカンヌ国際映画祭のディレクターを務めるティエリー・フレモーが監修したのだという約7分間に及ぶ、唯一無二の女優に捧げられた感動的なオマージュ映像が、居合わせたすべての観客の心を奪い、その夢心地の余韻が会場を支配する中、ステージにカトリーヌ・ドヌーヴが登壇し、会場は割れんばかりの拍手で満たされる。



「こんばんは。今日は、こちらに伺うことができて、とても嬉しく思っています。そして、第25回を迎えるフランス映画祭の団長を務めることができて、感動しています。今年も、フランスの映画をみなさんに沢山お見せすることができます。今回、12作品が選ばれていますが、その内の6作品が女性監督による作品です。こうした傾向は大変意義のある、新しいことであり、わたしは、この選択に賛意を表します。多くの映画が見られること、多くのみなさんがいらっしゃってくださったことを本当に嬉しく思っています。」

カトリーヌ・ドヌーヴが自らの言葉で語った、女性監督の躍進を讃える祝辞に続いて、ゲストの一団が登壇する。『パリは今夜も開演中』の監督エデゥアール・ベール、『夜明けの祈り』主演ルー・ドゥ・ラージュとアンヌ・フォンテーヌ監督、『ルージュの手紙(The Midwife)』のマルタン・プロヴォ監督、『セザンヌと過ごした時間』ダニエル・トンプソン監督、『エタニティ 永遠の花たちへ』トラン・アン・ユン監督、『あさがくるまえに』カテル・キレヴェレ監督、『エル』ポール・ヴァーホーヴェン監督と主演イザベル・ユペール、21世紀の今、極東の島国に、映画史を彩るこれほど豪華な顔ぶれが一堂に会することは珍しいといっても差し支えはないだろう。



更に、この豪華な顔ぶれに"親善大使"として、ひとりの日本人男性が加わることになる。フランスでも評価の高い、"世界のキタノ"である。並みいるゲスト陣の満面の笑みと暖かい拍手によって壇上に迎え入れられた北野武は、登壇早々、会場に笑撃の一撃を加える。

「どうも遅れましてすみません。安倍晋三です。今、加計学園の問題でお金をもらったっていう話がありまして、絶対もらってないっていうことで逃げて来たんですけど、会場を間違えまして、豊洲の方へ行ってしまいましてですね、そこでベンゼンが出たっていうんで、築地に移動したんですけども、また違うっていうことで、やっと辿り着きました。」



会場の多くを占める日本人の観客は、抜群のタイミングで繰り出された時事ネタに爆笑に次ぐ爆笑で応えたが、海外ゲスト陣は何が起きたのかわからず呆気にとられている。この北野のシュールな時事ネタを、一語一句、生真面目に翻訳する通訳女史に対しても、観客から拍手が贈られる。しかし、これで終わる北野武ではない。

「今回が25回目ということですが、僕にとってフランス映画というのは、ジャン・ギャバンから始まって、セルジュ・ゲンスブールとジェーン・バーキンの『ガラスの墓標』(70)、それから、イザベル・ユペールさんの作品、大女優カトリーヌ・ドヌーヴさんの『昼顔』(67)と『シェルブールの雨傘』(64)といった映画に、本当に影響を受けてます。最近の映画事情から言うと、親子で楽しめるような映画もいいんですけど、(本来)映画には、映画を見た後、恋人同士とか友達同士で、その映画について語り合って、映画の見方や教養についてお互いの考えを巡らせる、といった役目がある。フランス映画というのは、そうしたことを一番語りやすいと同時に、また難しくもある。今日、こうやって大女優さん、大監督が揃って、25回目を迎えたことは本当におめでたいことですし、わたしもこの壇上で挨拶させてもらうことは、非常に光栄に思ってます。ありがとうございました。」



現代映画史上、最も偉大な女優カトリーヌ・ドヌーヴへの一大オマージュ映像から、シュールな笑劇を経て、フランス映画のエッセンスまで、まるで一本の映画を見るように濃厚で豊かな時間が、2017年フランス映画祭の華々しい開幕を、2017年の日本ならではのリアリティを息づかせながら告げた一夜だった。
(上原輝樹)
2017.6.23 update
6月22日(木)~25日(日)
会場:有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ 日劇
料金:【当日券】一般1,700円/学生1,200円
【前売券】セブンチケットにて5月27日(土)より販売 詳細はこちら

公式サイト:http://unifrance.jp/festival/2017/
上映スケジュール

<有楽町朝日ホール>
6月23日(金)
14:20
エル ELLE
(131分)
トークショー:
ポール・ヴァーホーヴェン、
イザベル・ユペール
18:10
ロダン カミーユと永遠のアトリエ
(120分)




6月24日(土)
10:30
セザンヌと過ごした時間
(114分)
トークショー:
ダニエル・トンプソン


14:10
愛を綴る女
(120分)



18:00
夜明けの祈り
(115分)
トークショー:
アンヌ・フォンテーヌ、
ルー・ドゥ・ラージュ
6月25日(日)
10:10
エタニティ 永遠の花たちへ
(115分)
トークショー:
トラン・アン・ユン


13:40
ポリーナ、私を踊る
(108分)
トークショー:
ヴァレリー・ミュラー、
アンジュラン・プレルジョカージュ
17:10
チェイサー
(124分)
トークショー:
清藤秀人、立田敦子



<TOHOシネマズ 日劇>レイトショー
6月22日(木)
19:30
<オープニング作品>
ルージュの手紙
(The Midwife)

(約40分+117分)
舞台挨拶:
マルタン・プロヴォ、
カトリーヌ・ドヌーヴ
6月23日(金)
21:20
あさがくるまえに
(104分)

舞台挨拶:
カテル・キレヴェレ




6月24日(土)
21:20
パリは今夜も開演中
(97分)
舞台挨拶:
エドゥアール・ベール




6月25日(日)
21:20
Raw(英題)
(98分)






※有楽町朝日ホールの開場は各回20分前を予定しております。TOHOシネマズ 日劇については開場の準備ができ次第のご案内となります。
※スケジュールやトークショー、サイドイベントは事情により予告なく変更となる場合があります。予めご承ください。
※18歳未満の方は終映が23時を過ぎる上映回には、保護者同伴でもご入場いただけません。
※全作品日本語字幕付
作品ラインナップ

© photo Michael Crotto
『ルージュの手紙(The Midwife)』(Sage femme)
監督:マルタン・プロヴォ
出演:カトリーヌ・フロ、カトリーヌ・ドヌーヴ、オリヴィエ・グルメ
2017年/フランス/フランス語/117分/DCP/1.85/5.1ch
配給:キノフィルムズ

2017年12月シネスイッチ銀座ほか公開

フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴと、『大統領の料理人』(12)他で知られ、『偉大なるマルグリット』(15)でセザール賞主演女優賞を受賞したカトリーヌ・フロの豪華競演作!
実直な性格の助産師・クレールは、亡き父親の元妻で30年間姿を消していたべアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)からの電話を受け、重要で急を要する知らせがあるので会いたいとせがまれる。真面目すぎるクレールと自由奔放なべアトリス。正反対の性格の二人だったが、お互いの古い秘密が明らかになるにつれ、失われた年月が埋まっていく。べアトリスが余命僅かであることが判明し、クレールは彼女の介護をすることに。やがて、家族としての絆が生まれるーー。
© 2016 - G FILMS - PATHE - ORANGE STUDIO - FRANCE 2 CINEMA - UMEDIA - ALTER FILMS
『セザンヌと過ごした時間』(Cézanne et moi)
監督:ダニエル・トンプソン
出演:ギョーム・カネ、ギョーム・ガリエンヌほか
2016年/フランス/フランス語/114分/DCP/2.39/5.1ch
配給:セテラ・インターナショナル

9月、Bunkamuraル・シネマ他全国順次公開

ポスト印象派の巨匠セザンヌと『ナナ』『居酒屋』の文豪ゾラ。エクス=アン=プロヴァンスで出会い、幼いころから夢を語り合ったふたり。やがてゾラはパリに出て、新聞の評を書きながら小説家として成功を収める。一方、セザンヌも画家を目指してパリで絵を描き始め、サロンに挑むが落選続き。栄光を手にしたゾラと、心を閉ざしていくセザンヌ。そして、ゾラの別荘で久しぶりに再会したふたりは、「ある画家」をモデルにしたゾラの新作を巡って口論となる...。セザンヌ役は『不機嫌なママにメルシィ!』でセザール賞作品賞など主要5部門受賞のギョーム・ガリエンヌ。ゾラ役を『戦場のアリア』の実力派ギョーム・カネが熱演。長年の映画化の夢を膨大なリサーチによって叶えたダニエル・トンプソン監督最新作。セザンヌの縁の地で撮影を敢行、プロヴァンスの美しい光を捉え、名画の世界へと誘う。運命的な絆が生んだ、深い友情と創造の奇跡に心打たれる感動作。
© 2015 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION - FRANCE 2 CINÉMA - ENTRE CHIEN ET LOUP
『エル ELLE』(Elle)
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユペール
2016年/フランス/フランス語/131分/DCP/2.35/5.1ch
配給:ギャガ

2017年8月25日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開

本年度の賞レースで、ひときわ異彩を放ちながら数々の賞をさらい、セザール賞作品賞・主演女優賞受賞、アカデミー賞主演女優賞ノミネートも果たした話題作が遂に日本をも席巻する日がやってきた!

自宅で覆面の男に襲われたゲーム会社の女社長が、自ら犯人をあぶり出すために恐るべき罠を仕掛けていく。彼女は強靭な精神力と、妖艶な魅力を放つ大人の女性だ。だが、事件の真相に迫るに従い、観客は衝撃の連打を浴びる。この女、いったい何者!?彼女こそが、犯人よりも遥かに危ない存在だった。

世界を驚愕させたヒロインを演じるのは、フランスの至宝にして年を重ねる度に魅力を増すイザベル・ユペール。監督は『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン。原作はラブストーリーの金字塔『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』のフィリップ・ディジャン。刺激的でアブノーマルな才能が互いを高め合い、気品あふれる変態ムービーにして、異色のサスペンスが誕生した!
© Nord-Ouest
『エタニティ 永遠の花たちへ』(Éternité)
監督:トラン・アン・ユン
出演:オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョ
2016年/フランス、ベルギー/フランス語/115分/DCP/2.40/5.1ch
配給:キノフィルムズ

今秋、シネスイッチ銀座ほかにて公開

『ノルウェイの森』から6年、『青いパパイヤの香り』('93)のトラン・アン・ユン監督の真骨頂にして待望の新作。19世紀末、フランス。ブルジョワの娘ヴァランティーヌは20歳で結婚し、双子の男の子を筆頭に、4人の男児、2人の女児を授かる。しかし、幸せな結婚生活は、20年連れ添った夫の死、双子の戦死、そして2人の娘たちを相次いで手放すことで崩れていく。失意の彼女を救ったのは、息子アンリと幼馴染マチルドの結婚だった。彼女は最愛の妻となり、子供たちに愛される母親、そしてヴァランティーヌの大切な娘となる。しかし、マチルドにもある運命が待ち受けていた。生まれて、出会って、愛して、別れて...3世代の女性たちによって、100年にわたって母から娘へ受け継がれる絆は、やがて大家族を形成していくのだが......。フランスを代表する3女優、オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョが強く美しく生きる女性たちを演じ、観る者を生きる歓びと愛に包みこむ感動作。
© 2015 MANDARIN CINÉMA AEROPLAN FILM / ANNA WLOCH
『夜明けの祈り』(Les Innocentes)
監督:アンヌ・フォンテーヌ
出演:ルー・ドゥ・ラージュ、アガタ・ブゼク、アガタ・クレシャ、ヴァンサン・マケ―ニュ
2016年/フランス、ポーランド/フランス語、ポーランド語、ロシア語/115分/DCP/1.85/ドルビーSR 配給:ロングライド

8月5日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

1945年12月のポーランド。赤十字で医療活動を行う若きフランス人医師マチルドのもとに、悲痛な面持ちで助けを求めるシスターがやってくる。修道院を訪れたマチルドが目の当たりにしたのは、ソ連兵の蛮行によって身ごもり、信仰と現実の狭間で苦しむ7人の修道女だった。そこにある命を救う使命感に駆られたマチルドは、幾多の困難に直面しながらも激務の合間を縫って修道院に通い、孤立した彼女たちの唯一の希望となっていく......。
『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンテーヌ監督の最新作は、第二次世界大戦末期の悲劇的な事件によって心身共に傷ついた修道女を救うために尽力した、医師マドレーヌ・ポーリアックの実話の映画化。自らの危険を顧みず、無償の人道支援に身を投じたヒロインの勇気ある行動は、世界中に不寛容の風潮が広まる現代において崇高なる感動を呼び起こす。セザール賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞にノミネートされた話題作。

<受賞歴>
第42回セザール賞4部門(作品/監督/脚本/撮影賞)ノミネート
© (2016) Les Productions du Trésor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline's Angel - My Unity Production
『愛を綴る女』(Mal de pierres)
監督:ニコール・ガルシア
出演:マリオン・コティヤール、ルイ・ガレル、アレックス・ブレンデミュール
2016年/フランス、ベルギー/フランス語、スペイン語/120分/DCP/スコープ/5.1ch
配給:アルバトロス・フィルム

10/7(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開

フランス南部の小さな村で両親と妹と暮らすガブリエル。若くて美しい彼女はいつも、真実の愛、そして結婚について理想を思い描いていた。しかし現実は違い、両親は正直者で情の深いスペイン人労働者のジョゼとの結婚を決めてしまう。ジョゼは彼女に献身的に接するのだが、ガブリエルはジョゼを愛することは決してないと誓うのだった。ある日、持病の結石の治療のためアルプスの療養所に送られる。そこでインドシナ戦争で負傷した魅力的な帰還兵アンドレと出会う。それが彼女が紡ぐ愛の物語の始まりだった――。つかの間の日々に彼女が求めた愛の姿とは――。ミレーナ・アグスのベストセラー小説「祖母の手帖」(新潮社)をニコール・ガルシアが女性監督ならではの手腕で再構築。フランスが誇る国際派女優マリオン・コティヤールが、一人の女性が愛の真髄にたどりつくまでの17年間をストイックかつエロティックに演じた、繊細で美しい大人のラブストーリー。

<受賞歴>
2016年 カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品
2017年 セザール賞作品賞ほか8部門ノミネート
© Pascal Chantier
『パリは今夜も開演中』(Ouvert la nuit)
監督:エドゥアール・ベール
出演:エドゥアール・ベール、サブリナ・ウアザニ、オドレイ・トトゥ
2016年/フランス/フランス語/97分/DCP/1.85/5.1ch
日本公開未定

劇場支配人のルイジは、高名な日本人演出家ダザイを迎えた舞台の初日を前にして苦境に立たされる。一晩のうちに必要な資金を確保するため、そして舞台に登場するチンパンジーを確保するため、インターンの若い女性を伴って街に出てゆくルイジ。そんな彼を予期せぬ出来事が次々と襲う......。『チキンとプラム』等に出演したコメディ俳優エドゥアール・ベールが監督・脚本・主演を兼ねた作品。行き当たりばったりを繰り返す気ままな主人公の行動に伴って夜のパリの様々な風景が描かれる。アブデラティフ・ケシシュ監督の『身をかわして』で鮮烈なデビューを飾ったサブリナ・ウアザニ、『アメリ』のオドレイ・トトゥが主人公に振り回される二人の女性を演じ、『沈黙-サイレンス-』の演技も記憶に新しいパリ在住の名優・笈田ヨシがダザイ役を怪演する。また昨年惜しくもなくなったベテラン俳優ミシェル・ガラブリュが本人役でカメオ出演しているのも見逃せない。
© Carole Bethuel - Everybody on Deck
『ポリーナ、私を踊る』(Polina, danser sa vie)
監督:アンジュラン・プレルジョカージュ、ヴァレリー・ミュラー
出演:アナスタシア・シェフツォワ、ニールス・シュナイダー、ジェレミー・ベランガール、ジュリエット・ビノシュほか
2016年/フランス/フランス語、ロシア語/108分/DCP/2.35/5.1ch
配給:ポニーキャニオン

10月28日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次公開

ボリショイ・バレエ団のバレリーナを目指すロシア人の女の子ポリーナは、厳格な恩師ボジンスキーのもとで幼少の頃から鍛えられ、将来有望なバレリーナへと成長していく。かの有名なボリショイ・バレエ団への入団を目前にしたある日、コンテンポラリーダンスと出会い、全てを投げうってフランスのコンテンポラリーダンスカンパニー行きを決める。新天地で新たに挑戦するなか、練習中に足に怪我を負い彼女が描く夢が狂い始めていく。ダンスを通して喜びや悲しみ、成功と挫折を味わい成長していく少女。彼女が見つけた自分らしい生き方とは...。 原作は、BD書店賞とACBD批評賞を受賞しているバスティアン・ヴィヴェスのグラフィックノベル。ポリーナ役には本作で映画初出演となるアナスタシア・シェフツォワ、コンテンポラリーダンスカンパニーの振付家の役にジュリエット・ビノシュ、さらにパリ・オペラ座エトワールのジェレミー・ベランガールらが出演。
© Les Films Pelléas, Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms
『あさがくるまえに』(Réparer les vivants)
監督:カテル・キレヴェレ
出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ドルヴァル、ドミニク・ブラン、ギャバン・ヴェルデ
2016年/フランス/ベルギー/フランス語/104分/DCP/2.35/5.1ch
配給:リアリーライクフィルムズ+コピアポア・フィルムズ

2017年9月16日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

ジャン・ヴィゴ賞受賞のデビュー作『聖少女アンナ』(10)、カンヌ映画祭批評家週間オープニング作品『スザンヌ』(13)に続く、気鋭の女性監督カテル・キレヴェレの最新作。

ル・アーブル。夜明け前、彼女がまだまどろみの中にいるベッドをそっと抜け出し、友人たちとサーフィンに出かけたシモン。しかし彼が再び彼女の元に戻ることはなかった。帰路、彼は交通事故に巻きこまれ、脳死と判定される。報せを受けた彼の両親は、その現実を受け止められない。医師はシモンが蘇生する可能性は低く、両親に移植を待つ患者のために臓器の提供を求めるのだが。その時間の猶予は限られている...。

パリ。音楽家のクレールは、自分の心臓が末期的症状であることを自覚している。彼女が生き延びるためには、心臓移植しか選択肢はない。しかし彼女は、他人の命と引き換えに若くない自分が延命する意味を自問自答している。そんな時、担当医からドナーが見つかったとの連絡が入る。

『預言者』のT・ラヒム、『毛皮のヴィーナス』のE・セニエ、『Mommy/マミー』のA・ドルヴァルら実力派キャストを迎えて描く、愛と喪失と再生の物語。

<受賞歴>
2016年 ヴェネツィア国際映画祭 オリゾンティ部門選出
2016年 トロント国際映画祭 プラットフォーム部門選出
© Les Films du Lendemain / Shanna Besson
『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』(Rodin)
監督:ジャック・ドワイヨン
出演:ヴァンサン・ランドン、イジア・イジュラン
2017年/フランス/フランス語/120分(予定)/2.35/5.1ch
配給:松竹=コムストック・グループ

2017年11月新宿ピカデリー、Bunkamuraル・シネマほか全国公開

今年11月に没後100年を迎える、"近代彫刻の巨匠"オーギュスト・ロダン(1840~1917)。「地獄の門」や、その一部を抜き出した「考える人」で高名な芸術家である。彼は42歳の時、弟子入りを切望するカミーユ・クローデルと出会い、この若き才能と魅力に夢中になる。本作はロダン没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館全面協力のもと、『ポネット』('96)の名匠ジャック・ドワイヨンが、ロダンの愛と苦悩に満ちた半生を忠実に描いた力作である。『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(15)でカンヌ国際映画祭、セザール賞の主演男優賞をW受賞したフランスきっての演技派ヴァンサン・ランドンが、8カ月間に渡り彫刻とデッサンに没頭し、ロダンの魂までも熱演していると早くから話題に。また"ジャニス・ジョプリンの再来"と呼ばれる歌手で女優のイジア・イジュランがカミーユ・クローデルを好演。2017年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に選出されている。

<受賞歴>
2017年 カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品作品
©DR
『Raw(英題)』(Grave)
監督:ジュリア・デュクルノー
出演:ギャランス・マリリエ
2016年/フランス、ベルギー/フランス語/98分/DCP/2.35/5.1ch
配給:パルコ

2018年 公開予定

16歳のジュスティーヌはベジタリアンの獣医一家に育ち、姉も通う獣医学校に進学する。しかし、恒例の「新入生いじめ」で、上級生から生肉を食べることを強要され、人生で初めて肉を口にすることに。これを機にジュスティーヌの本性が露わになり、彼女は次第に変貌をとげていく。そして猟奇的な事件が次々に起こるように...。
2016年のカンヌ国際映画祭批評家週間で上映されたのち、各地の映画祭で多くの賞を受賞。あまりにグロテスクなシーンに失神者や吐き気を催す観客が続出する一方、青春ドラマとしての一面も持ち、高い評価を受けている。ジュリア・デュクルノー監督衝撃の長編デビュー作。

<受賞歴>
2016年 トロント国際映画祭ピープルズ・チョイス・アウォード 3位
2017年 ジェラルメ国際ファンタスティカ映画祭グランプリ、批評家賞受賞
© 1977 - PATHE RENN PRODUCTION
スターチャンネル presents『チェイサー』(Mort d'un pourri)
監督:ジョルジュ・ロートネル
出演:アラン・ドロン、モーリス・ロネ、オルネラ・ムーティ、ミレーユ・ダルク、ステファーヌ・オードラン
1977年/フランス/フランス語/124分/スコープ
提供:BS10 スターチャンネル
放送情報:年間特集「アラン・ドロンがいっぱい」(毎週日曜夜9時放送中)

グザヴィエは代議士の親友フィリップから、セラノという議員を殺してしまったことを打ち明けられ、アリバイ工作に協力することを承諾する。セラノ議員殺害の背景に、政界を揺るがす"セラノ文書"が関わっていることを知ったグザヴィエは、フィリップの愛人ヴァレリーからこの文書を入手するが、今度はフィリップが何者かに殺されてしまう。友人の復讐を果たすことを決意するグザヴィエだが、彼にも魔の手が忍び寄る...。残されたフィリップの妻、 謎めいた過激派に属する弁護士、ごろつき、そして裕福な実業家--------それぞれの思惑が錯綜する、ハードボイルドサスペンス。
70年代を代表する女優陣に加え、怪優クラウス・キンスキーも出演し、怪しげな魅力を放つ。音楽は多くのフランス映画の名作のサウンドトラックを手がけてきたフィリップ・サルド。ジャズ史を代表するサックス奏者スタン・ゲッツの甘い音色が全編にわたり映画を盛り上げている。

<受賞歴>
1978年 セザール賞最優秀脚本賞・最優秀主演男優賞ノミネート




フランス映画祭2017について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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